主な参考資料
- ComingSoon.net
- Den of Geek
- Art of VFX
- Los Angeles Times
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2016年公開。アイク・バリンホルツとデヴィッド・スタッセンが、疎遠だった知人の近況写真をFacebookで見つけた体験から着想し、2010年ごろに書いたオリジナル脚本が出発点である。企画は当初ユニバーサルでエド・ヘルムズとウィル・フェレルの出演を想定していたが実現せず、『なんちゃって家族』(2013)を成功させたローソン・マーシャル・サーバーがニュー・ラインに脚本を買わせ、自ら改稿して監督した。製作者スコット・ステューバーがドウェイン・ジョンソンを提案し、サーバーは世界的なアクションスターを笑わせる側、人気コメディアンのケヴィン・ハートを受け止める側に置く配役へ転換した。撮影はボストン周辺で行われ、主要俳優が参加するアクションが多かったため、サーバー本人が全アクションの約85~90パーセントを監督したと述べている。製作費は5,000万ドルとされ、世界興収は約2億1,719万ドルに達した。スタジオと主演案を丸ごと入れ替えた企画が4倍超の興収を稼いだのだから、ハリウッドでは「没」も、保管場所さえよければ仕込みになる。
物語の種は、脚本家アイケ・バリンホルツがFacebookで見かけた一枚の写真だった。疎遠になっていた知人が機関銃を持って写っており、彼とデヴィッド・スタッセンは「旧友が不器用なジェイソン・ボーンのような人物になって戻ってきたら」と発想した。劇中の再会がSNS経由なのも、この実体験から生まれている。
最初の企画は、完成版とはまるで違う組み合わせだった。バリンホルツとスタッセンが2010年ごろに書いた最初のスペック脚本は、ユニバーサルでエド・ヘルムズとウィル・フェレルの主演案として進んだが実現しなかった。『なんちゃって家族』(2013)を終えたサーバーがニュー・ラインに取得を働きかけ、現在の映画へ再始動させた。
サーバーは元の脚本について、ボブとカルヴィンという人物や基本設定はバリンホルツとスタッセンのものだと明言している。自分の改稿は筋を整理して単純化することが中心で、はっきり自作と呼べる大きな追加は夫婦カウンセリング場面だったという。監督が原案の手柄を自分へ寄せず、改稿範囲を区別した証言である。
初期のボブは、太ったままなのに格闘が強い「太ったジェイソン・ボーン」という笑いだった。プロデューサーのスコット・ステューバーがドウェイン・ジョンソンを提案したことで、冗談の核は変わる。完成版では、外側に筋肉の鎧をまとっても、内側には高校時代の傷と不安を抱えた人物として作り直された。
ジョンソンとハートが最初に撮ったのは、二人が至近距離で見つめ合う夫婦カウンセリング場面だった。ハートが笑いを抑えられず、監督によれば笑い続ける映像だけで12分に達した。採用テイクも、さらに1フレーム長ければハートが吹き出すのが見えるぎりぎりで切られている。
完成版の即興は、監督推定で5~10%。サーバーは「脚本を撮った」うえで、良い案であれば両主演に自由に試させたと説明している。本人の見積もりでは、完成版に残った即興は全体の約5~10%だった。
サーバーと撮影監督バリー・ピーターソンは、コメディを広角レンズで大げさに見せる定型を避けた。準備中に1970~90年代のアクション・コメディを見直し、特に『48時間』(1982)の緊張と笑いの混在を参照したという。映像はあくまで本気のアクション映画に見せ、その中で起きる出来事を笑いにする方針だった。
ボブの時間は1996年で止まっている。制作側は、高校時代の傷によって彼の世界が1996年で止まったという人物設計を置き、衣装部にも当時の服装と髪型の資料を並べた。ジョンソンは、ボブが『ビバリーヒルズ高校白書』など1990年代の文化を引用し続ける人物だと説明している。
オフィスの小さなキッチンで、ボブが冷蔵庫の扉を相手へ何度も叩きつける動きには前身がある。サーバーは撮影中、自分がかつて監督したCM短編`Terry Tate: Office Linebacker`で、まったく同じ種類の動きを撮っていたことに気づいたという。本人が明言したセルフ引用である。
本作はARRI ALEXA XTで2.7K ARRIRAWを記録し、アクション映画らしい2.39:1の横長画面を選んだ。しかし一般的なアナモフィックレンズは使わず、VFXやフォーカス、レンズのブリージングが複雑になるのを避け、球面のCooke S4を中心に撮影している。横長の見た目と撮影方式を分けて設計した例である。
高校の体育館は、若いボブが屈辱を受ける昼と、20年後の同窓会の夜の両方に使われた。400~500人のエキストラを抱えたまま素早く切り替えるため、撮影班は天井へ50基のSpaceLightと太陽光用のT12照明を仕込み、夜用のロック照明も統合した。同じ空間を時代と時間帯ごとに作り替える大掛かりな準備だった。
アクション場面の多くにジョンソンとハート本人が写るため、本作では大規模な第二班を置かなかった。サーバーの見積もりでは、全アクションの約85~90%を自分で撮っている。コメディ監督からアクションへ移るための橋渡しとして、本作を現場で直接経験したかったという。
三階の窓からの落下は、実際にガラスを破って飛び出した。スタントダブルが三階建てセットの本物のガラスを破り、下の段ボールへ着地した。続く落下は実在の建物脇で減速装置を使って撮り、ブルースクリーン、建物の延長、減速の消去、着地点の巨大ゴリラを合成して一本につないでいる。
車内場面の背景は、4台の6Kカメラでボストンを撮った。撮影班はカメラカーへ4台のRED Dragonと12mm Master Primeを載せ、周囲を6Kで同時収録した。夜の空撮ではVFXスーパーバイザー自身がヘリコプターに乗り、ボストン一帯で後の合成に必要な方向を指示している。
若いボブの顔を作るため、ドウェイン・ジョンソンと体を演じたシオン・ケレピは、USC ICTの施設で顔の反射率撮影と高精細レーザースキャンを受けた。ジョンソンは約40種類のFACS表情を作り、シャワーで歌うEn Vogue「My Lovin'」の口パクも別収録した。予告編の締切に間に合わせるため、素材作りはプリプロダクションの早い段階から始まった。
CGで作り直したのは顔だけ。濡れた髪と耳は実写を残した。二人は頭の幅と高さが違うため、Wētāは太った若いロビーの頭部モデルを作り、実写をその形へ変形して再投影した。ただし濡れた髪、耳、水滴は実写を残し、CGで作り直す範囲を顔に絞っている。
VFXスーパーバイザーのケルヴィン・マキルウェインは、本作に約14か月参加した。本人の記憶では完成VFXは589ショットで、Wētā DigitalとRodeo FXが大部分を担い、Cantina Creativeはモニター表示からタイトル映像まで担当を広げた。顔置換だけでなく、銃口火花、弾着、走行背景、落下、画面表示までを含む規模である。
散らかったソファが一瞬で整うギャグは、ワンテイクの実写だった。カメラを止めない連続テイクの途中でスタッフが入り、寝具と美術を猛烈な速さで交換した。ホームビデオ特典`Couch Time Lapse`には、その舞台裏が41秒にまとめられている。
ホームビデオには、劇場版へ8分を超える未公開素材を戻したアンレイテッド版が収録された。追加部分は主に台詞、下品な冗談、強い言葉の拡張で、別テイクや即興を集めた`Line-O-Rama`も別特典として残された。「削除場面をすべて復元した監督版」ではなく、レイティング外の長尺版である。
【ネタバレあり】物語の最後、飛んできたズボンを勢いよく受け取る人物は、監督のローソン・マーシャル・サーバー本人である。サーバーは自分を「ひどい俳優」と冗談めかしながら、『ドッジボール』(2004)や『なんちゃって家族』(2013)と同じく、小さな役なら今後も続けたいと語っている。
【ネタバレあり】ボブは作中で、学園映画『すてきな片想い』(1984)のような瞬間を夢見ていたと語る。終幕はその言葉を回収し、白い衣装で向かい合う二人と赤いスポーツカーという、同作ラストに対応する画面を置く。台詞と構図の双方で確認できる引用だが、衣装の細部をどこまで厳密に再現したかという制作側の証言は未確認である。
『セントラル・インテリジェンス』は、サーバーとジョンソンの次作『スカイスクレイパー』(2018)の直接の足場にもなった。本作の編集中に『クリード チャンプを継ぐ男』(2015)を見たサーバーは、スタローン作品を再訪し、『クリフハンガー』(1993)の冒頭から「救えなかった失敗を抱える主人公」を着想した。鶴原顕央の記録も、この本人取材を紹介している。
The Numbersの現行集計では、製作費は5,000万ドル。北米興収127,440,871ドル、海外89,753,934ドル、世界合計217,194,805ドルを記録している。宣伝費や最終利益を含む数字ではないため、「製作費の4倍以上を稼いだから純利益も同程度」とは計算できない。
ボブの黄黒の靴、格闘前の構え、短い距離から放つパンチを、ブルース・リー映画への三重の引用とする説がある。確かに画面上は『死亡遊戯』の配色やワンインチパンチを連想させるが、監督、衣装、振付担当者が3点を意図的な組み合わせだと説明した資料には到達できなかった。見た目の一致はあるものの、制作意図は未確認である。
暗闇でボブがカルヴィンの背中を叩く動作を、『ピッチブラック』(2000)のヴィン・ディーゼルと結びつける説がある。しかしサーバー本人が挙げた本作の参照作品やセルフ引用の説明には同作が現れず、脚本家・主演・編集の証言も確認できなかった。似た動作と共演関係を組み合わせた推測の域を出ていない。
ボブの姓`Stone`は、ドウェイン・ジョンソンのリングネーム`The Rock`を言い換えたものだという説がある。ただし原案のボブ自体はジョンソン起用前から存在し、確認できた脚本家取材は役名の由来に触れていない。言葉遊びとしては成立するが、起用後に意図して命名・改名した証拠は未確認である。
【ネタバレあり】終盤のバー`Señor O'Houlihan's`を、サーバー監督作『ドッジボール』(2004)のパッチーズ・オフーリハンにちなむ店名とする説がある。姓の一致と同監督という条件はそろうが、サーバー本人が明かした冷蔵庫の扉のセルフ引用とは違い、この命名を説明した取材は確認できなかった。可能性は高そうに見えても、現段階では未確認である。