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2016年公開。ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオは動物だけの都市を作るため、ケニアや動物園で生態を調べ、大小さまざまな哺乳類を同じ画面へ置く骨格、衣服、毛並みの技術を新たに整えた。初期版はキツネのニックを主人公に、捕食動物を首輪で管理する暗い社会を描いていたが、観客が都市を愛せないと判断され、公開のおよそ1年前にウサギのジュディを主人公へ変更して物語を大幅に組み直した。技術論文まで公開された毛の描画と、ぎりぎりまで続いた構成変更は、世界興収10億ドル超と長編アニメーション賞につながった。多様性を掲げる理想都市も、完成前には主人公と社会制度を丸ごと再開発されていたのである。 ---
最初期案はウサギのスパイ、ジャック・サベージが南洋へ向かうシリーズ物だった。
企画班は物語へ入る前に約9か月を動物調査へ充て、ケニアでも野生動物を観察した。
自然界では被食動物が約90%、捕食動物が約10%という説明を受け、少数派と多数派の共存を物語の核にした。
旧稿では捕食動物が感情の高ぶりで作動する電撃首輪を着け、ニックが密かな遊園地を運営していた。
完成間近までニックが主人公だったが、大規模試写後にジュディの視点へ組み替えた。
旧版のアイス店では観客だけがニックの詐欺を知る構成だったが、ジュディより先に真相を知る欠点があり作り直した。
警察ミステリーがテーマと人物を埋もれさせる恐れから削除も検討されたが、複数回の外部試写で情報量を調整した。
主人公交代が遅かったため、ワイルド・タイムズ用の倉庫など旧稿の資産を外観や用途を変えて再利用した。
初期案のナマケモノは列車から降り切れない短いギャグだけだったが、免許センターへ拡張され、表情設計もやり直した。
灰色の毛だけでは主役の顔が地味に見えるため、活力と楽観性を示す紫の虹彩を選んだ。
旧稿のニックは仕立屋の息子でスーツ姿、フィニックがアロハシャツだったが、役割変更に伴って衣装を交換した。
マウスからキリンまで約95対1の身長差を保ち、建物、交通、カメラ位置を複数スケールで設計した。
都市の中心部をケニアで見た水場に見立て、ニューヨーク、パリ、ディズニーパークの都市構造を重ねた。
巨大空調の冷気で寒冷地、排熱で砂漠、雪解け水で熱帯雨林を維持する循環を専門家と設計した。
64種の毛を顕微鏡で観察し、透明なホッキョクグマ、根元が暗いキツネ、油を含むカワウソなどを描き分けた。
キリン約920万本、ジュディ約260万本、ニック約200万本の毛を持つモデルを使用した。
アーティストが代表的な毛や方向を指定すると、XGenが間を補間して全身の毛を生成した。
初期の毛モデルは数体でもレンダリング管理が困難で、XGenのLOD機構を更新した。
新しい太陽・空シェーダーとボリューム表現で、同じ都市内の乾燥した熱気と霧の湿度を区別した。
手続き型植生を拡張し、極端に異なる大きさの植物と枝葉の風を効率的に生成した。
群衆の位置と進行方向を画面上へ描き、カメラ外の個体を除外する手続き型ツールを開発した。
実在動物の微細な動きとアニメ的な誇張を両立するため、肉、脂肪、筋膜の変形をシミュレーションした。
70種規模の動物に人間用の服を着せるため、肩や胴体の違いに合わせて衣服の落ち方を設計した。
植生と群衆を組み合わせ、主役の後方にある街や森にも常時動きを与えた。
実在スマートフォンに近い着信音を試したところ試写客が反応したため、劇中専用の音へ替えた。
監督が地区ごとの音を指定し、Dolby Atmosで台詞の残響や静かな細部まで空間化した。
ジニファー・グッドウィンが収録中に涙を流し、監督がそのテイクを選んで表情を作画した。
モーリス・ラマーシュがマーロン・ブランド風の低い声で演じ、その録音をトガリネズミらしい高さへ加工した。
シャキーラが初期デザインを細すぎると感じ、腰回りに丸みを加えるよう求めた。
同じニュース場面を、カナダのヘラジカ、日本のタヌキ、豪州のコアラ、中国のパンダなどへ差し替えた。
日本語吹替版ではDream Amiがガゼル役と日本版主題歌を担当し、上戸彩と森川智之がジュディとニックを演じた。
公式Blu-rayには別オープニング、ニックの新事業、ホームシックなど7本の未公開場面と制作特典が入った。
背景の海賊版には当時未公開だった『モアナ』『アナと雪の女王2』と、後に中止された『ギガンティック』の動物版題がある。
リッチ・ムーアは、重い問題をアニメで扱えば観客が離れるという意見がスタジオ内にあったと証言した。
制作陣は偏見全般を人物体験として描いたが、捕食関係を人種へ一対一対応させる読みには批判も起きた。
ゲイリー・ゴールドマン側は過去の企画をディズニーが流用したと主張したが、裁判所は実質的類似性を認めなかった。
本社改修中、作品スタッフは滑走路と線路の近くにある倉庫で18か月制作した。
車両を経路に沿って動かし、移動速度と車輪の回転を一致させる制作工程を技術部門が整備した。
『ズートピア』は動物がかわいいだけの映画として紹介されることもあるが、実際には偏見や都市設計の話がかなり濃い。単なるキッズ向けとだけ見ると、社会風刺の部分を見落としやすい。