『ターミネーター』の重い金属音は、フライパンをハンマーで叩いて作った
『ターミネーター』の音楽に響く、重く大きな金属音。その材料は、作曲家ブラッド・フィーデルが持ち出した鋳鉄のフライパンとハンマーでした。映画の中の機械を思わせる一打が、身近な台所道具から生まれています。[1]
・欲しかったのは、頭の中で鳴っていた音
フィーデルは2025年の取材で、この音を作ったときのことを詳しく話しています。映画を見ると、頭の中に音が浮かんでくる。ただ、そこで聞こえていた巨大な金属音を、思うように形にできず、いら立っていたそうです。[1]
そこで大きなフライパンを古いマイクへ向け、ハンマーで強く叩きました。録音された音は歪み、そこへたっぷり残響を加えると、探していた響きになりました。きれいに収録した道具の音を使うのではなく、録音の歪みまで音色にしたのです。[1]
・電子音楽の中に残った、手で叩く一打
シンセサイザーやプログラムされたリズムが並ぶ音楽の中でも、この金属音には、実際に物を叩いた動作がありました。フィーデルによれば、当時のスコアで自分が生で演奏した打楽器の音は、この一打だったそうです。[1]
・ライブでは、また実物の打楽器へ戻っていく
後年の『Terminator Live』では、古い機材で作った響きを、生演奏の舞台へ移す作業が必要になりました。フィーデルも音の再現へ協力し、舞台にはドラム缶、鍋類、電子ドラムなどが使われたと説明しています。[1]
舞台写真には、大きな打楽器と、その横で音を出す演奏者が写っています。フライパンの録音から始まった音を、今度は観客の前で人が鳴らす。機械の音楽を支える、生身の演奏が見える場面です。