ケンタウロスに見せたのは、小柄な馬と逆光だった
『ヘラクレス』に登場する、半人半馬のケンタウロスらしき兵士たち。あの姿の一部は、小柄な馬に乗った騎手が脚を後ろへ曲げ、逆光で撮影することで作られていました。VFXを統括したジョン・ブルーノが、撮影の仕掛けを明かしています。[1]
・人と馬を、一つの輪郭に重ねる
作中では、レーソスがケンタウロスの軍を率いているという噂が広まっています。その正体は騎馬兵です。撮影側には、普通の人と馬を、観客にも一度は半人半馬だと思わせる工夫が必要でした。[1]
ブルーノはケンタウロスを描いた絵を調べ、馬上の人物を太陽の逆光で見せるデジタルのテストも行いました。そこで探したのは、人間の胴体と腰が馬の体へつながって見える角度です。[1]
小柄な馬を使い、騎手の脚を後ろへ折り曲げる。さらに馬の頭がうまく重なる位置から撮ると、人と馬が一続きの生き物のように見えたといいます。生き物そのものを変えず、カメラに見える輪郭を変えていたのです。[1]
・実写で撮れた場面と、デジタルで作った場面
ただし、ケンタウロスがすべて実写の仕掛けだけで完成したわけではありません。ブルーノによれば、カメラの前で錯覚を作れたショットもあれば、デジタルのケンタウロスを使ったショットもあります。場面に合わせて、両方を使い分けていました。[1]
下の完成画面では、レーソス軍の兵士が普通に馬へ乗っていることが分かります。人の胴体と馬が別々に見えるこの構図と、輪郭を重ねた見せ方の違いが、噂の正体を考える手がかりになります。
・軍勢を大きくする仕事も、同じ戦いに重なっている
レーソス軍との戦闘はハンガリーで撮られ、Cinesiteが背景や群衆を拡張しました。担当のサイモン・スタンリー=クランプによると、求められたのは、実写に馬や兵士、地形を加えて規模を大きくすることでした。[1]
同じ騎馬軍でも、半人半馬に見せるための姿勢と撮影角度があり、戦場を広げるためのデジタル処理もある。馬に乗る人物を見る場面に、別々の工夫が重なっているのです。