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2009年公開。シリーズ第4作であり、過去への時間移動ではなく機械戦争下の未来を主舞台に据え、マックGが監督した。ハルシオン社は2007年に約3,000万ドルを借り入れてシリーズ権利を取得し、本作を新三部作の起点にする構想を掲げた。マックGはグリーンスクリーン依存を避け、スタン・ウィンストンのチームと実物の機械や特殊メイクを可能な限り組み、CGはそれを補強する方針を採った。製作費2億ドルに対し、世界興収は約3億6,549万ドルだったが、公開から数カ月後にハルシオンが破産法適用を申請し、続編構想は権利ごと再び宙に浮いた。人類の抵抗軍より先に、シリーズを救うはずの会社が資金調達戦争で敗れたのである。
冒頭からジョンは、母サラが残したカセットを戦術資料のように聞き直している。その声を担当したのはリンダ・ハミルトン本人で、旧作の音源を切り貼りしたのではなく本作向けに再録された。出演者として姿を現さず、ジョンの記憶と判断の中だけにサラを存在させる選択である。未来戦争へ舞台を移した第四作が、最初の二作との接点を声に託している。
参考情報:映画データベース(米)
ジェームズ・キャメロンは二人の重要スタッフを薦めた。マックGは本人を訪ね、サム・ワーシントンと美術監督マーティン・レイングを薦められた。前者は人間と機械の境界に立つマーカスを演じ、後者はT-800以前の機械文明を設計した。シリーズ創造者の関与は、画面外の相談から二つの中核へ届いている。
参考情報:公開資料
初期稿の中心人物は、死刑囚から機械として蘇るマーカスだった。クリスチャン・ベールも最初はその役を提示されたが、最終的にはジョン・コナーを選び、出演を決めるまで脚本の再設計を求めた。ジョンの役が膨らんだことで、完成版には「自分が何者かを知らないマーカス」と「伝説になる前のジョン」という二つの主人公線が並ぶ。配役交渉が作品の構造を変えた例である。
参考情報:公開資料(米)
完成版でマーカスとジョンのどちらが主人公なのか揺れて見えるのは、脚本の成立過程と関係している。最初の軸は、マーカスが若いカイル・リースとスターを守って移動する旅だった。そこへクリスチャン・ベールが演じるジョンの物語が大幅に加筆され、抵抗軍内部の対立やスカイネット攻略が並走する形になった。企画段階の主人公交代が、完成版の二重構造として残っている。
参考情報:公開資料
クレジット上の脚本家だけを見ると、制作中に何度も変化した物語の経路は見えない。初稿の後にポール・ハギスが約二か月参加し、さらにショーン・ライアン、ジョナサン・ノーランらが手を入れた。ストライキや各人の予定によって作業は中断され、ジョンの比重を増やす変更も重なった。完成版の複数の人物線は、長い改稿の層から生まれている。
参考情報:公開資料
この別案が問いかけていたのは、ジョン・コナーの価値が一人の人間にあるのか、抵抗軍を束ねる顔と神話にあるのかという問題だった。最終決戦でジョンを死なせ、マーカスの機械の身体へ外見を移すことで、救世主の象徴だけを継続させる構想である。完成版はその反対に、マーカスの心臓を人間のジョンへ渡して命をつなぐ。二つの結末は、人間性の置き場所を逆向きに描いている。
参考情報:公開資料
機械は実物を置いてからCGへ置き換えた。撮影現場には等身大の機械を置き、俳優の視線、表面を回り込む光、レンズへ入る反射まで記録した。VFX側はその実物を消してデジタル個体へ差し替える場合も、同じ照明条件から離れないようにした。機械の重量感は、造形物を完成画面へ残すことだけでなく、置き換えの基準として使う工程から生まれている。
参考情報:VFX・撮影専門媒体
T-600は未来兵器だが、その歩行には人力操演の歴史が入っている。スタン・ウィンストンのチームは、操演者が背後でバックパック型リグを背負い、腕や胴体を一体で動かすテストを行った。1984年の初代で有効だった方法を、CGが大幅に発達した2009年の作品でも使っている。旧式の機械という設定と、あえて素朴な物理操演を残す制作方法が重なっている。
参考情報:YouTube(米)
ハイドロボットの造形は、架空のロボットを水へなじませるために魚やウナギの動きを出発点にした。約8.5フィートの実物パペットを緑色の操作棒で動かし、撮影後に棒を除去している。CGで水との接触まで一から作るのではなく、パペットが押しのけた水や飛沫を残した。細長い機体の不気味さは、生物の運動と物理的な水の反応を組み合わせている。
参考情報:公開資料
物語の時代はT-800が完成する前である。そこで美術班は、新しい敵を際限なく高度にするのではなく、既知のT-800から部品と製造思想を遡った。黒い油、露出した機構、蒸気機関車を思わせる重量感を使い、スカイネットにも技術の成長段階があるように設計した。機械同士の似た部品は、同じ工業体系から進化したことを示している。
参考情報:公開資料
モトターミネーターは、巨大なハーヴェスターから射出される無人二輪兵器である。制作側はドゥカティの実車を用い、スタントライダーが出せる速度、車体の傾き、路面との接触を撮影した。VFXは人間のライダーを消し、機械の外装と変形を加える役割を担った。現実のバイクが持つ運動を核にしたため、無人機でも追跡の重量と危険が画面へ残る。
参考情報:公開資料
初代では、人間が機械によって集められ、選別され、収容所へ送られた過去が台詞で語られるだけだった。第四作はその一行を拡大し、ハーヴェスターが人間を捕らえ、トランスポーターが工場へ運ぶ流れを設計した。大型機の形も軍用ロボットだけでなく、家畜輸送や重機の機能から考えられている。新型メカの見せ場が、スカイネットの収容システムそのものになっている。
参考情報:公開資料
このT-800は、一人の俳優の演技だけで完成していない。筋肉のある身体と動きはローランド・キッキンガーが担当し、顔は1984年のアーノルド・シュワルツェネッガーを資料からデジタル再構築した。表情と照明を身体へ合わせ、短い登場を成立させている。本人を若返らせて撮影したのではなく、代役の身体、過去の造形資料、CGを結合した映像である。
参考情報:VFX・撮影専門媒体
VFXショット数は資料によって1100超と約1300に幅がある。これは集計時点や、どこまでを独立したVFXショットに数えるかの違いと考えられる。重要なのは、ILM一社の作品ではなく、アサイラム、ライジング・サン、ウイスキーツリー、マット・ワールドなどが担当を分け、実物造形やミニチュアも同じ画面へ統合したことである。
参考情報:VFX・撮影専門媒体
赤い機械視点はシリーズの記号だが、本作では単なる踏襲で終わっていない。制作チームはLIDARの点群、軍用照準、科学計測画面を集め、スカイネットが人間をどう識別するかという機能から表示を設計した。光沢のある未来的GUIを避け、旧式戦車の機器のような粗さを残している。画面の乱れや数字は装飾ではなく、標的の分類と追跡を見せる情報になっている。
参考情報:VFX・撮影専門媒体
物語が時間移動を離れて未来戦争へ移っても、最初の接点は初代と同じ巨大な文字である。制作チームは文字を3D空間へ置き、表面を通り過ぎるカメラとデジタル障害を加えた。読めない断片が少しずつ題名になる構成によって、シリーズの記憶と新しい機械世界を同時に示している。使用した中心ツールはCinema 4DとAfter Effectsだった。
参考情報:VFX・撮影専門媒体
銀を多く残す現像で世界から色を抜いた。撮影ネガへ銀を通常の三〜四倍残す現像を行い、黒、金属、空の色を物理的な段階から変えている。その処理では赤も沈んでしまうため、ターミネーターのセンサーには蛍光色に近い赤を用意した。銀色の機械と赤い光の対比は、現像特性を見越した色設計だった。
参考情報:公開資料
画面全体は低彩度で荒涼としているが、人物の顔まで曖昧にはしていない。屋外の近接撮影に低感度のコダックVISION2 50Dを用い、泥、汗、毛穴をはっきり残した。ブルースクリーンには200T、夜には500Tを使い分け、用途ごとにネガを選んでいる。未来戦争の実在感を、画質の粗さではなく具体的な汚れの情報量から作った。
参考情報:公開資料
六つのステージを巨大ブルースクリーンで囲んだ。六つのステージを180〜360度のブルースクリーンで囲み、屋外の建物にも高さ60フィート、幅約100フィートの青い壁を用意した。太陽を避けるため北向きの壁を選び、地面にも40×60フィートの青い面を塗っている。自然光と巨大な背景拡張を同時に扱うため、撮影施設全体が合成素材の一部になった。
参考情報:公開資料
一続きに見える場面の内部では、撮影方法が何度も切り替わっている。地上のテクノクレーンから、ジンバルで回転するヘリ、機内の手持ちカメラ、転倒後の逆さの画面へ受け渡し、爆発と機体の影に継ぎ目を隠した。ジョンが安全な地面を失い、上下感覚まで崩される時間を途切れさせないための構成である。実物の回転とVFXの遠景が同じ長回しへ統合された。
参考情報:公開資料
自然の川を撮影場所として使えない制約は、場面の縮小ではなく人工河川の建設へつながった。砂漠に幅80フィート、長さ200フィートの水路を作り、岩、流れ、渦を再現したうえ、岸には燃えないセメント製の木を90本並べた。木々の間を通る炎は配管で強度を制御できる。環境を傷つけずに水と火の実物効果を成立させるためのセットである。
参考情報:公開資料
ヘリコプターは実機のまま人工池の上で制御された旋回を行い、機内の激しい回転はスタジオのターンテーブルで撮られた。人物が飛び込む水中部分は18フィートの深さで撮影し、ハイドロボットと外れるローターブレードをCGで補った。さらに高さ約20フィートから装置を水へ落とし、墜落時の巨大な飛沫を作っている。複数の物理撮影を一つの事故へまとめた場面である。
参考情報:公開資料
金属の反射はわずかな光の違いでも合成感が出るため、撮影班は各ショットの条件を数値と図面で残した。絞り、色温度、光源方向、頭上光を記録し、セット配置へ重ねた資料をVFX側へ渡している。後日の追加撮影でも同じ資料を参照できた。派手な機械の裏側には、光を再現可能なデータへ変える地道な工程があった。
参考情報:公開資料
夜の追跡でカメラが自由に向きを変えられるよう、照明班は約80エーカーの林全体を一つのセットとして扱った。120フィート級クレーンを円形に置き、木々の奥から煙を逆光で浮かび上がらせた。月光の基礎には、大型反射板へ複数の強いライトを当てる装置を使っている。人物の周囲だけを明るくするのではなく、遠景まで同じ夜の空気でつないだ。
参考情報:公開資料
マックGはこの場面を、技術的に特に手間のかかった長回しとして挙げている。人物の移動、建物の爆発、ハーヴェスターの腕、モトターミネーターの発進を別々の素材として撮りながら、観客には一つの襲撃として途切れず見せる必要があった。セットを壊す位置とCG機械の通路を先に測り、編集点を動きの中へ隠している。
参考情報:公開資料
人間と機械の境界を見せる場面では、境界そのものを実物で作った。傷ついた皮膚、腫れ、機械へ接する縁は特殊メイクで俳優の身体へ置き、皮膚の奥に続く空洞とエンドスケルトンをCGで補っている。サム・ワーシントンは約六時間の装着を受けた。実物とデジタルの分担が、マーカスの正体を抽象的な変身ではなく身体の損傷として見せている。
参考情報:VFX・撮影専門媒体
本作はCGの比重が大きい一方、人間大の機械を現場へ置く方針を最後まで守った。その中心にいたのが、初代からT-800の形を作ってきたスタン・ウィンストンである。制作途中の2008年6月に死去した後もチームが仕事を引き継ぎ、造形物は照明基準や俳優の相手として使われた。エンドクレジットの献辞は、シリーズの実物造形を築いた人物への区切りでもある。
参考情報:VFX・撮影専門媒体
流出した罵声だけが独立して広まったが、発端は撮影中の照明調整だった。クリスチャン・ベールは長時間にわたって撮影監督シェーン・ハールバットを責め、その録音が公開前に流出した。本人は後にラジオへ出演し、役への集中を言い訳にできない過剰な態度だったと謝罪した。同時に、ハールバットとは現場で解決し、その後も撮影を継続したと話している。
参考情報:公開資料
後年「マックGカット」を求める声も出たが、市販のディレクターズ・カットは約三分の延長にとどまる。ブレアのヌードを含む場面と、戦闘の強い描写を戻したのが主な違いである。流出した別エンディングや初期稿の主人公構成は収録されていないため、企画初期の映画を復元した完全版とは区別する必要がある。
参考情報:公開資料
作品は次の戦争を描く三部作の第一章として設計されていた。しかし権利を持つハルシオン社は、2007年の権利取得や製作資金を融資に頼り、公開後に貸し手との争いから連邦破産法11条を申請した。映画の興行だけで計画が判断されたのではなく、権利と負債の整理が続編を不可能にした。のちに権利は競売へ向かい、この時間軸の続きは作られなかった。
参考情報:新聞社(米)
公開時の宣伝では新三部作の始まりとして語られたが、マックGは後年、映画が自分の望んだ地点へ届かなかったと率直に振り返った。脚本家ストライキの時期に改稿を重ね、クリスチャン・ベールやジョナサン・ノーランを迎えて全力を注いだことと、完成作への失望を同時に語っている。監督にとって本作は、単に評価の低かった一本ではなく、長く残る未達の仕事だった。
参考情報:映画ニュースサイト(日)
シリーズ音楽はブラッド・フィーデルの金属音で知られるが、第四作のダニー・エルフマンは別の制作環境から機械感を組み立てた。Omnisphereの音色群を素材に選び、それぞれへ複数の加工版を作り、自作のシンセ音とオーケストラへ混ぜた。特定のプリセットも場面ごとに変形して使っている。映画音楽の巨大な音響が、市販ソフトの小さな音色から拡張された例である。
参考情報:公開資料
過去作の未来戦争を長編化するにあたり、監督は機械の見せ場だけでは世界が保てないと考えた。『ザ・ロード』から文明崩壊後の乾きと親子の生存感覚を、『異邦人』から共同体にうまく属せない人物の疎外を参照したと説明している。死から戻ったマーカスが自分の正体を理解できず歩く筋は、その二つの影響が重なる部分である。
参考情報:公開資料
若いカイルは、後にサラを守る戦士として完成していない。本作ではマーカスが行動の手本となり、車の盗み方や銃の扱いを教える。「痛みは制御できる。切り離せ」という考え方も二人の旅で渡され、初代のカイルへつながる。シリーズの引用を観客向けの合図だけにせず、人物の技能が継承される場面へ変えた。
参考情報:公開資料
実物効果を重視したことは画面の触感につながった一方、危険を正当化する理由にはならない。撮影では爆発で飛んだマンホール蓋が特殊効果技師マイク・メイナーダスの脚を直撃し、切断寸前と報じられる重傷を負わせた。撮影監督の記事でもメイナーダスが特殊効果チームを率いたことは確認できる。事故の正確な日付と医療経過は一次資料の追加確認が必要である。
参考情報:映画データベース(米)
この出来事は役柄の宣伝に利用できる逸話ではなく、撮影中に起きた重大な家族の喪失である。同時代のロイター報道によれば、ヘレナ・ボナム=カーターは南アフリカの交通事故で親族四人を亡くし、撮影地から英国へ戻った。制作側は期限を定めず休暇を認めた。公開文では事故の必要以上に細かな個人情報を繰り返さず、制作への確認された影響に限定する。
参考情報:公開資料
「ジョンの皮膚を移されたマーカスが仲間を殺す派生案も語られるが、監督が確認した別エンディングと同じ版か判別できない」という話がある。ただし、現時点で当事者資料や制作記録まで裏付けはそろっていない。マーカスがジョンの顔で仲間を殺す、さらに暗い結末についての裏付けがそろうまでは、情報不足・要確認として扱う。
参考情報:映画データベース(米)
完成版の心臓移植場面が追加撮影で延長されたという証言があるが、撮影日程と変更範囲を一次資料で確定できない。
参考情報:映画データベース(米)
セレーナ役にティルダ・スウィントンが検討され、ヘレナ・ボナム=カーターへ変わったと複数資料が伝える。交渉段階と降板理由は未確認である。
参考情報:映画データベース(米)
「セレーナ/スカイネット役が撮影途中の事情で縮小されたという説はあるが、事故休暇と脚本変更の因果を裏づける資料がない」という話がある。ただし、現時点で当事者資料や制作記録まで裏付けはそろっていない。ヘレナの役は当初もっと大きかったに関する手がかりは残るが、現段階で断定はできない。
参考情報:映画データベース(米)
撮影前の事故で椎骨を三つ折り、痛みのため劇中で座らなかったという逸話が流通する。本人インタビューを確認できていない。
参考情報:映画データベース(米)
サム・ワーシントンは撮影初週に肋間筋を傷めながら、自分で行うスタントを続けたと伝えられている。本人は現場で多くの打撲を負い、可能な範囲でスタントへ参加したことを認めているが、負傷箇所の詳しい証言はまだ確認できない。
参考情報:映画データベース(米)
テリー・クルーズは撮影した場面が完成版から削られた一方、冒頭の遺体として一瞬映るとされる。クレジットとBlu-ray未収録素材の照合が必要である。
参考情報:映画データベース(米)
アーノルド・シュワルツェネッガーが後年「ひどかった」と評した発言は複数媒体に再掲される。原動画または全文脈を確認してから強い断定に使う。
参考情報:映画データベース(米)
「市販版より大幅に長い監督版を求める運動はあるが、完成済みの長尺版が保管されている証拠は見つからない」という話がある。ただし、現時点で当事者資料や制作記録まで裏付けはそろっていない。劇場未公開の「マックGカット」が存在するを説明する制作側の確認が取れるまで、可能性の段階に留めたい。
参考情報:映画データベース(米)
「ハーヴェスター内の白髪の捕虜がスタン・ウィンストンだというIMDb項目は、制作中の死去時期と照らしても公式確認がない」という話がある。ただし、現時点で当事者資料や制作記録まで裏付けはそろっていない。スタン・ウィンストンが捕虜役でカメオ出演したに関する手がかりは残るが、現段階で断定はできない。
参考情報:映画データベース(米)