🔍 ポップコーン探偵
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探偵アイコン 探偵による映画背景メモ

1972年公開の本作は、ポール・ギャリコの小説を映画化した災害映画だが、製作のアーウィン・アレンは映画会社の撤退に直面し、20世紀フォックスと外部出資者から半分ずつ資金を集めて企画を救った。ロナルド・ニーム監督と美術担当ウィリアム・クレバーは、引退した客船クイーン・メリーで撮影し、その図面や写真をもとにスタジオへ船内を再現、食堂を傾ける装置と上下逆さのセットで転覆を作り上げた。俳優の衣装や顔が次第に汚れていく過程をつなげるため、撮影は物語の順序に沿って進められた。逆さの空間は俳優の身体にも準備を要求し、キャロル・リンレーは撮影前に約1週間、セットを歩いて身体を順応させたと回想している。製作費は約500万ドルとされ、北米興収は8,000万ドルを超え、アカデミー賞では歌曲賞と視覚効果の特別業績賞を獲得した。沈みゆく船を空から見せる最後の大ショットは、予算の都合で取りやめになった。

― ポップコーン探偵
この映画の トリビア!!!
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美術・特殊効果
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『ポセイドン・アドベンチャー』の逆さま船内はどう撮った? 本物の船と巨大セットの使い分け

床だった場所が頭上へ行き、照明のある天井が足場になる。『ポセイドン・アドベンチャー』では、豪華客船が転覆した瞬間から、船内の上下が丸ごと逆になります。

20th Century Studios公式予告編。転覆後、天井を足場にして進む船内の見え方を確認できます。制作工程の根拠は、本文で示すAFIと関係者取材です。YouTubeで見る

では、あの逆さまの船内はどう撮ったのでしょうか?

実は、本物の客船とスタジオセットを、場面によって使い分けていたのです。

・本物のクイーン・メリー号も使っている

撮影に使われた実在の船は、カリフォルニア州ロングビーチに係留されていたクイーン・メリー号です。映画の冒頭にある船上場面などは、この船で撮影されました。[1]

ただし、クイーン・メリー号を本当に傾けたり、ひっくり返したりしたわけではありません。

嵐で船が揺れる場面では、カメラをジャイロに載せて動かし、水平を失ったように見せています。そして転覆後の船内は、20世紀フォックスの撮影所に作ったセットです。[1]

・写真と設計図から、船内を作り直した

ロナルド・ニーム監督とプロダクションデザイナーのウィリアム・クレバーは、クイーン・メリー号の古い写真や設計図を参考にしました。目的は、本物らしい船内を撮影所へ再現することです。[1]

食堂セットは、まず通常の向きで作られました。そこへフォークリフトを使い、最大約30度まで傾けられる仕掛けを加えます。乗客も家具も滑り落ちていく、転覆の途中を撮るためです。[1]

そして船が完全に転覆した後の場面では、セットの上下を反転。俳優たちは、さっきまで天井だった場所を歩くことになります。

同じ空間をただカメラだけ逆さまにして見せたのではありません。人物が実際に逆さまの構造物を登り、ぶら下がった家具の間を進めるよう、空間そのものを転覆後の船内へ作り替えたのです。

・俳優の体も、逆さまの空間に慣らした

見た目だけではなく、逆さまのセットは人間の感覚にも影響しました。

出演者のキャロル・リンレーは、上下が逆の空間に入ると気分が悪くなったと振り返っています。目から入る情報と平衡感覚が合わないためです。そのため出演者たちは、撮影前のおよそ1週間、セット内を歩いて体を慣らしました。[2]

ニーム監督は、クレバーと相談しながら転覆をどう画面へ出すか考えたと説明しています。監督が特に重視したのは、船がひっくり返る約1分半の場面でした。[2]

実物の船で豪華客船らしい手触りを拾い、撮影所では設計図をもとに船内を再構成する。さらにセットを傾け、最後は上下まで反転させる。

あの異様な船内は、画面を逆さまにしただけではありません。本物の船を手本に、歩ける「逆さまの世界」を作ったセットだったのです。

・脚注

  1. abcdAFI Catalog「The Poseidon Adventure」。クイーン・メリー号でのロケ、ジャイロを使ったカメラ、写真・設計図から作った船内、食堂セットの傾斜と反転をまとめている。(リンク)
  2. abFront Row Features「Memories Of ‘The Poseidon Adventures’」。1997年に行われたロナルド・ニーム監督と出演者への取材を再掲載。逆さまのセットの設計と、キャロル・リンレーによる順応期間の回想を収録している。(リンク)
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企画・資金調達
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フォックスが製作を取りやめようとした際、プロデューサーのアーウィン・アレンは、カードゲームのジンラミー仲間だった裕福な友人2人に協力を求めた。監督ロナルド・ニームの回想では、友人たちが予算500万ドルの半分に当たる250万ドルを保証し、フォックスが残りを引き受けて企画が復活した。友人がその場で現金を支払った、という話ではない。

脚本・制作トラブル
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監督に迎えられたロナルド・ニームは、アーウィン・アレンと脚本家スターリング・シリファントとともに、6週間かけて脚本を練り直したという。ところが仕上がりから2日後、脚本を評価したスタジオ側の判断によって製作中止を告げられた。脚本が完成すれば撮影できる状況ではなく、企画は資金保証によって再び動き出した。

撮影・連続性
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船内を進むにつれて、乗客たちの服は水や油で汚れ、姿も次第に傷んでいく。撮影は物語の順序に沿って進められ、衣装や外見の変化を積み重ねる方法が取られた。別々の日に撮った場面をつなぐ際にも、汚れを毎回最初の状態へ戻す撮り方ではなかった。

ロケ・撮影技術
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船の姿や初期の船上場面には、カリフォルニア州ロングビーチに係留されたクイーン・メリー号が使われた。すでに航海を終えた船を舞台にしながら、カメラを動かして船の揺れを見せる仕掛けも用いられた。外洋を航行中の船で、映画の嵐を実際に待って撮ったわけではない。

模型・特殊効果
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転覆などに使われた船の模型には、長さ21.5フィート、約6.6メートルの大型模型がある。15人が3か月かけて製作し、重量は約1トン。水に浮かび、電池式スクリュー、作動する煙突、室内照明まで備えていた。単に船の外観を縮めた飾りではなく、撮影用に動かせる船だった。

演技・安全準備
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キャロル・リンレーは、上下逆になった船内に入ると気分が悪くなるほど、セットの見え方が異様だったと振り返っている。そのため出演者たちは、撮影前の1週間ほどセットを歩き回り、逆さまの空間に体を慣らしたという。船内の混乱は演技だけでなく、俳優自身の感覚にも負担をかけていた。

構成・編集
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ロナルド・ニームは、災難が起きるまでの約20分を人物紹介に使うと、観客が退屈するのではないかと心配した。そこで、これから起きる災難と少数の生存者の存在を冒頭で知らせる説明を提案したという。人物紹介の間にも観客が先の危機を意識できるようにする、監督の構成上の工夫だった。

役作り・実演
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シェリー・ウィンタースは、ベル・ローゼン役を演じるために35ポンド、約16キロ体重を増やした。さらに水中場面へ備え、何週間も水泳を練習した。体格を役に近づけるだけでなく、自分で泳ぐ場面を成立させるための準備も並行していた。

脚本変更・水中撮影
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【ネタバレあり】ベルが水中へ向かう場面について、ジーン・ハックマンは「自分の演じる牧師が彼女だけを危険へ送るのはおかしい」と考え、牧師が先に潜って動けなくなり、ベルが助けに行く形を提案した。ニームの回想では撮影の約4日前の変更で、見せ場を奪われると感じたウィンタースは強く反発したが、戻って場面を撮影した。

スタント・編集
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【ネタバレあり】牧師スコットが火と水の中へ落ちる最期の場面は、ジーン・ハックマンが網へ飛び降りるカットと、スタントのポール・ステーダーが実際に下へ落ちるカットをつないで作られた。ニームは、主演俳優にけがをさせて撮影が止まる事態を避けるための分業だったと説明している。最も危険な落下まで本人が行ったわけではない。

終幕・予算・撮影
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【ネタバレあり】ラストには、沈みつつある船を空から見せるショットが予定されていたが、予算の制約で取りやめになった。代わりに救助ヘリコプターを地上のセットで低い位置から撮り、周囲の建物が画面へ入らないようにした。最後の脱出も、実際の船を上空から撮った大規模な場面ではなかった。

原作差分
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【ネタバレあり】ポール・ギャリコの原作では、少年ロビンが命を落とし、姉スーザンが性的暴力を受ける。牧師スコットの最期にも、神への怒りと自ら命を絶つ行為が描かれる。映画は同じ転覆事故を出発点にしながら、犠牲者や暴力の見せ方、牧師の最期をそのまま移したわけではない。レッド・バトンズも、初期の脚本では自分が演じるマーティンが少女へ性的暴力を加える設定だったが、後に変更されたと語っている。

音楽・歌唱
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ノニーを演じるキャロル・リンレーが歌う「The Morning After」(1972)の声は、歌手ルネ・アーマンド(Renée Armand)が担当した。一方、モーリン・マクガヴァンが歌うレコード版は別の録音だった。映画の音源を収めた復刻盤にも二人の歌唱が分けて収録されており、劇中の声をレコードの歌手と同一視することはできない。

脚本読解・配役
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【ネタバレあり】ステラ・スティーヴンスは、脚本で自分の役が終幕の6ページほど前に死ぬと知り、ベルを演じる女優がアカデミー賞候補になるだろうと代理人に話したという。実際にベル役となったシェリー・ウィンタースは助演女優賞にノミネートされた。出演者自身が、脚本段階で別の役の見せ場に気づいていた。

監督・キャリア
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ロナルド・ニームは、本作の大ヒット後、災害映画の監督依頼が相次ぐようになったと振り返っている。幅広い作品を撮ってきた監督でも、一本の商業的成功によって、そのジャンルの監督として見られるようになったという。本作は収益面で大きな転機だった一方、本人が最も気に入った監督作ではなかった。

影響・関連作品逆引き
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ベン・スティラーは、子供のころ本作を映画館で10回ほど見て、映画の仕事をしたいと思うようになったと語っている。後に『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(2001)でジーン・ハックマンと共演した際、その思いを伝えたという。しかしハックマンから返ってきたのは、生活のために引き受けた仕事だったという、意外にあっさりした説明だった。

音源・復元
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2019年にラ・ラ・ランド・レコーズが発売した災害映画音楽の復刻ボックスでは、ジョン・ウィリアムズによる本作の音楽が、保管された原素材から再び音を整え直された。1998年盤と2010年盤がある中で、既発売CDをそのまま複製した再販ではなく、原素材へ戻った復刻だった。別テイクなどの追加音源も収められている。

特殊効果・賞の制度
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本作の視覚効果は、L・B・アボットとA・D・フラワーズに贈られたアカデミー賞の特別業績賞として評価された。通常の候補作同士で競う視覚効果賞とは別枠だったため、競争部門8件にこの特別賞を加えると、特別賞を含む集計では9件となる。歌曲賞の受賞と合わせて、受賞は2件として記録されている。

音楽・キャスティング
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ギタリストのワディ・ワクテルは、主題歌などの録音に呼ばれた際、監督が演奏者を見て映画にも出演させることを決めたと回想している。ワクテルは船内バンドの場面を撮ったが、追加の場面へ呼び戻された時にはエヴァリー・ブラザーズの巡業中だった。帰れないと断り、追加の出演は実現しなかったという。

原作・着想
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ポール・ギャリコの原作の出発点には、1937年にクイーン・メリー号へ乗った時の経験があった。船が大きく傾いたことで、もし客船が裏返ったらどうなるかという発想につながったと伝えられている。後に映画の外観にも使われた実物の船は、物語を生むきっかけにも関わっていた。

スタント・実演
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転覆した食堂で、乗客テリーが天窓へ落ちる場面を演じたのは、アーニー・オルサッティ自身だった。出演者として参加したオルサッティは、当初その落下にためらいがあったと伝えられるが、実際に演じた。本作の後にはスタントの仕事でも活動しており、画面の強い衝撃は人形だけで作られたものではない。

配役・出演者の証言
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ステラ・スティーヴンスは、『The Mad Room』(1969)でシェリー・ウィンタースと仕事をした後、もう共演したくないと思っていたと回顧している。本作への出演も一度は断ろうとしたが、二人だけの場面を作らないと説明され、出演を決めたという。スティーヴンスは、本作ではウィンタースの態度に問題はなかったとも語っている。

キャスティング・出演判断
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レッド・バトンズは、アーウィン・アレンから本作へ誘われた時、親しいプロデューサーのロス・ハンターから『失われた地平線』(1973)の踊り手役にも呼ばれていたという。二つの仕事が競合して選択を迫られ、バトンズは本作を選んだ。単に最初から空いていた俳優へ役が渡ったわけではなかった。

情報不足・要確認
信頼度

本作では出演者の多くが自分で危険な場面を演じたため、「負傷者は一人もいなかった」と語られることがある。しかしレッド・バトンズは、最後の撮影日に膝から足首の間の脚を衣装ごと傷つけ、病院で処置を受けて現場へ戻ったと話している。少なくとも、この本人証言と「全員無傷」という説明は両立しない。

情報不足・要確認
信頼度

ワディ・ワクテルは、目の色がキャロル・リンレーと違うため、ノニーの兄役から外れたという説がある。本人の回想では、ノニーの兄を演じたのはバンドのドラマーで、ワクテルは生き残る別の人物だった。ただし、この証言だけでは初期の配役案や変更理由までは分からず、目の色が決め手だったと裏づける記録は確認できない。

裏取り強め
有力ソースあり
未確認・噂寄り
情報不足・要確認

主な参考資料

配信で見る

ポセイドン・アドベンチャーはどこで配信?

ポセイドン・アドベンチャーを配信で見られるサービスを、確認できた範囲で掲載しています。未確認のサービスは公式サイトで探せます。

P
Prime Video
2026年10月3日確認・
N
Netflix
U
U-NEXT
D
DMM TV
2026年10月3日時点で日本国内配信を確認
D
Disney+
T
TSUTAYA DISCAS
V
VideoMarket
2026年10月3日時点で日本国内配信を確認
M
music.jp
2026年10月3日時点で日本国内配信を確認
📀
DVD / Blu-ray
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