ショーシャンクの空にを配信で見られるサービスを、確認できた範囲で掲載しています。未確認のサービスは公式サイトで探せます。
1994年公開。フランク・ダラボンはスティーヴン・キングの中編を脚色し、長編監督としてはほぼ新人の立場で企画を持ち込んだが、キャッスル・ロックはロブ・ライナーが監督しトム・クルーズを主演にする可能性より、ダラボン本人に任せる約束を守った。主な撮影地となった旧オハイオ州立少年院では、蒸し暑い夏に1日15〜18時間、週6日の撮影が約3か月続き、元受刑者たちもスタッフとして現場に加わった。約2,500万ドルの製作費に対し初公開時の北米興収は約1,600万ドルと振るわなかったが、アカデミー賞7部門への候補入り、再上映、ビデオ、ケーブル放送を通じて評価と観客を増やしていった。希望を描いた名作も、まずは興行の独房から自力で脱獄しなければならなかったわけである。
原作は、スティーヴン・キングの中編「Rita Hayworth and Shawshank Redemption」。映画の邦題だけを見ると静かな名作感が強いが、原作題では脱獄の鍵になる映画スターの名前がかなり前面に出ている。
フランク・ダラボン監督は、若い頃にスティーヴン・キング作品を低額で短編映画化する「Dollar Baby」企画で経験を積んだ。その縁が、後にキング原作の長編映画化へつながっている。
脚本は、フランク・ダラボンが原作映画化の構想を数年温めたあと、短期間で一気に書き上げたと語られている。時間をかけた熟成と、書き始めてからの集中力が両方あったタイプの脚本だ。
脚本に惚れ込んだロブ・ライナーは、フランク・ダラボンに高額で権利を譲るよう持ちかけたとされている。ダラボンは迷いながらも、自分で監督する道を選んだ。
『ショーシャンクの空に』をロブ・ライナーが監督する案では、アンディ役にトム・クルーズ、レッド役にハリソン・フォードを想定していたと語られている。完成版とはかなり違う、スター映画寄りの姿もありえた。
レッドは、原作では赤毛のアイルランド系白人男性として書かれていた。映画ではモーガン・フリーマンが演じ、作中の「アイルランド系だからかも」という一言が軽いジョークとして残っている。
レッド役について、プロデューサーのリズ・グロッツァーは原作の人種設定に縛られず、モーガン・フリーマンを推したと語られている。結果的に映画の空気そのものを決める配役になった。
アンディ役には、トム・ハンクスやケヴィン・コスナーなどの名前も挙がっていた。ハンクスは『フォレスト・ガンプ』、コスナーは『ウォーターワールド』との兼ね合いで、完成版のアンディはティム・ロビンスになった。
『ショーシャンクの空に』で物語を大きく動かす若者トミー役には、ブラッド・ピットが決まっていた時期があったとされている。『テルマ&ルイーズ』で注目度が急上昇したことで、最終的にギル・ベローズが演じた。
ボグズ役には、後に『ザ・ソプラノズ』で有名になるジェームズ・ガンドルフィーニも関わっていたと語られている。完成版ではマーク・ロルストンが演じ、序盤の怖さを強く印象づけた。
『ショーシャンクの空に』で柔らかく重い光を作った撮影監督ロジャー・ディーキンスは、ティム・ロビンスの推薦で参加したと語られている。主演俳優の一言が、映画全体の見た目を左右したわけだ。
舞台はメイン州だが、ショーシャンク刑務所の外観や多くの場面はオハイオ州マンスフィールドのOhio State Reformatoryで撮影された。今では作品ゆかりの観光スポットにもなっている。
撮影は、オハイオの暑さの中で長時間続く過酷な現場だったと関係者が振り返っている。静かな映画に見えるが、撮影の裏側は体力勝負の連続だった。
屋上で囚人たちがビールを飲む場面は、映画の中では開放感のある名シーンだ。ただし撮影現場では暑さや反復撮影があり、画面の気持ちよさとは別にかなり大変な作業だったとされている。
『ショーシャンクの空に』でレッドが刑務所の庭で野球ボールを投げる場面について、モーガン・フリーマンが長時間ボールを投げ続け、翌日腕を吊ったという未確認のトリビアがある。印象的な自然さの裏に、地味な反復がある。
『ショーシャンクの空に』でブルックスが世話するカラスのジェイクについて、鳥が合図通りに鳴けなかったため、ティム・ロビンスが鳴くタイミングを読んでセリフを合わせたとされている。動物相手の撮影らしい小さな職人芸だ。
『ショーシャンクの空に』で囚人たちが観る映画は『ギルダ』だが、原作中編では『失われた週末』だったという未確認情報がある。映画版ではリタ・ヘイワースの存在感を前に出す形になり、原作題とのつながりも強くなった。
ラストは、レッドがバスに乗るところで終わる、もっと余白のある案も考えられていた。プロデューサーの強い意見で、観客が待っていた再会を見せるラストになったと語られている。
本作は今でこそ名作タイトルとして通っているが、公開時には英語原題が覚えにくいことも不利に働いたと関係者が振り返っている。モーガン・フリーマンも、題名を間違えられたエピソードを語っている。
本作は、公開直後から大ヒットした映画ではない。製作費に対して劇場興収は控えめで、あとからビデオ、テレビ放送、口コミでどんどん評価が広がったタイプの作品だ。
本作は、劇場公開よりもビデオレンタルやテレビ放送で人気が伸びた代表例だ。TNTで何度も放送され、家で偶然観た人の口コミが広がったことで、いまの“定番名作”の地位に近づいた。
本作は第67回アカデミー賞で作品賞、主演男優賞、脚色賞、撮影賞など7部門にノミネートされた。しかし受賞はゼロ。同じ年の強敵に『フォレスト・ガンプ』や『パルプ・フィクション』がいた。
本作は2015年にアメリカ議会図書館のNational Film Registryに選ばれた。公開時に大ヒットしなかった映画が、文化的に残す価値のある作品として後年きちんと評価された形だ。
『ショーシャンクの空に』という邦題は、原題の直訳ではなく、空や希望のイメージを前に出した日本独自のタイトルだ。原題の「redemption」は救済や贖いのニュアンスで、邦題は作品の余韻をだいぶ柔らかく伝えている。
イタリア語題は、一般に「Le ali della libertà」として知られ、「自由の翼」に近い意味になる。日本語題と同じく、刑務所名よりも希望や解放感を前に出すタイプの改題だ。
フランス語圏タイトルには「Les Évadés」として知られるものがあり、「脱獄者たち」に近いニュアンスだ。日本やイタリアの希望寄りタイトルとは違い、物語のジャンル感を前に出している。
本作は、スペイン語圏では「Cadena perpetua」として知られる地域がある。意味は「終身刑」寄りで、日本語題のような詩的な余韻より、刑務所ドラマとしての状況が前に出るタイトルだ。
『ショーシャンクの空に』には、HBO放送時にモーガン・フリーマンが紹介する追加シーン付きの版があったとされる。レッドの出所後や脱獄ルートに関する削除場面が含まれていたとされる。
本作では、2004年の10周年版以降、終盤のウォーデンに関する銃創の見え方が修正されたとされている。ホームビデオ版で細部が変わるタイプの、見比べ向きトリビアだ。
『ショーシャンクの空に』には、イタリア版が約15分短く、終盤のレッドの出所後の生活描写が一部省かれていたという記録がある。国によって余韻の量が変わる可能性がある、バージョン違い系の小ネタだ。
本作では、アンディが作るチェス盤の右下マスが本来のチェス盤配置と逆になっているという指摘がある。静かな小道具なので、次に観るときに確認したくなるタイプの細かい見返しポイントだ。
本作では、刑務所内に出てくるMarlboroの箱に、作中時代より後のキャンペーン要素が見えるという指摘がある。小道具の時代考証を探す人向けの、けっこう細かいチェックポイントだ。
脱獄経路について、『ショーシャンクの空に』には物理的に絶対不可能だとするツッコミがある。もっとも、厳密な工学検証というより現実性への疑問として語られることが多く、映画の設定全体を否定する根拠としては弱い。
レッドの出所後には、社会の広さに押しつぶされる削除場面があった。完成版はその苦しみを見せすぎず、終盤へ向かう流れの美しさを優先している。
脱獄後の川の場面は、画面では解放感に満ちているが、実際の撮影現場はなかなか過酷だった。関係者は、あの水場に牛の排泄物が混じっていたと振り返っている。
刑務所内部に差し込む強い昼光は、自然光をそのまま撮っただけではない。ロジャー・ディーキンスは、人工の天窓演出で閉じた空間の光を作り込んでいる。
撮影監督ロジャー・ディーキンスは、本作でタングステン用フィルムを昼夜問わず使う独特の方法を取っていた。穏やかに見える画面の色は、フィルム選びの癖からも生まれている。
雨の中でアンディが両手を広げる有名なショットは、もっと長い脱出場面を縮約した結果として際立った。説明を削ったことで、一枚の画の力が強く残ったのだ。
日本では2022年に金曜ロードショーで初放送され、翌2023年にはBSテレ東でテレビ初の4Kデジタルリマスター版も放送された。名作の定番化は、テレビ放送での再接触にも支えられている。