主な参考資料
- American Cinematographer
- Los Angeles Times
- Den of Geek
- The Academy
ターミネーター2を配信で見られるサービスを、確認できた範囲で掲載しています。未確認のサービスは公式サイトで探せます。
1991年公開。カロルコが権利をまとめ直したことでジェームズ・キャメロンが続編へ復帰し、当時史上最高額級の約1億ドルを投じた。ILMは『アビス』で試した液体CGを発展させ、主要人物を部分的にコンピューター生成する史上初期の試みを実現したが、現場では実物大車両、特殊メイク、双子の俳優、ミニチュアも大量に併用した。規模の増大に対し撮影監督アダム・グリーンバーグは、前作の10倍以上の資金がありながら撮影時間はむしろ少ないと振り返っている。世界興収は5億ドルを超え、技術革新と物量の双方が回収された。未来から来た殺人機械より、予算と締切を同時に制御した制作班のほうが機械的に働いていたのである。
1億ドル級でも前作より時間が少なかった。撮影監督アダム・グリーンバーグは、製作規模が1億ドルを超える一方、主要撮影の時間は第一作より厳しかったと振り返る。巨額予算が現場の余裕を意味せず、多数班と事前設計が必要だった。
アクションには最大九台のカメラを置いた。破壊場面では最大九台のカメラと耐衝撃用カメラを同時に配置し、一度しかできない爆発や衝突を複数角度で確保した。破壊の物量が、撮影機材の冗長性へ変換されている。
現場連絡に無線機187台を使った。広い道路と複数班を結ぶため、撮影隊はモトローラ製無線機を187台運用した。大作のスケールを、画面ではなく現場通信の具体的な数字で実感できる。
脚本改稿のたび秘密保持へ再署名した。内容漏洩を防ぐため、スタッフは新しい脚本稿を受け取るたびに秘密保持の書類へ改めて署名した。T-800の立場逆転を守る宣伝上の秘密が、日々の文書管理にまで及んだ。
走る車へ20フィート超の移動照明を追走させた。夜の車内を後方投影で撮るため、20フィートを超える移動式照明リグを車と並走させ、黒布のトンネルで不要な光を遮った。単純な運転会話にも、背景と光を同期する巨大装置が隠れている。
T-800だけ硬い青い光で分けた。グリーンバーグはシュワルツェネッガーへ硬い青緑の上光を当て、他の人物にはより柔らかな光を使った。同じ画面にいる人物を、台詞以前に人間と機械の質感へ分けている。
三種類のフィルムを場面で使い分けた。昼の内景、昼の外景、夜景と内景で三種類のコダック・フィルムを選び、粒状性と感度を切り替えた。青い夜と乾いた昼の差が、撮影後の色調だけでなくフィルム選択から作られた。
サイバーダイン外観は低空飛行許可で決まった。ロサンゼルスでは電線なしの低空ヘリ撮影を許可されず、外観をサンノゼで撮った。内部は別のバレンシアの建物である。一つの研究所が、航空規制によって複数都市へ分かれている。
高速道路5.5マイルを連続照明した。ロングビーチ・フリーウェイ約5.5マイルを夜間追跡用に照らし、10台の高所作業車、12キロワット級HMI、11台の発電機を投入した。終盤の途切れない速度感は、道路全体を一つの巨大セットにする電力設計から生まれた。
T-1000にはモーションキャプチャーを使っていない。ロバート・パトリックの体へ格子を描き、正面と側面の高解像度カメラで同時撮影し、スタッフが輪郭と動きを手作業でデジタイズした。現在の自動追跡に見える変形が、人の計測と入力の積み重ねだった。
走る姿の採寸で足に水ぶくれができた。パトリックは格子入り衣装で走る資料撮影を何度も行い、足に水ぶくれができるほど反復した。得られた動きをCGモデルへ移した。数秒の液体金属表現の裏に、俳優の身体を測る地道な運動があった。
変形を五種類の問題に分けた。ILMはT-1000の効果を、擬足、変形、損傷、死亡、人間動作など複数の型へ分類し、それぞれ別の処理工程を組んだ。万能な『液体金属ソフト』ではなく、ショットの問題を分割して解いた。
穴の開いた頭は実物とCGの合作だった。銃撃で頭部が割れる表現は、スタン・ウィンストンの可動模型とILMのデジタル変形をショット内で受け渡した。CG革命として語られる場面ほど、物理模型との境目が重要だった。
液体金属の出番は数分で大半が実物効果だった。キャメロンの公開当時取材では、T-1000のCGは約三分半から四分で、能力表現の多くは特殊メイクや模型など実物効果が担った。映画全体をCGで作ったのではなく、必要な変形だけへ計算資源を集中した。
サラ役へ武器訓練と身体改造を課した。リンダ・ハミルトンは軍事訓練経験者の指導で武器操作と体力作りを行い、第一作のサラと別人に見える身体を作った。人物の変化を衣装や台詞だけでなく、動きの速度と姿勢へ刻んだ。
双子が二人のサラと鏡像を演じた。リンダ・ハミルトンの双子レスリーが、T-1000がサラへ化ける場面と、削除されたチップ摘出場面の鏡像役を務めた。デジタル複製に見える二重像を、同じ顔を持つ実在の二人で作った。
核爆発の都市は精密模型だった。サラの悪夢では都市、樹木、建物を縮尺模型で作り、核実験映像を研究して衝撃波による破壊を段階撮影した。最も恐ろしい未来像が、CGではなく壊す順序まで設計した物理模型で作られた。
ファーロングは演技未経験で見いだされた。キャスティング担当マリ・フィンは少年クラブでエドワード・ファーロングを見つけた。演技経験のない彼をジョン・コナーへ起用した。大作の中心役が、通常の子役経歴ではなく街での探索から決まった。
成長期の声を後から整えた。長い撮影中にファーロングの声と身長が変わり、後処理で声の高さを揃える作業が必要になった。映画内では数日でも、俳優の身体には製作期間が刻まれていた。この説を手掛かりにジョンの各場面を見返すと、画面上の細部と証言がどこまで対応するかを検討できる。
実在ヘリを高架下へ通した。終盤のヘリコプターは実機で高架下を飛び、危険性から撮影班が難色を示したためキャメロン自身がカメラ側へ入ったと伝わる。合成に見えるショットが、操縦と撮影の同時精度で成立した。確定した制作記録ではないため、ヘリコプター追跡と照らし合わせながら読むべき逸話である。
低い高架を見て牽引車の屋根を飛ばした。排水路の現地確認で牽引車が高架下へ入らないと分かり、屋根を衝突で剥がすアクションへ変更したという。ロケ地の制約を隠さず、追跡の見せ場へ転換した。排水路の牽引車追跡は、この証言を作品の画面から検討するための具体的な手掛かりになる。
老いたサラの結末を撮ってから捨てた。核戦争が回避され、老いたサラが公園で孫を見る別結末を撮影したが、未来を確定し過ぎるとして暗い道路の映像へ置き換えた。希望を見せるのではなく、不確かな現在を守る結末を選んだ編集判断である。
T-1000の音へドッグフードとヨーグルトを使った。ゲイリー・ライドストロムは、金属が変形する湿った音を作るため、缶からドッグフードを出す音や、ヨーグルトへマイクを入れた素材を加工した。未来の液体金属が、身近で粘り気のある食べ物の音から生まれた。
T-1000の音楽は金管のウォームアップから作った。ブラッド・フィーデルは金管奏者のウォームアップ音を採り、加工してT-1000の不安定な音色へ変えた。整った旋律ではなく、楽器が形を定める前の音を液体金属へ当てた。
音響・視覚・メイクを含む四部門で受賞した。第64回アカデミー賞で本作は視覚効果、音響、音響効果編集、メイクアップの四部門を受賞した。技術革命がCGだけでなく、実物メイクと音の設計を含む総合成果として評価された。
現存小道具には撮影時の傷が残る。東京コミコンで展示された実物のバイク、衣装、メイク用部品には撮影で生じた摩耗や傷が確認できた。画面上の完成像の外に、物理的な製作痕跡が残っている。
『機械は瞬きしない』にも例外が映る。音声解説ではターミネーターは瞬きをしない方針が語られるが、冒頭のバイク発進時や商業施設の銃撃では短い瞬きが確認できるという指摘がある。厳密な演技規則にも撮影上の小さな例外が残る、再生確認向きのグーフである。バイク発進、商業施設の廊下は、この証言を作品の画面から検討するための具体的な手掛かりになる。ソフトを持っている捜査員は、該当場面を一時停止し、この指摘が画面と一致するか確かめてほしい。