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飢餓海峡の映画トリビア用メインビジュアル 画像は生成イメージです
NHK BS プレミアムシネマ
次回放送 11月23日(月) 13:00〜

飢餓海峡

A Fugitive from the Past / 1965
IMDb ⭐ 7.9放送日 2026/11/23 NHK BS🕐 183分🎬 東映東京撮影所1965年
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探偵アイコン 探偵による映画背景メモ

1965年公開の本作で内田吐夢監督と撮影の仲沢半次郎らが選んだのは、16ミリの映像を35ミリへ拡大するなどして粒子の粗さを生む「東映W106方式」だった。通常なら画質の弱点とされるざらつきやネガ像の反転を、人物の切迫感へつなげる撮影・現像の実験である。美術の森幹男らは北海道や青森、東京を丹念に調べ、東映東京撮影所内にも現実の街を思わせる屋外セットを築いた。制作の遅れで1964年末の予定が翌年1月へずれ、『あの雲に歌おう』(1965)との二本立てで公開された。3時間級の映画の執念も、公開日と番組を組む会社の都合からは自由ではなかったのである。

― ポップコーン探偵
この映画の トリビア!!!
24件

ピックアップトリビア

撮影・映像技術
信頼度

荒れた画面は、意図して作られた――W106方式

『飢餓海峡』の白黒画面は、場所によってざらつき、粒子が強く目立ちます。これは古いフィルムだから、とだけ説明できるものではありません。16mmで撮った素材を35mmへ拡大し、粒子の荒れまで表現に使う方法が採られていました。[1]

・小さいフィルムを、大きく見せる

この試みは「東映W106方式」と呼ばれました。小さなフィルムの画面を引き伸ばせば、粒子も目立ちます。本作では、その性質を隠すのではなく、場面に合わせて使っています。[1]

otocotoの制作史解説によると、通常の拡大に加え、必要な部分を大きくして切り取る方法も用いました。青函連絡船の転覆を模型で撮った場面では、とくに大きく拡大。夏と秋でも倍率を変え、ざらつきの強さを調整したと説明されています。映画全体を一つの粗さにそろえたわけではないのです。[1]

・すべてを16mmで撮ったわけではない

同じ解説によれば、16mmが使われたのは全体の約5分の3。10年後の東京の部分には、35mmによる、よりくっきりした映像が使われました。時間や場所が変わることで、画面の手触りも変わります。[1]

そのため、ある場面の粒子が強いからといって、全編が同じ素材、同じ拡大率だと考えると、撮影の工夫を見落とします。荒涼とした敗戦直後の世界と、時を経た都市。その違いを、筋書きだけでなく映像の密度でも見せていたのです。

・現像所も、監督の演出を受けていた

こうした画面は、撮影だけでは完成しません。解説は、現像を担った東映化工の山本豊孝が、技術者の仕事も内田監督に細かく演出されていたと語った、当時の『映画撮影』の記事を紹介しています。[1]

荒れた画面を作るにも、ただ粗くすればよいのではなく、どこまで荒らし、どこを鮮明に保つかを決める必要がありました。本作の粒子は、映像に残ったノイズというだけでなく、作り手が選んだ画面の一部です。見直すときは、人物がいる時代と場所が変わったところで、白黒の肌合いも比べてみてください。

・脚注

  1. abcde「あの場所で観る最後のチャンス…『飢餓海峡』『動乱』――丸の内TOEIと東映映画の65年」、otocoto、「東映が描いた〈昭和〉」節。16mm/35mmの使い分けと拡大、『映画撮影』1964年10月号の山本豊孝談を紹介。(リンク)
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撮影・命名
信頼度

特殊な画面を生んだ「W106」という名前には、内田吐夢の「吐夢=106」という語呂合わせがある。一方、会社には、ワイドのWと16mmの間へ社長・大川博のOを入れた名称だと説明したという。技法名に、監督と会社それぞれの顔を立てたわけだ。

撮影・現像
信頼度

映像の加工は技術者だけで決めず、監督も仕上がりを判断していた。東映の山本豊孝は当時の業界誌で、現像処理にも内田吐夢の演出が及び、監督のOKが必要だったと説明している。俳優の芝居だけでなく、フィルムの仕上がりも繰り返し演出したのだ。

原作・脚本
信頼度

【ネタバレあり】左幸子が演じる八重が、主人公・犬飼の爪を大切にするエピソードは、水上勉の原作にはない映画独自のものだ。鈴木尚之の回想を紹介した記録では、脚本には当初、剃刀を残す案があった。内田吐夢がそれでは情が移らないと考え、鈴木が爪を提案したという。

美術・ロケ
信頼度

美術の森幹男は、各地のロケハンをもとに生活感のある屋外セットを撮影所にも設計した。残された図面や写真を調べた報告が、その作り込みを伝えている。四方田犬彦の解説によると、池袋の闇市セットは約200mに及び、クレーンを使った長回しにも用いられたという。

キャスティング
信頼度

犬飼を演じる三國連太郎の起用には、会社側から反対があったという。制作史を調べたデイヴィッド・ボールドウィンによると、岡田茂は三國に難色を示したが、内田吐夢は彼を使えないなら自分が降りると主張した。主演の選定から、監督の強い意思が通っていた。

キャスティング
信頼度

八重役は、最初から左幸子一人に決まっていたわけではない。制作史の研究では、岡田茂が佐久間良子を推し、内田吐夢もいったん同意したとされる。その後、岡田が京都へ異動した時期を経て、監督が望む左幸子の起用へ進んだという。

キャスティング
信頼度

老刑事・弓坂役には、小杉勇、辰巳柳太郎、山形勲らの名が挙がっていたという。制作に参加した内田有作の寄稿を引用した記録では、スタッフが伴淳三郎を提案すると、内田吐夢が賛成した。喜劇のスターが、重い犯罪劇を支える配役になった。

演技・撮影
信頼度

森林鉄道で八重がおにぎりを食べる場面には、共演者が驚いた撮影談が残る。2008年の上映会の参加記録では、三國連太郎は、左幸子が大きなおにぎりを15~16個も食べ、ようやく監督のOKが出たと話している。三國の回想として伝えられた数字だ。

スタント・終盤の撮影
信頼度

【ネタバレあり】犬飼が海へ身を投げる最後の場面では、本人と人形を使い分けたという。2008年の上映会の記録によると、三國連太郎は、船のスクリューを止めて自分が一度飛び込み、その後はスクリューを回して人形を落としたと説明した。本人の回想として残る撮影の工夫だ。

脚本・制作トラブル
信頼度

脚本の準備も穏やかではなかった。2008年の上映会の記録では、三國連太郎が、鈴木尚之の持参した約200枚の草稿を内田吐夢が目の前で破ったと回想している。鈴木はその原稿を拾って持ち帰ったという。三國が初めて見た、監督の激しい反応だった。

編集・版違い
信頼度

現在よく知られる183分版の裏には、会社と監督の編集方針の衝突がある。制作史では、約192分の編集から会社側が約167分へ短縮し、抗議を経て183分の折衷版が作られたとされる。ただし初公開は全館同じではなく、東京の4館が183分、ほかは短縮版だったという。

公開・配給
信頼度

本作は1964年12月27日の公開を予定していたが、実際の封切りは1965年1月15日になった。公開時の解説には、この繰り下げと『あの雲に歌おう』(1965)との併映が記録されている。1964年製作、1965年公開と、資料によって年が違うのもこうした経緯による。

撮影・天候
信頼度

函館の港を襲う嵐の撮影では、500人以上のエキストラや多数の車を準備したとされる。ところが都合よく台風は来ず、場面の撮影が遅れた。四方田犬彦の制作史解説によると、撮影は予定より約2週間延び、1964年10月末までかかったという。

原作・史実との差
信頼度

冒頭の海難事故や大火は、実際の災害をそのまま再現したものではない。原作の着想には1954年の洞爺丸事故と岩内大火があるが、物語の出発点は1947年に移されている。記録映画のような荒々しい画面でも、災害の年や事件を組み替えたフィクションなのだ。

関連作品への影響
信頼度

『リング』(1998)の脚本家・高橋洋は、本作の海の映像を念頭に脚本を書いたと語っている。フィルムの粒子の向こうに海が見えるような怖さを求め、撮影側とも話したという。ただしロケ先の大島では海の様子が違い、同じ映像にはならなかったとも説明している。

ロケ・実物資料
信頼度

青森市森林博物館の公式パンフレットは、本作のロケに使われた機関車を紹介している。下北森林鉄道で働いていた実物で、映画のために新造された車両ではない。一緒に紹介される客車は津軽森林鉄道のもの。機関車と客車で、由来となる路線が異なる。

保存・海外展開
信頼度

1965年の公開から長い時間を経て、Arrowは2022年版を日本国外で初の家庭用映像ソフト化として案内した。183分版のHDマスターは東映が用意し、Arrowが追加の色調整と画面修復を担当した。

関連作品・受容
信頼度

つげ義春の漫画『ねじ式』(1968)には、本作のスチル写真とのつながりが指摘されている。田口仁の書評は、批評家・堀切直人が1972年に、男女が一緒に床につく場面で写真が参照されたと記したことを紹介する。つげ本人の発言ではなく、批評側からの指摘だ。

演技・撮影現場
信頼度

西田敏行は2011年の取材で、布団の中の場面で三國連太郎が左幸子の下着を脱がそうとし、左が強い不満を覚えたと語っている。左本人から聞いた話だという。西田自身の目撃談ではなく、撮影中のやり取りを左がどう受け止めたかを伝える話として残っている。

監督・編集
信頼度

本作の短縮に抗議した内田吐夢は、自分の譲れないものを「芸コン」と呼んだという。伊藤大輔の追悼文を紹介した記録では、吐夢がその言葉はあるかと尋ね、伊藤が芸の根と書く「芸根」を提案した。吐夢はその表記を気に入ったと伝えられる。

演技・演出
信頼度

味村刑事を演じる高倉健も、厳しい演技指導を受けたという。鈴木尚之の回想を引用した記録では、内田吐夢は高倉の芝居をやくざ風だと叱り、大学を出たエリートの役なのだと念を押した。味村には、任侠映画とは別の人物像を求めていたのだ。

情報不足・要確認
信頼度

本作は16mmを35mmへ拡大した映画として知られるが、「全編16mm」とする説明には資料差がある。Arrowの解説冊子にはその表現がある一方、撮影史の記事は約5分の3が16mmで、後半の東京は35mmとする。撮影原版の全記録までは照合できず、全編とは断定しない。

情報不足・要確認
信頼度

湯野川温泉の撮影で、湯を白くするため六一〇ハップを入れたという話がある。現地の湯が無色透明で、映画のロケが行われたことは紹介されているが、薬品を使ったという具体的な工程は別問題だ。今回、使用量や担当者の記録までは確認できず、入浴剤の話は要確認として残る。

裏取り強め
有力ソースあり
未確認・噂寄り
情報不足・要確認

主な参考資料

配信で見る

飢餓海峡はどこで配信?

飢餓海峡を配信で見られるサービスを、確認できた範囲で掲載しています。未確認のサービスは公式サイトで探せます。

P
Prime Video
2026-10-23確認・追加チャンネル契約 / 東映オンデマンド(Prime会員特典とは別) / レンタル / 400円(HD) / デジタル購入 / 2,500円(HD)
U
U-NEXT
2026-10-23確認・見放題
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