『ソウ2』は別の映画だった――『The Desperate』が続編になるまで
『ソウ2』の出発点は、『ソウ』の続編として書かれた脚本ではありません。 ダーレン・リン・バウズマン監督が長年温めていた、オリジナルのホラー脚本『The Desperate』でした。家の中に集められた人々が殺し合う閉鎖空間の物語が、ジグソウのゲームへと作り替えられたのです。[1]
・売り込みには、架空の事務所まで用意した
監督自身の回想によると、転機は父から届いた手紙でした。両親がロサンゼルスでの生活を支えるのは、あと1年。それまでに映画の仕事につながらなければ、帰郷するか、別の仕事を見つけるようにと告げられます。[1]
バウズマンは脚本を磨き、売り込みを始めました。当時は代理人もマネージャーもいなかったため、架空の会社のレターヘッドや留守番電話まで用意したそうです。やがて脚本を読んだプロデューサー、グレッグ・ホフマンから連絡が届きました。[1]
当初は『The Desperate』そのものを映画化する話でした。ところが、共同製作者のオーレン・クールズが『ソウ2』に変えることを提案します。バウズマンは未公開だった『ソウ』を見せてもらい、自分の脚本と空気が近いことを理解したと話しています。[1][2]
・名前を残しても、同じ映画にはならない
2021年のインタビューで、バウズマンは最初の改稿を4週間で行い、その後リー・ワネルが参加して、さらに『ソウ』の世界へ近づけたと説明しています。原案にあったのは、自らゲームへ参加する人々と、映像越しに事件を見せられる警察官。オビやザビエルなどの名前は残りましたが、設定や役割は変わりました。[2]
監督が強調しているのは、完成した『ソウ2』は、それ自体で別の作品になっているということです。代表的な注射器の穴も、焼却炉の罠も、元の脚本にはありませんでした。題名と悪役を取り替えただけではなく、人物とゲームを組み直した改作だったわけです。[2]
『ソウ2』でバウズマンは長編監督デビューを果たしました。長く売れなかった自作の脚本が、別の映画の続編になる。その大きな変更が、本人にはハリウッド映画を監督する入口になりました。[1]