主な参考資料
- Los Angeles Times
- Animation World Network
- ComingSoon.net
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2008年公開。本作はM・ナイト・シャマランが『レディ・イン・ザ・ウォーター』(2006)の完成前から温めていた終末映画で、初稿 *The Green Effect* をいったん各社に見送られた後、物語と題名を改めて20世紀フォックスで実現した作品である。着想の中心には道路に放置された車の列という映像があり、監督は1970年代の偏執的スリラーやB級映画の簡潔さを参照しながら、夫婦の危機を災厄の中へ埋め込んだ。シャマランにとって初のR指定作品で、フォックス側は暴力と流血を弱めるより明確に見せるよう促し、実物効果とデジタル処理を目立たせず組み合わせた。撮影はペンシルベニア周辺で約44日間、物語の進行に近い順序で行われ、出演者の心理変化とロケの季節感を揃えた。The Numbersは製作費6,000万ドル、世界興収約1億6,278万ドルと集計しており、批評的な逆風とは別に興行では製作費を上回った。自然の警告を描く企画をスタジオに一度断られ、より血を増やして通すのだから、環境より先に反応したのはレイティングと営業会議だったらしい。
シャマランが最初に思い浮かべたのは、ニューヨークへ車で向かう途中の道路に、乗り捨てられた車だけが並び、人間が消えている光景だった。その一枚のイメージから、異変の理由が分からないまま人々が都市を離れていく物語の形が生まれた。
本作の初稿は『The Green Effect』という題で各社へ持ち込まれたが、一度は見送られた。シャマランは会議で受けた意見、特にFoxのトム・ロスマンの提案を取り入れて脚本を大きく書き直した。改稿が終わる前に複数社から再び声がかかり、最も熱意を示したFoxを選んだ。
シャマラン初のR指定は、Fox側から勧められた。Fox側がR指定で作ることを勧め、シャマランもPG-13へ戻すには脚本を大きく書き直す必要があると判断した。
シャマランは公開前から、本作を高級感のあるB級映画として作ったと説明していた。直接挙げた影響作は『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』(1956)、『鳥』(1963)、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968)である。酷評後に急造した弁明ではない。
シャマランが上映時間の基準にしたのは、ドン・シーゲル版『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』の約81分だった。本作も最初から約90分で走り切る映画として書き、長い完成版を後から大幅に切ったのではなく、短い脚本と構成を選んだ。
シャマランが物語の感情的な中心に置いたのは、自然災害の謎そのものではなく、関係が壊れかけた夫婦だった。もし残り時間が1分しかなければ互いに何を伝えるのか、という問いを大規模なパニックの内側へ置いた。
撮影はペンシルベニア州を中心に44日間、物語の順番どおりに行われた。登場人物の移動に合わせ、撮影隊も数日ごとに場所を変えている。俳優は異変が悪化していく心理の流れを、撮影順のまま追うことができた。
ズーイー・デシャネルは、ほぼ全編がロケで進む撮影では、一つの場面を細かく切り刻んで編集に救ってもらう感覚が薄かったと振り返った。そのため、毎回の演技を正確に決める圧力があったという。
風、機械仕掛け、火薬を先に実写し、足りない部分だけVFXで補った。現場では風力機、機械仕掛け、火薬効果を可能な限り使い、撮影できない危険部分や規模の拡張をILMとCafeFXが補った。実物の反応を画面の土台にしたVFX設計だった。
【ネタバレあり】車の衝突とライオン襲撃は、撮影前に3Dで動きを決めた。The Third FloorがMayaとMotionBuilderで事前に可視化し、シャマランは撮影前に画角と演技の流れを確認した。
【ネタバレあり】ライオン襲撃では、俳優を複数のライオンと一緒に置かず、血糊が動物を刺激する危険も避けた。俳優は棒の先につけた義手を差し出し、VFX班が本物の腕と棒を消去して、肩や背中の損傷と血を追加した。
CafeFXが担当したのは約85ショットで、制作期間は2007年11月から2008年3月までだった。作業人数は15〜20人ほど。大規模な群衆から傷口の細部まで、同じチームが目立たない補正と露骨な描写の両方を受け持った。
【ネタバレあり】頭部への銃撃は、すべてをCGで描いてはいない。撮影では血糊を仕込んだかつらを破裂させ、その実写素材へCafeFXが傷口の内部を加えた。瞬間的な物理反応と、実物では作れない損傷表現を重ねている。
【ネタバレあり】バイオリンの弓を使う場面では、危険な接触を俳優に実演させていない。CafeFXが手、首、弓をデジタルで作り、人物が抵抗する細かな動きまで加えた。静かな室内の恐怖ほど、見えない安全処理が多い場面だった。
【ネタバレあり】芝刈り機の場面では、機械から刃を外し、見えない位置の運転手が操作した。俳優は後部の回収袋部分に入り、CafeFXが運転手を消し、草や血を追加して、無人の機械が進んだように見せた。
大勢が異変から逃げる場面では、撮影した群衆とは別の集団をMassiveで追加した。さらに、人物だけでなく木々と水面にもデジタルの風を加えている。人を増やす群衆合成と、自然全体が同じ力で動く環境表現を一つの画面にまとめた。
シャマランは脚本のため、約1年にわたって科学者に話を聞き、調査担当者から大量の論文を受け取った。特に強く影響を受けたのは、ジェームズ・ラブロックのガイア仮説だった。
植物同士の情報伝達について、シャマランが取材で具体的に挙げたのは綿畑の研究例だった。害虫に襲われた株が周囲へ信号を送り、別の株が防御用の化学物質を放つというものだ。映画の現象そのものの証明ではなく、発想を支えた実在研究である。
数学のなぞなぞは、アインシュタイン伝から生まれた。シャマランはウォルター・アイザックソンのアインシュタイン伝から、数学の単純さと美しさという考えを得て、恐怖の最中に一人の子どもへ数の魅力を伝える場面として演出した。
ジェームズ・ニュートン・ハワードの音楽は、ソニーのスコアリング・ステージで90人編成のオーケストラと録音された。指揮はピート・アンソニー、印象的なチェロ独奏は現代音楽奏者マヤ・バイザーが担当した。ハワードとシャマランの長編映画で6度目の共同作業だった。
【ネタバレあり】DVDの削除場面には、エリオットとアルマの喧嘩を冒頭で見せる初期構成、携帯電話で撮られたピアノ発表会の惨事が残っている。ライオン襲撃とポーチでの銃撃も、公開版より長く残酷な版が特典に収録された。
公開から2年後、マーク・ウォールバーグは記者会見で本作を悪い映画だったと率直に評した。それでも、普段の警官や犯罪者ではなく科学教師を演じてみたかった気持ちは理解してほしい、と説明している。本人が後年に認めた出演作への後悔である。
ズーイー・デシャネルは2022年にも本作を擁護し、シャマランが『鳥』のような様式化された恐怖映画を作ろうとしていたと説明した。観客が期待した現実的な恐怖映画とは調子が異なり、その狙いが十分に伝わらなかった可能性があるという見方だった。
鶴原顕央のXアーカイブに残る取材紹介では、シャマランは現代人がコンクリートの建物で暮らし、自然が発する声を聞けなくなったことを本作の発想理由の一つに挙げている。関連する読書として、ダニエル・クインの『イシュマエル』も推薦した。
公開資料の製作費は一致していない。シャマラン公式サイトはBox Office Mojo由来で4,800万ドル、The Numbersは6,000万ドルとしている。The Numbers集計では世界1億6,277万8,384ドルで、製作費の差を残して比較する必要がある。
「アルマ役はAmy Adamsのために書かれたが、金銭交渉がまとまらず降板した」という説がある。ウォールバーグは後年、Adamsと本作について話したことを認めているが、役が彼女向けだったことや、報酬だけが理由だったことを示す本人・製作側の資料は確認できない。
「Kristen Connollyは本作を嫌い、質問されても語ることを拒んでいる」という説がIMDbに投稿されている。しかし、その発言を収めた本人取材や映像、信頼できる報道は確認できない。現在は、出典のない強い人物評価として扱う必要がある。
本作の不評を受け、シャマランが後から「B級映画のつもりだった」と言い訳した、という見方は時系列と合わない。監督は批評が出そろう前の公開前取材で、すでに上質なB級映画を狙ったと説明し、影響作も具体的に挙げていた。
【ネタバレあり】「アカシアの化学防御が映画の直接の発想源だった」という説がある。しかしシャマランが取材で具体的に挙げたのは、攻撃された綿畑の信号研究とガイア仮説だった。アカシアを名指しする本人資料は確認できない。