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機動戦士ΖガンダムII A New Translation -恋人たち-を配信で見られるサービスを、確認できた範囲で掲載しています。未確認のサービスは公式サイトで探せます。
2005年公開。本作は1985~1986年放送のテレビシリーズ『機動戦士Ζガンダム』全50話を、新作シーンと既存映像の併用で三部作へ再構成した「新訳」の第2部であり、98分の中でフォウ、サラ、レコア、ベルトーチカらが結ぶ複数の男女関係を題名どおり前面へ出した。製作協力のバンダイビジュアルでコンセプト設計を担った久保聡によれば、「A New Translation」はテレビ版の単純な劇場化ではなく、新しい解釈だと伝えるため制作初期の絵コンテを読んだ後に付けた言葉である。フォウ役はテレビ版の島津冴子からゆかなへ交代し、公開時の富野由悠季インタビューには「懐かし映画」にしないため若い声を入れたという説明が残る一方、島津側の旧公式手記は出演依頼を受けていなかったとし、配役変更は作品外でも議論を呼んだ。ただし両者の説明には食い違いが残るため、音響監督が意図的に虚偽を伝えたというネット上の断定までは確認できない。全国104館で公開され、初日2日間の興行収入は1億2,000万円、全国ランキング5位となり、翌年発売のDVDは約23万枚を出荷してオリコン総合1位を獲得した。第1部DVDを本作公開前日に発売し、その箱を劇場窓口へ持参すると割引する販促まで組んだあたり、スクリーン上の恋人たちより、劇場とDVDの仲を取り持つほうが制作側はよほど手際がよかったのである。
50話を単純に縮めず、三部作へ再構成した第2部。全50話の映像へ新作シーンを加え、三本の劇場作品へ組み直した企画の第2部として作られた。本作の公式クレジットでは、富野由悠季が原作・脚本・絵コンテ・総監督を兼ねている。
第2部の編集軸は、戦争そのものより「恋人たち」だった。カミーユとフォウ、カツとサラなど複数の関係を交差させ、98分の一本へ再構成している。松竹の公式紹介も、ロボット戦ではなく幾筋もの人間模様を中心に置いている。
「恋人たち」は普通の映画として見せるための題だった。富野由悠季は公開時、戦争や巨大ロボットの騒がしさに埋もれない「普通の映画」に近づけるため、この副題と構成を選んだ趣旨を語っている。発言は当時の舞台挨拶書き起こしに基づくため、その帰属を残す。
新しい絵を、あえて古く見せた。1980年代のテレビ映像と劇場用の新作カットをつなぐため、新しい映像へ経年感を与える「エイジング」処理が使われた。当時の公式特集は、絵コンテ、編集、作画、背景、ペイント、CGと並ぶ具体的な制作工程として紹介している。
収録現場の空気は、古谷徹の台本メモに残っていた。注意点や共演者の様子を書き込んだ第2作のアフレコ台本を本人が保管しており、後年の取材でその内容を振り返った。収録現場へ川村万梨阿がブルーベリーを持参したことまで記されていた。
映像をつなぎ直すと、声優の感情までつながりすぎた。場面転換の多い再構成作のため、戦闘の緊張を次の日常会話へ持ち込み、芝居が大きくなってしまう問題がアフレコ台本に記録されていた。テレビ各話とは違う編集順が、演技の切り替えにも影響した例である。
カミーユとフォウのキスに、収録現場が息をのんだ。古谷徹の台本には、カミーユとフォウの場面で出演者たちが息をのみ、ブライト役の鈴置洋孝が冗談で場を和ませた記録が残っている。第2作の副題を象徴する場面は、アフレコ現場でも強い反応を引き出した。
アムロの恋愛は、テレビ版より輪郭がはっきりした。古谷徹は、アムロとベルトーチカの距離と関係がテレビシリーズより明確になり、23歳のアムロへ向き合いやすかったと振り返っている。「恋人たち」という構成が、主人公以外の関係も整理した例である。
【ネタバレあり】終盤のアムロの芝居に、作画側が合わせた。瀕死のフォウがカミーユを宇宙へ送り出す場面では音声収録が先行し、古谷徹の台詞に合わせて口の動きと画面のタイミングが修正された。古谷の台本には、芝居を残して絵の側を直す判断が記録されていた。
フォウの声は、テレビ版から交代していた。1985年のテレビシリーズでは島津冴子が演じたが、劇場版第2作ではゆかなが担当している。交代理由については複数の説明が流通するものの、今回確認できた公式キャスト資料は配役の事実までである。
サラ役は、三部作の途中で一度だけ池脇千鶴になった。第2作で池脇が演じ、第3作では島村香織へ交代している。劇場三部作は映像だけでなく、一部の声の配役も作品ごとに動いていた。
三部作の中で、第2作だけを締めくくるGackt曲がある。エンディングには「mind forest」が使われた。サンライズ音楽出版の公式曲目資料でも、第2作のエンディング曲として整理されている。
「恋人たち」の試写会は、本当にカップル限定だった。公開10日前の2005年10月19日、有楽町朝日ホールでカップルだけを招いたプレミア試写会が開かれた。富野由悠季、飛田展男、池田秀一、古谷徹が登壇し、Gacktはビデオメッセージを寄せた。
舞台挨拶は初日だけで終わらなかった。池袋・新宿・さいたまに続き、公開2週目には名古屋・大阪・神戸にも富野由悠季と主要声優が向かう計画が組まれた。全国104館公開を後押しする、二週にまたがる宣伝展開だった。
第1作を公開したその日に、第2作の前売りも始めた。2005年5月28日から発売し、特典にはキャラクター版の赤とモビルスーツ版の青、二種類のしおりセットを用意した。三部作を連続したイベントとして見せる早い段階の施策だった。
DVDの箱が、そのまま映画館の割引証になった。第1作のDVDパッケージを窓口で見せると、第2作の鑑賞料金が一般・大高生200円、小人100円引きになった。DVD発売を第2作公開の前日に合わせた、劇場と映像ソフトの連動策だった。
第2作は全国104館で始まり、2日で1億2,000万円を記録した。全国興行ランキングの初登場は第5位だった。第1作の83館から公開館数を広げたスタートである。
DVDは発売週の総合1位になり、23万枚を出荷した。2006年2月24日の発売後、オリコンのセルDVD週間総合ランキングで1位を獲得し、バンダイナムコの同年3月広報では出荷23万枚と報告された。発売直後の「23万枚を突破する勢い」という予測とは区別し、後発資料の実績を採用した。
フォウ役交代には「監督の意思が伝わらなかった」という説明もあるが、確定はできない。公開当時、島津冴子側の説明を紹介する記事が広まり、富野由悠季は続投を依頼したつもりだったという説が流通した。しかし今回、配役決定の会議録、正式な依頼記録、関係者全員の一致した説明は確認できなかった。確認できるのは、テレビ版の島津から劇場版のゆかなへ交代した事実までである。