🔍 ポップコーン探偵
‹ アーカイブへ戻る
CASE FILE
探偵アイコン 探偵による映画背景メモ

1939年公開の本作は、ヴィクター・フレミングの監督名で知られる一方、監督の交代や別監督による撮影を重ねて完成したMGMの大作である。鮮やかなテクニカラーを生かすため、原作では銀色だった靴をルビー色に変えたが、華やかな画面の裏では、ブリキ男役バディ・イブセンが銀色の化粧による体調悪化で交代するなどの問題も起きた。MGMの記録を紹介するAFIによれば製作費は約278万ドルで、初公開時には宣伝・配給費を含めると赤字となり、再公開を経て利益を生んだ。後年のテレビ放送や繰り返しの上映が、作品の寿命を大きく延ばしたのである。虹の向こうの魔法にも、映画会社の決算という、あまり夢のない時間が流れていた。

― ポップコーン探偵
この映画の トリビア!!!
80件

ピックアップトリビア

特殊効果
信頼度

あの竜巻は、約11メートルの布だった

『オズの魔法使』で、カンザスの農場へ迫ってくる竜巻。あの細長い渦の正体は、長さ35フィート、約11メートルの布製の筒でした。特殊効果を担ったアーノルド・ギレスピーは、空港で風向きを見る吹き流しから、竜巻の形を作る着想を得たといいます。[1]

・最初のゴム製は、うまくねじれなかった

ASCの制作解説によると、最初に試したのは薄いゴム製の吹き流しでした。上を天井側の移動装置に付け、下は見えない溝に固定し、動かして渦のように見せる計画です。ところが、ゴムでは思うようにねじれません。[1]

そこで材質をモスリンという布へ変更しました。動きはよくなったものの、今度は下側が外れてしまいます。さらに作り直してピアノ線で補強し、激しく曲がりながら移動する形へ近づけました。初めから完成した仕掛けがあったわけではないのです。[1]

・布の輪郭を、土ぼこりで消す

筒の形を動かすだけでは、農場へ迫る嵐にはなりません。上から細かい土を入れて、布の目から外へ漏れるようにし、輪郭をぼかしました。地面のあたりにも、圧縮空気と土ぼこりを送り込んでいます。[1]

下の完成画面では、竜巻の足元が煙るように広がり、農家や柵よりはるかに高く伸びています。実際の農場を撮った記録映像ではなく、模型の風景とこの仕掛けを組み合わせた画面です。

ミニチュアの農家や柵の奥へ迫る竜巻の完成画面
布製の竜巻と模型農場を組み合わせた完成画面。映画:MGM/掲載元:American Cinematographerの制作解説。

・空まで、一つの工夫ではなかった

嵐の空には煙を使い、カメラの前のガラス板には塗装した綿を配置して、竜巻の上端や装置を隠しました。農家の模型を空へ持ち上げるショットには、別にワイヤーも使っています。[1]

布をねじる、土を漏らす、空を煙らせる、装置を隠す。 それぞれの役割を重ねることで、観客の目には一つの竜巻になります。「ストッキングを風に当てただけ」といった簡単な仕掛けではなかったのです。

・脚注

  1. abcde「Behind the Curtain: The Wizard of Oz」、American Cinematographer/ASC。ギレスピーの竜巻、35フィートの布、試作と模型撮影についての制作史解説。(リンク)
79件 👍投票数順に表示
🃏 気軽にスワイプモードON
キャスト・演技
信頼度

レイ・ボルジャーは初め、ブリキ男を演じる予定だった。だが、子供時代に舞台で見た案山子に強く惹かれており、そちらを希望した。当初の案山子役バディ・エブセンと配役を交換し、ボルジャーの柔らかなダンスは、金属の人物ではなく、わらの体を動かす表現になった。

制作トラブル
信頼度

最初にブリキ男を演じたバディ・エブセンは、撮影が始まってから入院し、ジャック・ヘイリーに交代した。本人の回想では、銀色の顔を作るために何度もかけられたアルミニウム粉を吸い込んだという。交代後は粉をそのまま散らす方法から、ペースト状にして塗る方法へ変更された。

音楽・音響
信頼度

バディ・エブセンがブリキ男を演じた撮影分は完成版に残らなかったが、事前に録音した声は消えなかった。仲間がそろって魔法使に会いに行く歌には、エブセンの声が使われている。ジャック・ヘイリー版に置き換わる前のソロ歌唱も保存され、後年のサウンドトラックに収録された。

演出・演技
信頼度

初期のドロシーは、金髪のかつらと濃い化粧で、完成版とはかなり違っていた。撮影の中断中に助言したジョージ・キューカーは、ジュディ・ガーランドを人形のように作るのではなく、普通の田舎の少女として見せる方向へ変えた。短い参加でも、主人公の見た目と演技の土台に大きな変更を残している。

演出・制作体制
信頼度

監督としてクレジットされるのはヴィクター・フレミングだが、カンザスの農場や「虹の彼方に」の場面を仕上げたのはキング・ヴィダーだ。フレミングが『風と共に去りぬ』(1939)へ移った後を引き継いだためである。初期にはリチャード・ソープも撮影しており、一人の監督が最初から最後まで撮った映画ではない。

キャスト・演技
信頼度

ジャック・ヘイリーがブリキ男の声の手がかりにしたのは、幼い息子に寝物語を聞かせるときの話し方だった。後年の音声インタビューを紹介した記録によると、初日にその柔らかな声を監督へ実演し、役の方向が決まったという。金属の体とは対照的な、安心させるような声にも身近な出発点があった。

衣装・メイク
信頼度

臆病なライオンの衣装は、毛の素材にも動物の実物を取り入れていた。競売に出た撮影衣装の資料では、実際のライオンの皮と毛が使われている。現在の展示品には顔やたてがみなどの復元も加えられ、撮影当時の部分と後から補われた部分が共存している。

制作トラブル
信頼度

西の悪い魔女が煙と炎の中へ消える場面は、隠し昇降機でマーガレット・ハミルトンを床下へ下ろす仕掛けだった。1938年12月28日の撮影では、体が下がりきる前に炎が出て、顔と手に火傷を負った。完成版で見られる華やかな退場と、制作中に起きた事故のテイクは同じではない。

制作トラブル
信頼度

魔女の代役ベティ・ダンコも、煙を出すほうきの撮影中に事故に遭った。吊られたほうきの装置が破裂し、脚を負傷して入院している。ハミルトンの退場時の火傷とは別の事故であり、魔女の危険な撮影を単に「本人がすべて演じた」とは言えない。

制作トラブル
信頼度

ライオン役バート・ラーの演技が面白く、ガーランドが笑って撮影を止めてしまうことがあった。脚本家ジョン・リー・メインの回想を紹介した記録では、フレミングは彼女を脇へ呼び、頬を叩いて仕事へ戻したという。同じ回想には、直後に自分の行為を悔やんだ話も残る。撮影の成功だけで片づけられない、16歳の主演への扱いである。

特殊効果
信頼度

ラーが演じるライオンの涙や尻尾には、画面の外から動かす仕掛けがあった。ガーランドの回想によると、泣くための水の仕掛けが頭部にあり、尻尾は高い位置にいる係が釣り竿で動かしたという。あの大げさな悲しみ方には、俳優の芝居と小さな機械、画面外の人の動きが重なっている。

特殊効果
信頼度

【ネタバレあり】近くでドロシーを襲う翼のある猿は、衣装を着た俳優をワイヤーで吊って撮った。一方、遠くを群れで飛ぶ猿には小さな模型を使い、羽ばたきも別の糸で動かしている。実演と模型を同じ群れに見せたため、出演者の人数だけでは、画面いっぱいの猿の数を説明できない。

制作トラブル
信頼度

翼のある猿を演じた俳優たちは、空中のスタントを日当だけで済まされないか心配し、撮影を一時止めた。ジャック・ヘイリーの回想を紹介する資料では、俳優組合の担当者が来て、飛ぶ場面のテイクごとの報酬を認めさせたという。猿の飛行は、効果技術だけでなくスタント労働の問題でもあった。

特殊効果
信頼度

遠くに見えるエメラルドの都は、背景画と俳優の実写を重ねて作られた。ウォーレン・ニューカムの部門が描いた背景画に、道を歩く俳優たちの実写を組み合わせた。魔女の城の遠景のように、画面全体が絵になっているショットもある。絵の遠近感と実写の位置を合わせることが、旅の広がりを作っていた。

特殊効果
信頼度

グリンダを包んで飛んでくる泡は、小さな球を撮った映像から作られた。小さな球を固定して撮り、カメラ側を動かして、近づいてくるように見せた。その映像を、別に撮ったセットや俳優へ重ねている。中へ人が入れる球を現場で飛ばしたわけではない。

特殊効果
信頼度

魔女がのぞく水晶玉の映像は、玉の中に小さな半透明スクリーンを置いて写した。側面から入れた映像を45度の鏡で反射させ、そのスクリーンへ送る仕組みである。丸い表面に映像を直接貼りつけたのではなく、球の内部まで使った光学の仕掛けだった。

特殊効果
信頼度

玉座の間で威圧する魔法使の顔は、蒸気の雲へ投影して撮った。煙のように揺れるものをスクリーンにすることで、普通の壁へ映す場合とは違う、つかみどころのない顔になる。後年のデジタル合成ではなく、光と蒸気を現場で組み合わせた姿だ。

撮影技術
信頼度

当時のカラー撮影には大量の光が必要だった。大きなセットの床や上方に照明を並べたため、厚い衣装を着た俳優には、とりわけ厳しい暑さになった。撮影監督ハロルド・ロッソンは、使われていない照明を各所から集めたと回想している。鮮やかな昼の世界は、楽な環境で撮れたわけではない。

撮影技術
信頼度

ドロシーが家の扉を開くと、セピアの室内の先に色鮮やかなオズが現れる。撮影方法を伝える解説では、室内と代役の衣装を茶系にそろえ、代役が画面外へ退いた後に、青い衣装のガーランドを入れたという。色が変わる瞬間のために、カラー撮影する場所そのものから、いったん色を抜く仕掛けだった。

特殊効果
信頼度

エメラルドの都で色を変える馬には、色付きのゼラチン粉を使ったと伝えられる。メイクのように色をつけても、馬がそれをなめ取ってしまうため、撮影の合間の扱いにも手間がかかったという。映像の色だけを後から変えたのではなく、馬の体そのものへ色をつけた効果である。

衣装・原作差分
信頼度

ドロシーの魔法の靴は、原作では銀色だ。映画ではカラー撮影を生かすため、赤くきらめくルビーの靴へ変えられた。実物に本物のルビーを並べたのではなく、布やスパンコール、ビーズなどで光を受ける表面を作っている。黄色い道の上の赤い靴は、映画ならではの色の組み合わせだった。

衣装・小道具
信頼度

スミソニアンのルビーの靴は、異なる組の左右を合わせたものだ。内側には右が「1」、左が「6」と書かれ、サイズ表記やかかとの形も違う。2005年に別の所蔵先から盗まれ、2018年に回収された靴を調べると、二組の間で左右を対応させられることまで分かった。

公開後・文化
信頼度

2005年に盗まれ、2018年に回収されたルビーの靴は、2024年12月の競売で3,250万ドルになった。購入手数料を含む価格で、本体の落札額は2,800万ドルだった。映画のために作られた衣装の一組が、盗難と捜査を経て、これほどの額で取引されたのである。

キャスト・演技
信頼度

トトを演じたのは、テリーというメスのケアーン・テリアだ。調教師カール・スピッツは、声が録音されるトーキーでも撮れるよう、犬を無言の手の合図で動かす訓練をしていた。トトの働きも、その訓練の延長にある。画面では自然に走り回る犬でも、音を邪魔しない演技の準備があった。

制作トラブル
信頼度

撮影中、兵隊役の俳優がテリーの足を踏んでしまい、トト役の犬も休養することになった。調教師は別のテリアを用意し、テリーは数週間後に戻ったと伝えられる。ハミルトンやエブセンの事故だけでなく、動物の負傷と代役もあった撮影だった。

制作・契約
信頼度

テリーには週125ドルが支払われたと伝えられる。一方、マンチキン役ジェリー・マレンは、自分たちの報酬を週50ドルだったと振り返っている。「犬より安い出演料」という話には、こうした別々の記録が背景にある。ただし、役の大きさも契約も異なる出演者全員が、同じ額だったわけではない。

音楽・音響
信頼度

マンチキンの歌には、画面に出る俳優とは別の歌手も参加している。たとえばロリポップ組合の映画用音源には、ビリー・ブレッチャーらの名が記録されている。後年のサウンドトラックには、出演者側が歌った別の録音も収められた。見た目と聞こえる声が、一人対一人で対応する場面ばかりではない。

音楽・音響
信頼度

『白雪姫』(1937)で白雪姫を歌い演じたアドリアナ・カセロッティは、本作にも声で参加した。ブリキ男の歌の途中で聞こえる、ジュリエットの呼びかけを担当している。別会社の映画になっても、あの声を短く聞けるのである。

制作・脚本
信頼度

1938年の脚本開発では、ハーマン・J・マンキーウィッツ、ノエル・ラングリー、詩人オグデン・ナッシュが、互いの作業を知らずに別の案を書いていた。完成版の脚本クレジットはラングリー、フローレンス・ライアソン、エドガー・アラン・ウルフの三人だが、そこへ至る案は一つではなかった。

制作・企画
信頼度

1933年には、MGMがローレル&ハーディの映画として本作を作る案が業界紙に出ていた。同じ時期にサミュエル・ゴールドウィンが権利を買い、エディ・カンターの主演を考えたが、その版も実現しなかった。1939年版より前には、完成作とは別のスター映画になりそうな分岐があった。『白雪姫』(1937)の成功後には権利への関心が再燃し、MGMが映画化を実現させた。

キャスティング
信頼度

プロデューサーのマーヴィン・ルロイは、魔法使役にエド・ウィンを望んだが、役が小さいとして断られたと回想している。W・C・フィールズとの交渉などを経て、最終的にフランク・モーガンが演じた。モーガンはマーベル教授や都の門番なども兼ね、一人の顔がいくつもの役で現れる映画になった。

キャスティング
信頼度

初期の西の悪い魔女は、美しく魅惑的な悪役として考えられ、ゲイル・ソンダガードが候補になった。だが、もっと昔話らしい魔女へ方向が変わり、マーガレット・ハミルトンが演じることになった。あの緑色の顔と尖った鼻は、初めから唯一の案だったわけではない。

衣装・小道具
信頼度

マーベル教授のくたびれたコートは、古着の中から選ばれたものだった。宣伝担当メアリー・メイヤーが後年に語ったところでは、内側に原作者L・フランク・ボームの名があり、仕立屋や作者の未亡人も持ち主を確認したという。その回想どおりなら、物語を書いた人の服が、映画の登場人物の衣装になったことになる。

原作・脚本
信頼度

【ネタバレあり】原作では、オズはドロシーが実際に訪れる場所であり、目覚めて終わる夢ではない。映画はカンザスの農場の人々をオズの仲間へ重ね、帰還をベッドでの目覚めに変えた。冒険の人物と現実の人物が対応する構造は、原作をそのまま撮った結果ではなく、映画の脚色が作ったものだ。

原作・脚本
信頼度

【ネタバレあり】原作でドロシーを最初に迎える北の善い魔女と、帰り方を教える南のグリンダは別人だ。映画は、二人の魔女を一人へまとめ、最初からグリンダが助言する形にした。そのため、最初に会った相手が最後にも道を示すという、原作よりまとまった人物配置になっている。

原作・脚本
信頼度

【ネタバレあり】魔法使が仲間へ渡す品は、原作と映画で違う。原作の案山子にはふすまなどを詰めた頭、ブリキ男には布製の心臓、ライオンには勇気を得るための飲み物が与えられる。映画は卒業証書や表彰、時計の形の心臓へ変えた。原作も映画も自信を与えるための贈り物だが、その形は大きく変わっている。

制作・脚本
信頼度

初期脚本の悪い魔女には、息子ブルボーをエメラルドの都の王座に据える企てがあった。その筋書きには魔法使を倒すための歌も考えられたが、人物も計画も整理され、完成版には残っていない。ドロシーを狙う魔女の背後に、別の王位争いが育ちかけていた。

編集・削除場面
信頼度

森で一行が踊り続ける「ジタバグ」は、撮影まで行われながら完成版から外された大きな歌とダンスだった。資料では、撮影に5週間、費用は8万ドルとされる。短く切った部分がある、という程度ではない。上映時間を縮める中で、まとまった見せ場そのものが消えたのである。

音楽・編集
信頼度

【ネタバレあり】「虹の彼方に」には、農場の歌唱とは別に、後半でもう一度歌う予定があった。ドロシーが魔女の城に閉じ込められた場面で、もう一度歌う部分が作られていたが、映画から削除された。冒頭の遠くへ行きたい気持ちとは違い、帰れない場所で響く歌になるはずだった。残る音源は後年のサウンドトラックで聞ける。この再演は通常の歌唱場面と違い、撮影時にピアノ伴奏で歌い、後からオーケストラを加えたと制作解説にある。

音楽・編集
信頼度

映画を長く感じさせるとして、「虹の彼方に」そのものを外す動きもあった。マーヴィン・ルロイやアーサー・フリードらが残す側に回り、最終的には農場の歌が守られた。後に作品を代表する曲になったからといって、試写の段階から絶対に切れない曲だったわけではない。

音楽・作曲
信頼度

作曲家ハロルド・アーレンは、妻と映画館へ向かう途中、「虹の彼方に」の旋律を思いついたと伝えられる。サンセット大通りの薬局近くで車を止め、持ち歩いていた譜面紙へ書き留めたという。スタジオのピアノの前だけで完成した曲ではなく、移動中のひらめきが出発点になった。

音楽・音響
信頼度

城の兵隊の掛け声は、意味のある英文に聞こえるという説がいくつもある。だが研究者ジョン・フリッケが指揮者用の楽譜を示して説明するところでは、書かれているのは言葉にならない音節だ。「誰に何を負っている」という秘密の歌詞を解読する場面ではないのである。

音楽・音源
信頼度

ガーランドの「虹の彼方に」には、映画用とは別のデッカ録音がある。1939年に出たその録音は、アルバム『オズ』(1940)にも使われた。映画の歌手が同じ曲を歌っていても、映画から音をそのまま取り出した盤とは限らない。サントラの名前だけでは分からない、録音の違いがある。

音楽・音響
信頼度

【ネタバレあり】魔女の城から逃げる場面の音楽には、ムソルグスキーの「はげ山の一夜」(原曲1867)が取り込まれている。劇中の歌を作ったアーレンとハーバーグだけでなく、ハーバート・ストサートらが組み立てた劇伴も、冒険の印象を支えていた。歌のない場面でも、別の音楽の履歴が息づいている。

公開・検閲
信頼度

本作は、子供向けの楽しい映画として無条件に扱われたわけではない。英国では1939年に、魔女や動く木の怖さを理由に、成人向けと位置づけるA区分になった。現在の成人限定区分と同じ制度ではない。スウェーデンでも魔法使の顔や翼のある猿などのショットが削られた。怖さも、当初の受け止められ方の一部だった。

公開・興行
信頼度

AFIが紹介するMGMの記録では、製作費は277万7,000ドル、初公開の収入は301万7,000ドルだった。それだけ見ると差し引き黒字に見えるが、配給や宣伝の費用を含めると約100万ドルの赤字だったとされる。利益が出たのは1948~49年の再公開期。作品の人気と、最初の会計上の成功は別の話だった。

公開・放送
信頼度

米国のテレビ初放送は1956年11月3日で、CBSの『フォード・スター・ジュビリー』(1955–1956)の最終回だった。映画館での公開から17年がたっている。後年の繰り返しの放送が、多くの家庭で同じ映画を共有する習慣を作ったが、初公開時からすぐ毎年テレビで流れていたわけではない。

制作・契約
信頼度

案山子役レイ・ボルジャーの姪は、彼が本作の再放送による報酬を聞かれた際、金銭の代わりに不滅の役を得たという趣旨で答えたと振り返っている。後年のテレビで何度も見られる作品になっても、その人気が俳優へそのまま追加収入になる契約ではなかった。役の残り方と報酬の違いが表れた返答である。

公開後・文化
信頼度

1975年5月14日、ハミルトンは『ミスター・ロジャース・ネイバーフッド』(1968–2001)に出演した。魔女の衣装を着て演じ方を示し、番組は現実と作り話の違いを子供たちへ説明した。映画で怖がらせた本人が、今度は怖さが作られる仕組みをほどく側へ回ったのである。

公開後・文化
信頼度

マンチキン役の俳優たちは、2007年に集団でハリウッドのウォーク・オブ・フェイムへ迎えられた。1939年の公開から68年後で、式には七人が出席した。映画の中では一つの街の住民として見える人々が、長い時間を経て、出演者の集団として顕彰されたのである。

公開・評価
信頼度

本作のアカデミー賞の競争部門受賞は、作曲賞と「虹の彼方に」の歌曲賞の二つだ。ガーランドも小型の特別賞を受けたが、これは本作が主演女優賞を取ったという意味ではない。作品の受賞数と、若手俳優としての特別な顕彰を分けると、当時の評価の形が見えてくる。

修復・版違い
信頼度

2009年の修復では、三色式テクニカラーの別々のカメラ・ネガを8Kで読み取り、4Kのマスターへまとめた。1939年の色の見本になるプリントも参照し、以前より赤を抑え、暗部の階調を拾う方向へ調整している。鮮やかさを単に足すのではなく、元の色へ近づける修復だった。

修復・版違い
信頼度

2009年版の修復担当ネッド・プライスは、高精細化で目立つワイヤーを三箇所取り除いたと説明している。案山子やライオンの仕掛けに関わるもので、鮮明にするだけが修復の仕事ではなかった。ただし、何でも作り直したわけではなく、古い映像の細部を残す方針の中で行った処理だ。

修復・版違い
信頼度

2013年の立体化には約14か月がかかった。担当者によると、本作は約650ショットと現代の大作より少ない一方、一つのショットが長く、多人数の輪郭や奥行きを手作業で整える必要があったという。古い映画だから簡単に3Dへ変えられたのではなく、長く見せる映画ならではの難しさがあった。描かれた平面の遠景へも奥行きを足し、書き割りらしさを壊さず立体にする工夫を重ねている。

関連作品・影響
信頼度

『バービー』(2023)のグレタ・ガーウィグは、本作の塗られた空や舞台のような人工の世界を参考にしたと語っている。黄色いレンガの道に対し、彼女の映画にはピンクの道を置いた。単に昔の映画が好きだったという話ではなく、背景の作り方と道の色にまで続く、具体的な影響である。

関連作品・影響
信頼度

『コララインとボタンの魔女』(2009)のヘンリー・セリックは、ドロシーが単調な世界から色彩の世界へ入るような瞬間を、3Dで作りたかったと語っている。飛び出す物を増やすだけでなく、別の場所へ来たと感じさせるための立体感だった。色が世界を切り替えた本作が、後年の奥行き設計にもつながっている。

関連作品・影響
信頼度

【ネタバレあり】『17歳のカルテ』(1999)のジェームズ・マンゴールドは、脚本の骨格に本作を見いだしたと説明している。少女が見知らぬ世界へ入り、何かを欠いた仲間たちと出会い、最後に自分の中の決意によって戻ってくるという形である。表面のジャンルは離れていても、人物の旅を組み立てる手がかりになった。

関連作品・影響
信頼度

ジョン・ウーは、貧しい住環境で育った子供時代に、本作や『雨に唄えば』(1952)を何度も見たと振り返っている。美しい人や歌、希望のある暮らしが、夢を見るきっかけになったという。後のアクション監督の好みを、暴力のある映画だけから説明できない、本人の映画体験である。

公開後・影響
信頼度

イーライ・ロスは、三歳で見た本作を、とても怖かった映画として振り返っている。家族向けの名作として語られやすいが、魔女や異様な世界が幼い観客へ与える印象は別だ。後にホラーを作る監督にとっても、早い時期の強い映画体験の一つになっていた。

関連作品・影響
信頼度

『NOPE/ノープ』(2022)のジョーダン・ピールは、企画を考える際に早くから結びつけた映画として本作を挙げた。同じ取材では『キング・コング』(1933)や『ジュラシック・パーク』(1993)にも触れている。個々の場面がすべて引用だという意味ではなく、映画をどういう体験にするかを考える参照群の中に入っていた。

関連作品・企画
信頼度

ロバート・ゼメキスは、ワーナーが権利を得た後に本作のリメイクを頼まれたと、後年のインタビューで振り返っている。だが、元の映画をどう良くすればいいのか分からず、引き受けなかったという。高く評価する作品だからこそ、作り直す道筋を見つけられなかったという話だ。

衣装・制作トラブル
信頼度

撮影時のガーランドは16歳で、ドロシーの設定より年上だった。幼い体つきに見せるため、胸を抑える下着も使われている。かつらや服の形だけではなく、俳優の体を役に合わせて見せようとする、当時のスタジオの要求が衣装の内側にまで及んでいた。

特殊効果
信頼度

魔女が空へ書くドロシーへの降伏命令は、水槽で撮ったものと伝えられる。小さな魔女を注射器の先へ取り付け、牛乳を水中へ流して文字を描き、下から撮る方法だ。空の煙のように見える文字にも、身近な液体を別の場所で撮るという工夫が使われていた。

衣装・メイク
信頼度

案山子の顔には、麻袋そのものではなく、麻布の模様をつけた薄いスポンジ・ゴムのマスクを使った。目や口などの周囲を化粧でつなぎ、ボルジャーの表情が動くようにしている。外すときに注意すれば再使用できたが、長くても数日ほどしかもたなかった。

衣装・制作体制
信頼度

エイドリアンが率いるMGMの衣装部は、178人のスタッフを抱え、三つの8時間シフトで動いていたと、制作史の解説にある。縫う人だけでなく、染色、着付け、手入れの担当も必要だった。画面に現れる短い時間のために、衣装を作り続け、撮影に耐える状態へ戻し続ける大きな作業があった。

音楽・脚色
信頼度

1902年に始まった舞台版の歌に代わり、本作には映画用の新しい音楽が用意された。MGMは映画用の新しい音楽を作り、人物を説明したり物語を進めたりする歌にした。既に知られた曲を挟むより、ドロシーたちの旅へ歌そのものを組み込む道を選んだのである。

公開後・別媒体
信頼度

映画公開から11年後の1950年12月25日、ガーランドは『ラックス・ラジオ・シアター』(1934–1955)の本作の劇化で、再びドロシーを演じた。新しい続編映画ではなく、声だけで物語を届ける別の上演だ。映画の映像を離れても、主人公と歌声の結びつきが続いた例である。

スタント・演技
信頼度

【ネタバレあり】ドロシーが翼のある猿に持ち上げられる場面では、代役ボビー・コーシェイが空中の動きを担当した。コーシェイは農場の豚小屋へ落ちる場面でもガーランドを代わっている。主人公が一人に見えるように、歌い演じる主演と、体を張る代役の仕事がつながれていた。

原作・脚本
信頼度

【ネタバレあり】映画で魔法使が求めるのは、西の悪い魔女のほうきを持ち帰ることだ。原作では、もっと直接に、魔女を殺すよう求めている。結果だけが似ていても、少女に何を命じるかという台詞は違う。映画は、旅立つ理由の言い方を、原作から変えている。

編集・削除場面
信頼度

【ネタバレあり】魔女を倒した後、一行がエメラルドの都へ戻る場面には、市民が歌い迎える大きな凱旋のくだりがあった。音楽の録音や制作写真は残るが、この祝祭の場面は完成版では見られない。旅の終盤を長く祝う構成から、魔法使との再会へ早く進む形へ変わっている。

編集・版違い
信頼度

案山子が歌う場面には、完成版より長いダンスが撮られていた。劇場公開時には切られたが、1989年の50周年ビデオには、その映像が特典として加えられた。劇場版では短くなった演技を、後のソフトでは別の見せ場として見られるようになったのである。

音楽・音響
信頼度

魔法使の声の響きには、撮影所の地下を通るケーブル用トンネルを使った。制作時の宣伝記録をまとめた資料では、長さは約400mとされる。大きな権威の声を作るために、画面の城とは別の、現実の長い空間を録音へ利用したのである。

関連作品・影響
信頼度

【ネタバレあり】『ロキ』(2021)シーズン1では、三人のタイムキーパーの声をジョナサン・メジャースが演じている。監督ケイト・ヘロンは、本作の魔法使を参照し、権威の声と、その裏にいる人物を同じ俳優へ任せたと説明した。姿と正体のずれを、声の配役にも仕込んだ例である。

特殊効果・動物演技
信頼度

【ネタバレあり】トトがカーテンを引いて、魔法使の正体を明かす場面にも撮影上の手助けがある。公式サントラの制作解説によると、実際のテイクではカーテンの裾を犬の首輪へつないでいた。犬が自分だけで布をつかむ瞬間を待つのではなく、動きが必要な結果につながるよう準備した撮影だった。

音楽・音響
信頼度

エメラルドの都で一行が身支度する歌の場面には、「虹の彼方に」の旋律も重ねられている。公式盤の解説では、ドロシーの短いソロを支える楽器の側に、その曲を対位法的に置いたと説明される。主題歌は独立した歌として戻るだけでなく、別の歌の伴奏へも姿を変えて入り込んでいた。

情報不足・要確認
信頼度

森の背景に、マンチキン役の俳優が首をつる姿が映るという有名な説がある。だが、MGMの映像担当側が調べた対象は、大きな鳥だった。後から修復で鳥を足して隠したという話まで広がったが、そうした置き換えを示す制作資料は確認されていない。見慣れない鳥の動きが、人影に読み替えられた話と考えるほうが記録には合う。

情報不足・要確認
信頼度

ピンク・フロイドのアルバム『狂気』(1973)を本作へ重ねると、歌詞や音が画面と合うという遊びがある。だが、録音技師アラン・パーソンズは、映画へ合わせて作ったという説明を否定している。偶然の一致を見つけて楽しむことと、制作側が同期を設計したことは別だ。巧みな隠しサウンドトラックだったとする裏付けはない。

情報不足・要確認
信頼度

ケシ畑の雪をアスベストとする話は広く知られる。だが映画研究者ウィリアム・スティルマンは、担当メイク係チャールズ・シュラムが、降らせたのは砕いた石膏だったと回想したことを紹介している。当時アスベスト製の人工雪が存在したことだけでは、この場面の材料までは決まらない。危険な撮影の話として有名でも、雪の正体には異なる証言がある。

情報不足・要確認
信頼度

シャーリー・テンプルを借りる代わりに、MGMがクラーク・ゲーブルとジーン・ハーロウを貸す案があったという話がある。テンプルの自伝にも出るが、ハーロウは1937年6月に死去し、映画化権をMGMが取得したとの同時代報道は1938年2月だ。さらに早い交渉を示す別の資料は確認できず、具体的にいつの話だったのかが合わない。

裏取り強め
有力ソースあり
未確認・噂寄り
情報不足・要確認

主な参考資料

配信で見る

オズの魔法使はどこで配信?

オズの魔法使を配信で見られるサービスを、確認できた範囲で掲載しています。未確認のサービスは公式サイトで探せます。

P
Prime Video
2026-10-23確認・見放題 / 追加チャンネル契約 / HBO Max(Prime会員特典とは別) / レンタル / 399円(HD) / デジタル購入 / 2,000円(HD)
U
U-NEXT
2026-10-23確認・見放題
H
Hulu
2026-10-23確認・見放題
M
music.jp
2026-10-23確認・レンタル
N
Netflix
D
DMM TV
D
Disney+
T
TSUTAYA DISCAS
情報の扱いについて
当サイトは、映画にまつわる公開情報・制作秘話・噂を収集し、信頼度を分けて掲載しています。 誤りのご指摘は お問い合わせ からお願いします。
映画の裏側、のぞいてみる?
1 / 79
← 次へ
↑ 次へ
スワイプで仕分けしよう
気になったトリビアは右へ。それ以外は左・上へ。
ぜんぶ見ました!
👍 0 件のトリビアにグッド
リストに戻って続きを読もう。