主な参考資料
- Animation World Network
- WIRED
- The Academy
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2010年公開。ディズニーとピクサーの契約交渉が決裂しかけた2004年、ディズニーは自社のサークル7・アニメーションで別版の続編を進めたが、2006年のピクサー買収後にスタジオを閉鎖し、その企画も破棄した。ピクサー版は旧脚本を使わず、リー・アンクリッチが単独監督として約2年かけて物語を練り、全体では4年以上、約400人で制作した。前作から11年が過ぎた時間を隠さず、持ち主と玩具の別れを中心へ据えた結果、世界興収10億ドルを超え、長編アニメーション賞を受賞した。続編の物語を作る前に、どの会社が玩具の持ち主なのかを現実の契約書で決める必要があったのである。
ディズニーとピクサーの契約交渉が決裂しかけた時期、ディズニーはサークル7・アニメーションを設立し、ピクサー不在の『トイ・ストーリー3』を開発した。ジェームズ・ハーツフェルドの脚本では、欠陥品としてリコールされたバズが台湾へ送られ、ウッディたちが救出へ向かう。2006年にディズニーがピクサーを買収すると制作は中止され、サークル7も閉鎖された。公開版はこの脚本を引き継がず、ピクサーで一から作られている。
公開版の脚本を担当したマイケル・アーントは、サークル7版を読んでいない。権利上の問題や、後にアイデアの流用を疑われる事態を避けるため、先行脚本へ接触しないよう求められていたという。そのため、台湾へ送られるバズの物語と、アンディの成長と別れを描く完成版は、同じシリーズの第3作でありながら独立して開発された。
ジョン・ラセター、アンドリュー・スタントン、ピート・ドクター、リー・アンクリッチらは、第1作の発想を練ったポエッツ・ロフトへ戻った。電話、インターネット、会議を断ち、二日間だけシリーズの行き先を話し合った。持参した筋書きは開始約20分で捨てられ、翌日には、成長したアンディが大学へ出るとき玩具はどう感じるかという中心設定が生まれた。
10年近く遊ばれていない設定では、派手な冒頭をどう始めるかが難しかった。初期案では、玩具たちがアンディとの再会に備えて遊びを練習していたが、脚本家マイケル・アーントは決定打にならないと判断した。完成版では8歳のアンディの想像を西部劇として描き、母親が撮った家庭用ビデオを挟んで17歳へ飛ぶ。冒頭で楽しかった時代を見せるため、終盤の譲渡が単なる片付けではなく別れになる。
冒頭の暴走列車は、シリーズ初期から考えられていた西部劇の遊びを、第3作で初めて全面的に映像化したものだ。列車、煙、砂塵、山岳地形、宇宙船、力場、レーザー、橋の爆発が一つの場面に入り、27人の技術スタッフが約4か月を費やした。列車番号の95は第1作の公開年を示し、映像は母親の家庭用ビデオへ切り替わる。
マイケル・アーントは本作を誇りに思う一方、制作期間を振り返って「PTSD」という強い言葉を使っている。2006年から約三年にわたり、改稿とストーリー会議が途切れず続いたためだ。参加時に前2作の評価を調べ、同じ水準へ届かなければシリーズを損なうという重圧も抱えた。華やかな成功の背後に、脚本を完成させるまでの長期的な消耗があった。
アカデミー脚本賞を受賞したマイケル・アーントにも、既に二作品を生きてきたウッディを書くことは難しかった。初稿後の会議でアンドリュー・スタントンは、台詞がウッディ本人ではなく、誰かがウッディをまねているように聞こえると指摘した。アーントだけで完成稿を守る方式ではなく、監督、製作者、約10人のストーリー担当が人物の声を検討し続けた。
マイケル・アーントは初稿を場面順に書き、約6〜8週間をかけて最後の譲渡場面へ到達した。アンディがボニーへ、ウッディは決して持ち主を見捨てない玩具だと説明する言葉を書いたとき、本人も涙が止まらなかったという。感動させるために結末だけを先に設計したのではなく、ウッディがアンディを信じ続ける過程を順番に書いた末に生まれた台詞だった。
ウッディの最後の悟りは書き直された。マイケル・アーントは、それでは主人公が状況に負けただけに見えると考えた。完成版では、ウッディ自身がボニーへの譲渡を促し、アンディとの時間を否定せずに玩具としての役割を次へつなぐ。最後のメモは、諦めを能動的な別れへ変えるための改稿だった。
リー・アンクリッチは結婚後の引っ越しで、大きなゴミ袋を建物裏の集積所へ運んだ。約一か月後、妻から幼少期のぬいぐるみが見当たらないと聞き、それらが箱ではなく袋に入っていたことを知った。自分が誤って捨てたと即座に理解し、その後悔を抱え続けたという。アンディの母が屋根裏行きの玩具をゴミと取り違える展開には、この実体験が組み込まれている。
サニーサイドを単なるカラフルな背景にしないため、制作陣は湾岸地域の複数の保育施設を訪れた。低い椅子や便器、玩具箱の並び、年齢別の部屋の違いを子どもの目線で記録している。一方で、玩具にとって保育園は逃げられない刑務所にもなり得るとして、アルカトラズも取材した。蝶組の開放感と、芋虫組や夜間の監視体制は、この二種類の現地調査から設計された。
リー・アンクリッチとマイケル・アーントらは、サニーサイドの脱出劇を作るため脱獄映画を連日見た。チャターフォンは、刑務所の地理と看守の動きを知り尽くした古参囚の役割である。バズが規則を読み上げ、反抗した玩具が砂場の箱へ入れられる場面は『暴力脱獄』を踏まえた。足手まといに見える仲間が最後に救う構造は、ロベール・ブレッソンの『抵抗』から取り入れられ、三体のエイリアンへ割り当てられた。
初期の脱出劇には、玩具たちがビー玉、トルティーヤ、その他の道具を少しずつ確保する準備場面があった。刑務所映画で囚人がスプーンや縄を集める定番を玩具へ置き換えたものだ。しかし完成版では、準備を順に見せると速度が落ち、後の驚きも減るとして一連の場面を削除した。観客は作戦の全体像を知らないまま、ポテトヘッドの部品がトルティーヤへ刺さる用途をその場で知る。
制作陣はアルタモントを含む複数のゴミ処理場へ行き、夜の環境を撮影した。風に飛ばされるビニール、暗闇を切る重機の投光器、巨大なブルドーザー、圧倒的な臭気が記録されている。リー・アンクリッチが巨大クレーンをビデオ撮影した際には、顔や腕をハエが這い続けたという。終盤のゴミの山は、現実の不快さと恐怖を玩具の高さへ拡大している。
リー・アンクリッチは、壊れても修理され得る玩具に本当の「死」を与える場所として焼却炉を選んだ。場面を感情的に成立させるため、玩具を叫ばせず、恐怖を和らげる冗談も言わせなかった。助かる方法を探す動きが止まり、ジェシーがバズの手を握り、全員が静かに結ばれる。音と言葉を減らすことで、仲間が同じ運命を受け入れた瞬間を描いた。
焼却炉の漏斗には、数百万個に見える壊れたゴミが流れ込む。玩具と接触する手前の破片は、ピクサー独自の剛体システムで個別に動かした。一方、中景と背景はHoudiniで一枚の流れる面を作り、RenderManの専用プラグインで粒子の周囲へ追加の破片を発生させた。距離ごとに計算方法を分けることで、画面全体の物量と手前の衝突を両立している。
ゴミ収集車が中身を落とす場面は、ピクサー独自のシミュレーションで既に承認されていた。背景へビニール袋を加えるためだけに全計算をやり直すと、時間と計算資源が大きく失われる。制作陣は既存の剛体データをHoudiniへ読み込み、ゴミ表面の形を近似して、飛ぶ袋だけを別に配置した。承認済みの動きを保持したまま、夜の処理場で目立つ軽いゴミを足している。
バービーがケンの大切な衣装を切り裂く場面では、布を自然に揺らすシミュレーションだけでは足りなかった。指が布を確実につかみ、力を加えている形へ変える必要がある。制作陣はHoudini上で局所変形用の仕組みを作り、計算済みの布へ複数の補正を重ねた。ヴィンテージ衣装の一着ごとに、手と布の接触を演技として成立させている。
第1・2作で使ったキャラクターファイルは保存されていたが、制作ソフトの世代が変わり、新しい環境では正常に編集できなかった。そこでウッディ、バズ、アンディらを旧モデルと完成映像から再構築した。表情の可動点、質感、髪、布、光の透過を更新しながら、観客には同じ玩具と人物に見えるよう比率と輪郭を守っている。
ロッツォは桃色の毛と苺の香りを持ち、最初は保育園の温厚な長老に見えなければならない。毛の一本一本に厚みと柔らかさを出すため、一場面で最大16個の照明が使われた。汚れ、濡れ、逆光でも同じ毛量に見えるよう調整し、優しそうな外見と支配者としての行動を意図的に食い違わせている。
ロッツォの原型は、第1作の長編が形になる前に検討された巨大玩具店の物語にいた熊の指導者だった。売り場を町の区域に見立て、地下の値下げ棚には壊れた玩具の一団が暮らす企画だったが、映画にはならなかった。熊の発想だけは保管され、約20年後、サニーサイドの温厚そうな指導者として、桃色で苺の香りがするロッツォへ作り直された。
制作密着記録は、企画合宿を1日目、スカイウォーカー・サウンドでの最終ミックスを1084日目としている。絵コンテ、仮音声、俳優の録音、表面の質感、動き、照明は順番に一度ずつ行うのではなく、何度も往復した。平均的な一コマの描画には約7時間、複雑なコマでは約39時間を要し、二基のレンダーファームが24時間稼働した。
ドルビーはウォルト・ディズニー・ピクチャーズとピクサーと組み、本作を劇場用ドルビーサラウンド7.1で提供した。従来の5.1では左右のサラウンドが側面から後方までを受け持つが、7.1では後方左と後方右を独立させる。暴走列車、保育園の監視、ゴミ処理場などで、画面外を移動する音をより細かく配置できる方式だった。
主要声優へは、脚本を送って返事を待つ通常の方法を取らなかった。トム・ハンクス、ティム・アレン、ジョン・ラッツェンバーガーを社内劇場へ招き、絵コンテとピクサー社員の仮音声で構成したストーリーリールを上映した。まだ完成映像はないが、場面の長さ、編集、結末まで映画として流れる状態で、三人はシリーズへ戻る判断をした。
第1作で7歳だったジョン・モリスは、第2作の後に俳優活動から離れていた。制作陣は成長した声がアンディに合うか分からないまま連絡先を探し、最初の電話では留守番電話につながった。その応答を聞いたリー・アンクリッチは、成長したアンディの声として必要な響きが残っていると判断した。最後の譲渡場面は、役と声優の両方が幼少期を終える録音になった。
【未確認】トム・ハンクスとティム・アレンは、ウッディとバズの台詞を同じ収録室で演じるよう求めたと伝えられている。アニメーションの音声は一人ずつ録ることが多く、第1作でも二人が一緒だったのは一日程度だったという。本作の公式商品には声優を扱う特典があるが、同席録音の範囲を明記した一次証言までは確認できなかった。
第1・2作でスリンキーを演じたジム・ヴァーニーは、2000年に亡くなった。第3作では、長年の親友で声の質も近かったブレイク・クラークが役を引き継いだ。リー・アンクリッチは録音のたびにヴァーニーを思い出したと振り返り、単なる物まねではなく、前任者を知る人物の記憶を通してスリンキーの話し方を保った。
バズがスペイン語モードへ切り替わる案は脚本にあったが、動きの性格付けはスペイン出身のアニメーター、カルロス・バエナに任された。バエナは直立した通常のバズを、胸、腰、指、視線を大きく使う人物へ変えた。終幕のジェシーとの踊りにはシェリル・バークとトニー・ドヴォラーニの振付を用い、ジプシー・キングスが「君はともだち」をスペイン語のフラメンコ調で演奏した。
ケンの基本デザインは、豹柄のシャツと水色の短パンを着た1988年の「アニマル・ラヴィン・ケン」を基にしている。制作陣が歴代のケンと衣装を調べるうち、登場するたびに別の服を着せる発想が生まれ、完成版では21種類を着用した。1967年のネルー・ジャケットを含め、実際に販売された衣装を多く再現している。バービーの青い運動着も1980年代の商品が基礎である。
ボニーの部屋には、『となりのトトロ』(1988)のトトロがぬいぐるみとして座っている。ジョン・ラセターは、ピクサー作品に入れる小さな敬意の表現の一つであり、宮崎駿とスタジオジブリが自分たちにとってどれほど大切かを伝えるためだったと説明した。別作品の世界が接続した設定ではなく、正式な許諾を得てボニーの玩具へ加えたカメオである。
【未確認】ビッグ・ベビーが身につけるデイジーの名札と、ボニーのリュックに書かれた名前は、リー・アンクリッチの息子マックスが描いたとされる。ボニーの部屋に貼られた絵にも、監督のほかの子どもたちの作品が使われたという。美術スタッフが子ども風に描くのではなく、実際の筆圧や線の揺れを部屋へ持ち込んだ。
【未確認】ビッグ・ベビーが本編で発するはっきりした言葉は「ママ」の一語だけである。その声を作るため、制作陣は複数の乳児が同じ言葉を発する録音を集めたとされる。採用された赤ん坊の名前は偶然ウッディで、リー・アンクリッチが名前も選考理由だったと冗談を言ったという。
冒頭と終盤で音楽に合わせながらゴミを回収する青年は、第1作で玩具を分解していた隣家の少年シドである。黒いシャツには、少年時代と同じ頭蓋骨の図柄が残る。声の短い掛け声もエリック・フォン・デットンが再演した。人物名を呼ぶ台詞や説明を置かず、服と声だけで15年後の姿をつないでいる。
第1作の最初の画面には、アンディの部屋の壁紙に描かれた青空と白い雲が映る。第3作の最後も同じ配色と形の雲だが、今度は壁紙ではなく、ウッディが見上げる現実の空である。玩具の世界を包んでいた子ども部屋の模様を屋外へ広げ、アンディとの物語が終わっても時間と遊びが続く構図にした。
ウォルト・ディズニー・スタジオは2010年8月27日、本作の全世界興行収入が10億ドルを超えると発表した。アニメーション映画としては初めてで、実写を含めても当時史上7本目だった。同じ年には『アリス・イン・ワンダーランド』も10億ドルへ達し、ディズニーは一年に二本の10億ドル作品を出した最初のスタジオとなった。
第83回アカデミー賞で、本作は作品賞、長編アニメーション賞、脚色賞、歌曲賞、音響編集賞の5部門に候補となった。受賞したのはリー・アンクリッチの長編アニメーション賞と、ランディ・ニューマンの「僕らはひとつ」に対する歌曲賞である。物語、音、音楽がアニメ専用部門の外でも候補に入った。
トトロ登場をめぐって、『トイ・ストーリー3』からピクサーとジブリの世界が公式に同じ宇宙だとする説がある。友情や敬意から生まれたカメオとして見るのが自然で、世界観接続の証拠として扱うには根拠が弱い。ソフトを持っている捜査員は、該当場面を一時停止し、この指摘が画面と一致するか確かめてほしい。