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2016年公開。ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオは動物だけの都市を作るため、ケニアや動物園で生態を調べ、大小さまざまな哺乳類を同じ画面へ置く骨格、衣服、毛並みの技術を新たに整えた。初期版はキツネのニックを主人公に、捕食動物を首輪で管理する暗い社会を描いていたが、観客が都市を愛せないと判断され、公開のおよそ1年前にウサギのジュディを主人公へ変更して物語を大幅に組み直した。技術論文まで公開された毛の描画と、ぎりぎりまで続いた構成変更は、世界興収10億ドル超と長編アニメーション賞につながった。多様性を掲げる理想都市も、完成前には主人公と社会制度を丸ごと再開発されていたのである。 ---
『ズートピア』は、イギリスなど一部地域では『Zootropolis』、ドイツでは『Zoomania』として公開された。商標や地域事情により、同じ映画でも国ごとに看板名が違う作品なのだ。
初期開発ではニック・ワイルドが主人公寄りで、プレデター管理の首輪など、よりディストピア色の強い設定があったとされる。最終版ではジュディ視点へ変わり、街への希望を先に見せる構成になった。
制作陣はディズニー・アニマルキングダム、ケニア、サンディエゴのサファリパークなどで動物を研究した。かわいい擬人化の裏には、歩き方や毛色の観察がかなり積まれている。
大量の哺乳類を自然に見せるため、ディズニーは毛を制御するiGroomというツールを開発した。ジュディやニックの毛並みは、一本一本の毛の量感まで意識して作られている。
ナマケモノ職員が働くDMVの場面は、本編だけでなく予告編でも大きく使われた。ゆっくりすぎる動きと役所的な空気が合わさり、作品を一発で覚えさせる小ネタになった。
ズートピアの都市デザインは、ニューヨーク、サンフランシスコ、ラスベガス、上海、香港など複数都市を参考にしている。動物サイズの違いを入れつつ、世界の大都市を混ぜた街として設計された。
『ズートピア』では、ジュディとニックだけでもそれぞれ約250万本規模の毛が設定され、キリンにはさらに膨大な毛があったとされる。中には『アナ雪』のエルサ以上に毛量の多い小動物もいた。
『ズートピア』は動物がかわいいだけの映画として紹介されることもあるが、実際には偏見や都市設計の話がかなり濃い。単なるキッズ向けとだけ見ると、社会風刺の部分を見落としやすい。
バイロン・ハワードは初期に複数の動物企画を出しており、その中には宇宙の賞金稼ぎ犬のような案もあった。『ズートピア』は最初から警察バディ物だったのではなく、動物世界の別案から育った企画だ。
動物だけの現代都市という案を聞いたジョン・ラセターは、強い反応を示したとされる。擬人化動物を自然界でも人間界でもなく、動物が作った都市に住まわせる点が企画の核だった。
『ベイマックス』で使われたHyperionレンダラーには、本作のために毛皮表現の新しい仕組みが加えられた。都市の光と毛並みを同時に扱うため、レンダリング側も進化している。
『アナと雪の女王』で使われた植物生成ツールBonsaiは、『ズートピア』の木々や植物にも使われた。動物の毛だけでなく、都市の緑にも大量バリエーションを作る技術が入っている。
『ズートピア』は、ディズニー・アニメーション本社改修中に、巨大倉庫の仮設拠点で『モアナ』と並行して制作された。華やかな完成画面の裏で、スタジオ環境そのものが仮住まいだった時期がある。
ナマケモノのDMV場面は、本編公開前の予告で大きく話題を作った。事件の本筋から少し離れたギャグが、映画の空気を一発で伝える宣伝素材になったのだ。
ジュディとニックは『Disney Infinity 3.0』にも登場し、映画外でもキャラクター展開された。映画の中のバディが、遊べるキャラクターとしても使われたのだ。