本作のシーズン1は、リー・チャイルドの原作第1作『キリング・フロアー』(1997)から始まった。ショーランナーのニック・サントラは、長編小説のどれを選んでも1シーズンを作れる状態だったが、テレビでの再出発だから最初の物語から入るのが自然だと制作陣で判断したと説明している。以後も原則として1シーズンに1冊を映像化する構成になった。
探偵によるドラマ背景メモ
2022年開始の本作は、ニック・サントラがテレビ向けに書き、ショーランナーを務めるリー・チャイルド原作のシリーズであり、2026年8月12日にはシーズン4が最初の3話とともに配信を始めた。シーズン1では、すでにテレビ化を望んでいたチャイルドのもとへサントラが参加し、「テレビでの再出発」だから原作第1作から始めるという判断が置かれた。主演アラン・リッチソンの選考には6〜8か月を要し、撮影が始まったシーズン1前半には、原作を読んだ現場スタッフそれぞれのリーチャー像に応じて同じ場面を何十通りも試すことがあったという。シーズン2では、原作第11作を選んだ共同判断と、カナダ・トロント撮影ではラスベガスの砂漠を作れないという実務上の制約から、舞台設定をニューヨークとアトランティックシティへ組み替えた。シーズン3では、原作に忠実な巨体の相手役を探すためリッチソン自身がオリヴィエ・リヒタースをSNSで見つけ、リヒタースは決戦に備えて4か月のスタント訓練を行った。Prime Videoによればシーズン3は配信後19日間で世界5,460万人に視聴され、各シーズンで原作を替える形式は、放浪者の主人公だけでなく制作側にも毎年ほぼ新番組を作らせる仕組みになったのである。
アラン・リッチソンが主演に決まるまでの選考は、約6〜8か月続いた。最初の選考では一度外れたが、新しい場面を使う選考へ進み、その間に当時刊行されていたジャック・リーチャー小説24冊をすべて読んだ。読み進めるほど役を演じたい気持ちが強まり、本人は長い選考を懸命に勝ち取りにいったと振り返っている。
新型コロナウイルス流行中に行われた本作のスクリーンテストで、アラン・リッチソンは自宅のカメラと照明を使い、自分の服へマイクを付けて演技した。ところが緊張で激しく鳴る心臓の音をマイクが拾い、ショーランナーのニック・サントラたちは演技より音が気になって再演を求めた。リッチソンは画面外でマイクを外し、もう一度演じて主演をつかんだ。
アラン・リッチソンは、本作の準備に入ってからも、トム・クルーズ主演の『アウトロー』(2012)と『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』(2016)を見なかった。クルーズを尊敬しているからこそ、無意識にまねる危険があると考えたためである。映画版を否定するのではなく、自分のリーチャーを原作から組み立てるために距離を置いた。
シーズン1のパイロット監督トマス・ヴィンセントは、アラン・リッチソンの顔から数センチの位置へ、通常は広い風景を写すために使う広角レンズを置いた。現場ではこの撮り方をリーチャー・ショットと呼んだ。リッチソンは視界の大半がレンズで埋まり、カメラを見ずに周囲へ視線を送る演技に苦労したが、人物の大きさを観客へ体感させる画面になった。
シーズン1前半の現場では、原作を読んだスタッフがそれぞれ異なるジャック・リーチャー像を持っていた。ある人は面白く、別の人は威圧的に演じるよう求め、アラン・リッチソンは同じ場面を約25通りの解釈で撮ることもあった。シーズン1で作品の調子が定まったため、シーズン2では現場の意見を絞り、少ない演技案で撮影できるようになった。
本作の格闘場面は、まず脚本家たちが原作を読み、ジャック・リーチャーが力任せではなく最短の動きで相手を倒す戦い方を脚本へ移した。スタントチームはその内容を動きに直し、アラン・リッチソンが演じたリハーサル映像をプリビズとして撮影した。プリビズとは本番前に動きと画角を確認する試作映像で、プロデューサー、スタジオ、Prime Video、原作者リー・チャイルドが見て修正を重ねた。
本作のシーズン1で、ジャック・リーチャーが拳銃を持つ男とバールで戦い、花瓶で頭を殴られてプールへ落ちる場面では、本物のガラスではなく、割れやすい砂糖製の花瓶を使った。アラン・リッチソンは強い衝撃を受け、撮影後に帽子を脱ぐと頭から血が流れていた。リッチソンが製作総指揮のドン・グレンジャーへ、負傷後のリーチャーは足を引きずるのかと尋ねると、グレンジャーは超人的な人物なので平気だと答えた。
シーズン1に登場するジョージア州の架空の町マルグレイブは、既存の町を一か所で撮影したものではない。美術班はカナダ・オンタリオ州ピカリングの畑へ街路を引き、食堂、警察署、商店、ガソリンスタンドなどの外観を建てた。美術監督組合の制作資料には、何もない畑が冬の工事を経て一つの町へ変わる過程が残されている。
本作は原作を刊行順に映像化せず、シーズン2で第11作『消えた戦友』(2007)へ飛んだ。制作会社、Prime Video、プロデューサー、アラン・リッチソンらが人気作を候補に話し合い、いつも一人で移動するジャック・リーチャーが、かつて率いた特別捜査部隊の仲間といる時にどう変わるかを見せる物語を選んだ。
シーズン2の原作『消えた戦友』(2007)は、ロサンゼルスとラスベガスを舞台にしている。しかし本作はカナダのトロントで撮影するため、ショーランナーのニック・サントラは、砂漠を再現できないと判断した。そこで物語の舞台をニューヨークとアトランティックシティへ移し、撮影可能な都市の景観に合わせて脚本を組み替えた。
【ネタバレあり】シーズン2終盤の研究開発施設は、俳優が触れ、格闘で実際に壊せる実物セットを優先して作られた。プロダクションデザイナーのナズ・ゴシュタスプールは、脚本を読んで監督と動線を決めた後、特殊効果とスタントの担当者を交え、ガラスを割る位置や人物が飛び越える障害物まで調整した。CGへ置き換えるかどうかは、安全、準備時間、撮影当日の条件を場面ごとに比べて決めている。
シーズン2の研究開発施設では、並んだ作業机を同じ備品で埋めなかった。美術班は、漫画が好きな研究員、新聞記事を切り抜く研究員など、画面の中心に登場しない人物の生活まで設定し、机ごとに異なる小物を作った。プロダクションデザイナーのナズ・ゴシュタスプールは、派手な上着とパーティー用の靴を置いた架空の職員を「トリッシュ」と呼び、画面にほぼ映らない部分にも職場の時間を積み重ねた。
シーズン3の原作『宿敵』(2003)には、ジャック・リーチャーよりさらに大きいポーリーが登場する。制作側が身長2メートルを超えて演技もできる人物を探す中、アラン・リッチソンがSNSでオリヴィエ・リヒタースを発見した。リヒタースは本作を視聴していた約6か月後、自分が画面の中でリーチャーと向き合うことになった。
シーズン3でポーリーを演じたオリヴィエ・リヒタースは、ジャック・リーチャーとの決戦に備えて4か月のスタント訓練を行った。日中に約4時間の格闘練習をし、夜は筋力トレーニングを続けたため、体重を維持するだけでも1日約7,000キロカロリーが必要だったという。1日7食に分け、卵16個、肉約800グラム、ヨーグルト1キログラムなどを食べて撮影へ備えた。
本作のシーズン3でジャック・リーチャーとポーリーが戦う最終決戦は、約3週間かけて撮影された。1場面の格闘に通常の短い撮影期間を当てたのではなく、場所と攻防を変えながら続く決戦を、一話の中心になる長さで積み上げた。アラン・リッチソンは、この撮影をそれまでの本作で最も身体的負荷が大きい仕事だったと振り返っている。
シーズン3最終話で、ポーリーがジャック・リーチャーを持ち上げ、納屋の床に置かれたテーブルへ叩きつける場面は、当初スタントマンを使って床側から撮る予定だった。アラン・リッチソンは、観客に本人が演じていると分かる画角にしたいと主張し、この約3秒のカットを自分で演じた。オリヴィエ・リヒタースにテーブルを突き破る勢いで投げ落とされ、リッチソンは「一日半後に目を覚ました」と振り返っている。
本作のシーズン4は、リー・チャイルドの原作第13作『ゴーン・トゥモロー』(2009)を映像化した。2026年8月12日に最初の3話を配信し、その後は毎週1話ずつ配信する構成である。原作のニューヨークから映像版のフィラデルフィアへ舞台を移した点は、別カードで制作側の判断を扱う。
本作のシーズン1第1話で、ジャック・リーチャーが刑務所の浴室で5人を相手にする格闘は、アラン・リッチソンが振付映像を見て「自分にこの動きができるか」と不安になるほど複雑だった。スタントコーディネーターのバスター・リーヴスは、リッチソンを基礎動作へ戻し、打撃に使う身体の部位と連続する動きを一つずつ組み直した。リッチソンは数か月にわたって汗を流し、荒々しく見えても最短の動きで相手を倒す人物像へ身体を合わせた。
本作のシーズン1で、徒歩のジャック・リーチャーを車が追い、何かが車を止める場面は、制作側が特に長く話し合った車両スタントだった。ショーランナーのニック・サントラは、見せ場として成立させながら誰も負傷しない停止方法が必要だったと説明している。完成映像の派手さより先に、車をどこで、どのように止めるかという安全上の問題を詰めたのである。
【ネタバレあり】本作のシーズン2最終話で格闘の舞台になるヘリコプターは、見た目だけの機内セットではない。プロダクションデザイナーのナズ・ゴシュタスプールは、スタント担当のバスター・リーヴスとアレックス・バロンを設計初期から参加させた。ワイヤーなどの機材を内部へ固定できる構造にし、人物がぶつかる内装パネルは通常より厚くして、狭い機内での動きと安全を両立させた。
本作のシーズン3で、ポーリーの腕が跳ね返って自分の顔へ当たる場面を撮る際、オリヴィエ・リヒタースは繰り返し撮影を避けようと、スタッフへ告げず本当に自分の顔を殴った。腕が顔へ当たると肘から後ろへ倒れ、その場でぼうぜんとしたが、撮影側は一度で使える映像が撮れたと判断した。リヒタースは後からスタント担当へ事実を明かし、現場で自分が選んだ方法だったと説明している。
【ネタバレあり】本作のシーズン3最終話では、ジャック・リーチャーとポーリーの決戦が水中にも及ぶ。オリヴィエ・リヒタースは過去の別作品で溺れかけた経験があり、水への恐怖を乗り越えて撮影へ臨んだ。水中はわずかな失敗でも危険が大きくなるため、現場には複数のダイバーを待機させ、巨大な2人が安全に動き、倒れる方法まで訓練した。
本作のシーズン4は、最初の4話だけで、短い乱闘ではない本格的な格闘を11本用意した。スタントコーディネーターのバスター・リーヴスによれば、すべて振付を作り、プリビズで動きを試し、出演者が自分の担当部分を覚える必要があった。その量を見たリーヴスは、撮影が進んでから人員を増やすのではなく、最初からスタントチーム全体を投入した。
本作のシーズン4でリラ・ホスを演じるアグネス・モーは、インドネシアの伝統武器カランビットを使う動きに、東南アジア武術と伝統舞踊ジャイポンの要素を取り入れた。ただし、特定武術のシラットを誤って再現したと受け取られないよう、制作側は動きをシラットそのものとは呼んでいない。モー自身の舞踊経験を使い、これまでの力を前面に出した格闘とは異なる人物固有の動きにした。
本作のシーズン4に登場するボウリング場の格闘は、殴り合いを長く見せるのではなく、ジャック・リーチャーが相手の銃をどう奪うか判断する過程を軸に約7分へ組み立てた。スタント班はボウリング球、ピン、トロフィー、ポップコーン機など、場内にある物を動きへ取り込んだ。アラン・リッチソンは、格闘の中にもう一つの物語を置くことで、観客が打撃の反復に疲れず、毎回の判断と危険を追えるようにしたと説明している。
本作のシーズン4は、原作『ゴーン・トゥモロー』(2009)のニューヨークから、フィラデルフィアへ舞台を移した。監督兼製作総指揮のサム・ヒルは、シーズン2ですでにニューヨークを扱ったため、同じ都市景観を繰り返さないことが変更理由の一つだったと説明している。撮影はトロントのセットだけで済ませず、フィラデルフィアの地下鉄や、ほかの都市へ置き換えにくい現地の景観でも行った。
本作のシーズン4でフィラデルフィアの古い集合住宅として登場する場所は、トロントのスタジオに建てた大型セットである。各階を別の部屋へ組み替えられ、人物と撮影機材を約45フィート上下させる実働エレベーターも備えた。配管、漆喰、レンガ、配線を画面外まで連続させ、あえて通行の邪魔になる物も置くことで、撮りやすい舞台ではなく、登場人物が追跡し、撮影班も実在の狭い建物にいるよう工夫を求められる迷路にした。
本作のシーズン2は、配信開始後最初の3日間の世界視聴規模が、シーズン1の同じ期間を50%上回ったとPrime Videoが発表した。この数字はシーズン全期間の累計視聴者数ではなく、公開直後の同一期間を比べた増加率である。製作費や有料会員数と結び付けず、初週末の反応を示す限定的な指標として扱う必要がある。
本作のシーズン1は原作『キリング・フロアー』(1997)を基礎にしているが、同作には登場しないフランシス・ニーグリーを先に登場させた。ショーランナーのニック・サントラは、原作の人物像を変えるのではなく、別の原作巻から主要人物を少数だけ移すことでテレビシリーズを助けられると制作陣が判断したと説明している。マリア・ステンが演じるニーグリーは、各シーズンで土地と周囲の人物が替わる本作に継続性を持たせた。
本作のシーズン3最終話で、ジャック・リーチャーとポーリーの決戦が何度倒れても終わらず、複数の場所へ移りながら続く構成の参考になったのは、『ファミリー・ガイ』(1999-)でピーターと巨大ニワトリが延々と戦う場面だった。アラン・リッチソンとオリヴィエ・リヒタースは、この意外な参照を共に説明している。体格差を一度の大技で終わらせず、「2人の巨人」の戦い自体を長い物語にする発想へつながった。
本作のシーズン3から、主演のアラン・リッチソンは製作総指揮にも加わった。制作会社Skydanceが2024年3月に新キャストを発表した時点では、撮影はトロントで進行中であり、リッチソンは出演だけでなく、ショーランナーのニック・サントラ、原作者リー・チャイルドらと同じ製作総指揮陣に名を連ねていた。
本作のシーズン3は、配信開始後19日間で世界5,460万人に視聴されたとPrime Videoが発表した。これは同サービスで『フォールアウト』(2024-)シーズン1が配信されて以降、同じ19日間で比べたシーズン作品として最大の記録だった。全期間の累計視聴者数や加入者数ではなく、配信直後19日間に限定した世界視聴者数である。
本作のシーズン2第1話では、ニーグリーが偽名として「サラ・コナー」を使う場面がある。ラングストン役のロバート・パトリックは、『ターミネーター2』(1991)でサラ・コナーを追うT-1000を演じた。そのため、この偽名はパトリックの過去作への目配せだと解釈されているが、脚本家や制作側が意図を明言した資料は確認できていない。
本作でマリア・ステンが演じるフランシス・ニーグリーは、単独のスピンオフ『Neagley』(2026)の主人公にもなった。Prime Videoによれば、全8話を本作のシーズン4最終話後にまとめて配信する予定である。原作第1作には登場しなかった人物をシーズン1から導入した判断が、別シリーズを担う人物へ発展した。
「リーチャー」という名前は、原作者リー・チャイルドが英国のスーパーで、高い棚の商品を取ってほしいと年配の女性から頼まれた経験に由来するとされる。その話を聞いた妻が、執筆で成功しなければスーパーで物を取る「リーチャー」になれると言い、それが主人公名になったという。ただし、今回の調査ではチャイルド本人の原発言まで確認できていない。
原作のジャック・リーチャーは、英国チーニー社の「テンターデン」という重い革靴を選ぶ。一方、本作ではレッドウィングのアイアンレンジャー・ミュールスキナーを履いているとされる。どちらも頑丈さを重視した靴だが、本作で使われた製品型番は、衣装担当者の資料から独立確認できていない。
シーズン3のベック邸として使われた建物は、カナダ・オンタリオ州カレドンの「Escarpment House」である。この建物は、画面に見えるような大きな水域のそばにはないため、邸宅の外景に映る背後の水面はデジタル追加だという説がある。ただし、VFX担当会社の資料や制作側の比較画像は確認できておらず、現段階ではロケ地の地理と画面の比較から推測された説である。
本作についてPrime Videoは、シーズン2の公開直後の増加率や、シーズン3の配信後19日間の世界視聴者数を発表している。一方、各シーズンの製作費と配信収益を同じ基準で比べられる公式資料は確認できない。このため、視聴者数が多いことから制作費を回収した、利益が出たとまでは判断できない。
ショーランナーのニック・サントラは、シーズン1が配信された時点でも、主演アラン・リッチソンと原作者リー・チャイルドに直接会っていなかったとされる。企画、脚本執筆、オーディションなどをZoom中心の遠隔作業で進めたという。リッチソンの自宅スクリーンテストは本人取材でも確認できるが、サントラが2人と対面しなかった範囲の原発言は確認できていない。
【ネタバレあり】本作のシーズン1とシーズン2では、親密な場面の裸体表現が異なるとされる。シーズン1のウィラ・フィッツジェラルドは第4話で裸体を含む演技を行い、シーズン2のセリンダ・スワンは第2話で裸体を見せない表現を選んだという。ただし、出演者本人の発言や制作側の同意記録は確認できておらず、個人の判断理由を推測してはならない。
シーズン1第8話の終盤で、ジャック・リーチャーがようやくピーチパイを食べようと食堂へ入る。その入口ですれ違い、「失礼」と声をかけて店を出る客を演じているのは、原作者リー・チャイルドである。長い説明や役名を与えず、物語を生んだ人物が主人公と一瞬だけ交差するカメオになっている。
原作では、相手に話しかけられても返事をしない場面を「リーチャーは何も言わなかった」という一文で何度も表す。本作のシーズン1第1話も、駐車場で男をにらんで退かせる場面や、警察に逮捕される冒頭で、ジャック・リーチャーが言葉を返さない。この無言は、原作の決まり文句を台詞に置き換えず、アラン・リッチソンの視線と姿勢で見せたものと読める。
ジャック・リーチャーは、海兵隊大尉の父とフランス人の母を持つ人物である。一方、アラン・リッチソンの父は米空軍軍人、母はフランス語教師だったとされる。軍人の父とフランスにつながる母という組み合わせが役と俳優で偶然重なるが、配役理由として制作側が挙げた事実は確認できていない。
シーズン1第5話でジャック・リーチャーがハブル家から持ち出す高級車は、ベントレー・フライングスパーだとされる。投稿された車両情報では価格は25万ドルを超え、W12エンジン仕様は時速200マイルを超える性能を持つ。ただし、撮影に使った個体の年式とグレードは確認できていないため、価格と性能を画面の車両へそのまま確定できない。
本作では、母親を含む複数の人物がジャック・リーチャーの兄ジョーを「ジョセフ」と呼ぶ。ところが原作では、ジョーはジョセフの愛称として付けられた名ではなく、正式な名前そのものが「ジョー」だとされる。映像版は家族が使う呼び方を変えたことになるが、変更理由を説明した脚本資料は確認できていない。
シーズン1第2話に登場するモリソン署長邸は、物語上のジョージア州ではなく、カナダ・オンタリオ州マーカムのデビルズ・エルボー地区にある住宅を使ったとされる。地区と話数まで示されたロケ地情報だが、制作側のロケ台帳や現地所有者の記録までは確認できていない。
シーズン1でベントレーの窓を着色し、代わりのミニバンを借りる自動車工場は、カナダ・オンタリオ州ハミルトンのパークデール通りとバーリントン通り東の交差点付近で撮影したとされる。ジョージア州の郊外に見える外観を持つ場所だが、制作側のロケ記録は未確認である。
ジャック・リーチャーは服を着古す前に捨てることが多いが、折り畳み歯ブラシだけは持ち歩く。シーズン2では敵に壊されると強く反応し、シーズン3ではモーテルから急いで逃げる場面でも歯ブラシを回収する。原作でも、歯ブラシはキャッシュカードや身分証と並ぶ数少ない所持品として挙げられている。
シーズン2第1話でジャック・リーチャーが使う暗証番号は「8197」で、原作『消えた戦友』(2007)にも同じ数字が登場するとされる。81は平方根の9が各桁の和8+1にもなり、97は最大の2桁素数である。この二つの性質を並べた数字だという説明があるが、作者や脚本家が選定理由を語った原典は確認できていない。
シーズン2第2話でオドネルが、110特別捜査部隊を恨む人物の候補としてジェームズ・バーを挙げる。ジャック・リーチャーは「少し前にインディアナで会った。今では俺に借りがある」と退ける。バーは原作『ワン・ショット』(2005)と、その映画化『アウトロー』(2012)の事件の中心人物であり、本作の世界ではその出来事がすでに過去にあったと読める台詞になっている。
シーズン2には、カーラ・ディクソン役のセリンダ・スワン、フィンリー役のマルコム・グッドウィン、ガイターノ・ルッソ役のドメニク・ランバルドッツィが出演する。この3人はそろって『ブレイクアウト・キング』(2011–2012)にも出演していた。意図的な同窓会配役かどうかは、制作側の資料で確認できていない。
アラン・リッチソン、シーズン1でチャーリーを演じるクリスティン・クルック、シーズン2でカーラ・ディクソンを演じるセリンダ・スワンには、『ヤング・スーパーマン』(2001–2011)への出演歴がある。同作では順にアクアマン、ラナ・ラング、ザターナを演じた。本作での再共演が過去作を意識した配役かどうかは確認できていない。
シーズン3でジャック・リーチャーとクインとして対峙するアラン・リッチソンとブライアン・ティーは、以前にもヒーローと悪役の組み合わせで共演していた。『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>』(2016)で、リッチソンはラファエロ、ティーはシュレッダーを演じた。ティー自身も、以前働いた相手と全く異なる人物関係で再び組めることを面白いと語っている。
シーズン3第4話の張り込みを描く回想場面では、人物たちの近くに日産Zが駐車されているという画面観察がある。クイン役のブライアン・ティーは『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』(2006)で、Zを運転するDKを演じたため、この車は過去作への目配せではないかと解釈されている。ただし、車種の独立確認と制作側による意図の説明はない。
シーズン4は原作『ゴーン・トゥモロー』(2009)の筋を使いながら、人物名にも変更を加えた。地下鉄でジャック・リーチャーと出会うスーザン・マークはスーザン・メリックとなり、原作の警察官テレサに対応する人物はタマラという名で登場する。名前を変えた理由を説明した脚本家の発言は確認できていない。
アラン・リッチソンは、寡黙なジャック・リーチャーなら台詞の暗記は容易だと考えていたという。ところが、4ページ分の独白を約30秒で話す場面があり、夜に追加で覚える必要があったとされる。数字を含む本人発言の要約は残っているが、元の取材と該当話は確認できていない。
ジャック・リーチャーは、自分を単なる放浪者を意味する「vagrant」ではなく、「hobo」と呼ぶ。歴史的には、hoboは旅先で仕事を探し、滞在する共同体を尊重する移動生活者、vagrantは物乞いや軽犯罪と結び付けられた浮浪者という区別があったとされる。各地を移動しながら町の問題を解決するリーチャーが前者を選ぶのは、自分を迷惑な流れ者とは見なしていないからだと解釈できる。
フランシス・ニーグリーの名前は、読者が原作へ自分の名を登場させる権利を競うサイレントオークションから生まれたとされる。落札した読者の名がフランシス・ニーグリーで、当初は一度だけ使う予定だった人物が、原作と本作の双方で重要な存在へ育ったという。ただし、この経緯を記した原作関連書籍は直接確認できていない。
シーズン2でカルヴィン・フランツを演じるルーク・ビリクと、トニー・スワンを演じるシャノン・クックは、『デグラッシ:ザ・ネクスト・ジェネレーション』(2001–2015)にも出演していた。同作ではビリクがドリュー・トーレス、クックがゼイン・パークを演じた。過去作を意識した配役かどうかは確認できていない。
シーズン1のバーで、ジャック・リーチャーはボクシングを人工的な競技だと退け、相手を3発で倒す。この考え方は、シーズン1の基になった『キリング・フロアー』(1997)ではなく、シーズン2の原作『消えた戦友』(2007)で語られるという。映像版は一冊だけを機械的に再現せず、別巻にある人物の戦い方を早い段階へ移したことになる。
シーズン3の巨漢ポーリーは、原作『宿敵』(2003)ではイタリア系のポール・マッセレラである。本作は名前をポーリー・ファン・ホーヴェンへ変え、オランダ出身のオリヴィエ・リヒタースが演じるオランダ人として描いた。俳優の出身と人物設定は一致するが、それを変更理由とする制作側の説明は確認できていない。
【ネタバレあり】原作『宿敵』(2003)では、ザカリー・ベックの妻エリザベスがジャック・リーチャーへ多くの情報を与える重要人物として登場する。本作のシーズン3では、エリザベスはすでに亡くなった設定となり、画面に登場しない。その結果、ベック家でリーチャーと最も長く接する家族は息子リチャードになったが、人物を外した理由は確認できていない。
【ネタバレあり】シーズン3でベック邸のフランス人メイドとして働くアネットは、原作『宿敵』(2003)には登場しない本作独自の人物である。アネットが加わったことで、フランス人の母を持つジャック・リーチャーがフランス語を話す場面も生まれた。ただし、フランス語を使わせることが人物追加の目的だったと制作側が明言した資料は確認できていない。
アラン・リッチソンがシーズン1のために「30ポンドの筋肉」を増やしたと紹介されることがある。本人が説明したのは、8か月で体重を205ポンドから235ポンドへ増やしたという話で、30ポンドすべてが筋肉ではなく、筋肉は半分を少し超える程度だったと思うと訂正している。増量と過度な訓練で身体を痛め、撮影後には手術も必要になった。
主な参考資料
- Television Academy
- Prime Video / Amazon
- Art Directors Guild
- Associated Press
- TheWrap
- British GQ
- No Film School
- Men's Health
- Slashfilm
- TVLine
- Collider
- Empire
- ComingSoon
- GamesRadar+
- Den of Geek
- Entertainment Weekly
- Skydance
- MovieWeb
- Movie Mistakes
- ScreenRant
- Men's Journal