何十人ものオーディションの後、藤木義勝を見て主演を即決
『ケルベロス 地獄の番犬』の主演・藤木義勝は、何十人ものオーディションが進んだ後に押井守と会い、その場で選ばれたそうです。共演者の千葉繁が2003年のトークイベントで振り返ったのは、内定者までいたところへ藤木が喫茶店に現れ、押井が「これでいこう」と決めた、という一幕でした。[1]
押井を惹きつけたのは、大柄な体と、顔を出さずに演じてきた経歴でした。同じイベントの記録には、藤木の背の高さや立ち姿から「大型犬」のイメージが浮かんだという押井の説明があります。藤木の体格が、主人公・乾という役の見え方に結びついたのです。[1]
藤木本人も、それまでの仕事では顔が映らず、声も別の人に吹き替えられていたと話しています。顔を出せるなら、という気持ちで臨んだ一方、役が決まると戸惑いもあったそうです。仮面の内側で演じてきた俳優が、今度は顔を見せる主人公を任されました。[1]
撮影を振り返った押井が感心したのは、藤木の我慢強さだけではありません。マスクをかぶっていても目線を取れ、自分がどの角度から撮られているかが分かる。そうした着ぐるみの演技で培った技術も評価しています。起用のきっかけとなった体格に加え、顔が隠れたままでも身体で演じられる経験があったのです。[1]
・脚注
- abcd野良犬の塒「押井守ナイトショウ」。2003年2月15日の上映イベントの観覧レポート。千葉繁の起用経緯の回想、押井守の選定理由と演技への評価、藤木義勝の発言を参照。