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2013年公開。ブラッド・ピットのプランBがマックス・ブルックスの口述史形式の小説を映画化したが、企画はスターを追う世界規模のアクションへ変わり、複数の脚本家と長い準備を経て撮影へ入った。マルタ、グラスゴー、ブダペストなどで大群衆を動かした撮影後、完成した第三幕が機能しないと判断され、デイモン・リンデロフとドリュー・ゴダードが再構成し、大規模戦闘を捨てて約7週間の追加撮影を行った。製作費は約1億9,000万ドルまで膨らんだが、世界興収は約5億4,000万ドルに達し、混乱した大作としては異例の生還を果たした。ゾンビ映画で最も大胆に蘇生されたのは、死にかけた第三幕そのものだったのである。
劇場公開版の前には、ジェリーがモスクワでロシア軍の一兵士として戦う終盤が撮影されていたとされる。試写後に構成が変わり、現在知られるWHO研究所での静かなクライマックスに置き換えられた。
本作は、脚本が固まりきらないまま撮影が始まった大作として語られている。試写で結末が機能しないと判断され、終盤30〜40分規模の再撮影で現在の形に立て直された。
大規模なロシア戦闘案が捨てられた後、デイモン・リンデロフとドリュー・ゴダードがWHO研究所での小さなサスペンス劇へ終盤を書き換えたとされる。爆発的な戦争映画から、息を潜めるクライマックスへと映画の質感が変わった。
マシュー・フォックスは、ボツになった終盤ではジェリーの家族と深く関わる重要人物だったとされる。ロシア版第三幕が消えたことで、劇場版ではほとんど一瞬だけ目立つ役になってしまった。
マーク・フォースター監督は、ゾンビの群れをアリや魚群のような群れの生物学として考えたと語っている。スタジアム事故のような群集の恐怖も重ね、ただの怪物ではなく社会的パニックとして設計した。
序盤のフィラデルフィア感染爆発は、実際にはスコットランドのグラスゴー中心部で撮影された。道路標識、信号機、イエローキャブなどを持ち込み、街をアメリカ東海岸の都市に見せかけている。
物資を奪い合うスーパーの場面では、英国の棚にアメリカの商品パッケージがうまく収まらない問題が起きたとされる。美術チームは目立つ手前だけを作り込み、奥は英国製品をアメリカ風に偽装して画面を成立させた。
ブダペストでの撮影準備中、ハンガリーの対テロ部隊が倉庫を捜索し、映画用として運ばれた85丁の銃器を押収したと報じられた。書類上は発砲不可の小道具だったが、実際には作動可能な状態だったとされる。
グラスゴーの大群衆シーンでは、転倒した女性エキストラをブラッド・ピットが撮影中に抱き起こしたという現場エピソードが報じられている。大規模パニック撮影の混乱が、本物の事故寸前の緊張感を生んでいた。
エルサレムの壁に殺到するゾンビの山は、MPCなどのVFXチームが群衆シミュレーションで構築したとされる。個々の動きを大量に組み合わせ、アリの群れや津波のように見えるデジタル群衆を作った。
VFXチームは、ゾンビが障害物にぶつかるときに人間らしく手でかばう動きを避けたとされる。頭や顎から突っ込む防御本能のない動きが、群れ全体の不気味さを強めている。
ゾンビの咆哮やクリック音には、フェイス・ノー・モアのボーカリストであるマイク・パットンの声が使われたとされる。人間の声を極端に加工した音が、CGの群れに生々しさを加えている。
主題的に使われるMuseの「The 2nd Law: Isolated System」は、マシュー・ベラミーが原作小説を読んでいた時期の曲だとされる。映画化を知らずに書かれた終末感が、のちに映画の音楽として合流した。
終盤のWHO研究所にいる医師の一人は、ピーター・カパルディが演じている。エンドロールの役名が“W.H.O. Doctor”で、のちに彼が『ドクター・フー』の主役になったため、偶然の言葉遊びとして話題になった。
ブラッド・ピットの長男マドックスは、本作でゾンビの一人としてカメオ出演したと報じられている。ピットは、息子が撃たれるゾンビ役を楽しんでいたとユーモラスに語ったとされる。
大規模な再撮影で失敗作扱いされる不安もあったが、本作は全世界で5億ドルを超える興行収入を記録したとされる。制作現場の混乱を乗り越え、ゾンビ映画最大級の商業ヒットになった。
原作小説の知名度から、『ワールド・ウォーZ』の映画版は原作をそのまま再現した作品だと思われることがある。実際には記録集のような原作を一本の主演映画へ大きく組み替えており、忠実な映画化というより別設計の映像化に近い。
ボツになったロシア版終盤について、いつか完全版が公開されるのではという期待がある。しかし監督発言ではVFXが完成していない部分も多いとされ、現時点では完成版公開の見込みはかなり薄い話だ。