主題歌は「白昼夢」から「思い出」へ変わった
バーブラ・ストライサンドが歌う『追憶』の主題歌。その冒頭に置かれた「思い出」という言葉は、書き直しによって生まれました。米議会図書館が紹介した手書きの歌詞では、もともとは「白昼夢」を意味する言葉が使われていたのです。[1]
・完成した歌の前に、もう一つの書き出しがあった
歌詞を書いたのは、アラン&マリリン・バーグマン夫妻。作曲はマーヴィン・ハムリッシュです。図書館の資料紹介によると、初稿の冒頭の単語は「daydreams」。それが完成形では「memories」に変わりました。日本語にすれば、白昼夢から思い出への変更です。[1]
二つは、どちらも頭の中に浮かぶものですが、向いている方向が違います。白昼夢なら、まだ現実にはなっていないことを思い描く響きがあります。思い出なら、すでに過ぎ去った時間を振り返る言葉です。これは言葉の違いから読めることで、二人の恋を後から見つめる『追憶』という映画にも、よく似合う書き直しではないでしょうか。
・「誰が変えたか」より、紙の上に残った変化
この資料は、議会図書館音楽部門のASCAP Foundation Collectionに収められています。完成した録音だけを聴いていては分からない変更が、手書きの紙には残っています。名曲も、最初の一行からそのまま出来上がったわけではありません。[1]
図書館の記事には、歌詞の手稿に加え、バーグマン夫妻とハムリッシュが1974年のアカデミー賞歌曲賞を受け取る写真も紹介されています。初稿の一語と、受賞した完成曲。二つの資料を並べることで、私たちがよく知っている歌の手前にあった推敲をたどれます。[1]
映画の題名は変わらなくても、最初の一語が変われば、歌の入口は変わります。 次に主題歌を聴くときは、過ぎた時間を呼び戻すあの出だしに、少し耳を澄ませてみてください。