『ソウ』は18日で撮影された――浴室の6日間と、壊れかけたセット
『ソウ』(2004)の撮影は、わずか18日間。そのうち6日間を、あの浴室の場面に使っています。 浴室部分は物語の進行に沿って撮影されました。二人の男が同じ空間から出られず、少しずつ状況を知っていく映画ですが、撮影現場でも、この部屋にまとまった時間を割いていたのです。[1]
・病院も警察署も、同じ建物の中
映画には浴室以外にも、病院、警察署、ゴードンの家などが登場します。ロケ地資料のMovie-Locationsによると、これらの室内はロサンゼルスのレイシー・ストリートにある撮影施設に設けられました。物語の中では離れた場所でも、撮影隊にとっては同じ建物だったわけです。[2]
車の追跡場面にも、この省スペースな作り方が表れています。車を本当に道路で走らせるのではなく、施設内に止めた車と煙を使って撮影しました。一方、捜査官が建物へ到着する短い夜の外観もあります。映画全体が浴室だけで撮られた、というわけではありません。[2]
・俳優が寄りかかると、セットがきしんだ
小さな現場ならではの弱点もありました。2026年のサンダンス映画祭の上映後トークで、脚本家兼主演のリー・ワネルとワン監督は、浴室セットの頼りなさを振り返っています。ケイリー・エルウィスが配管に体重をかけると、セットがきしんでしまったのです。[3]
そのまま長く見せれば、頑丈そうな浴室が作り物だと分かってしまう。そこで編集では、弱点が見える前に別のショットへ切り替えました。観客にとっては切迫した場面の切り返しでも、作り手にとってはセットの事情を隠すカットでもありました。[3]
浴室に閉じ込められた二人の緊張感。そのすぐ外側では、撮れる場所を兼用し、短い日程をやりくりし、壊れそうな部分を編集でかわしていました。完成した映画の密室は、現場の窮屈さまでうまく画面の外へ閉じ込めているのです。