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1978年公開。アレクサンダーとイリヤ・サルキンドらは、ワーナーが完成品を買い取るネガティブ・ピックアップ方式で資金リスクを背負い、『スーパーマン』と続編をほぼ同時に撮る巨大企画を立ち上げた。『オーメン』を成功させたリチャード・ドナーは、荒唐無稽な題材ほど真剣に扱う「真実味」を現場の合言葉にし、トム・マンキーウィッツと脚本を整理しながら、観客に本当に人が飛んでいると思わせる撮影技術を追求した。主演には著名スターではなく細身のクリストファー・リーヴを選び、筋肉を詰め物で作る案を退けた本人がトレーニングで体を作った。一方、約19か月に及ぶ二作並行の撮影は予算と日程を膨らませ、ドナーと製作者側の関係は悪化し、彼は第1作を完成させた後に続編から外された。約5,500万ドルの製作費に対して世界興収は約3億ドルとなったが、空を飛ぶ男を信じさせた現場では、監督と製作者の信頼関係だけが最後まで離陸できなかったのである。
主役候補のリストには俳優だけでなく、モハメド・アリやエルトン・ジョンの名まであったとされる。最終的に無名に近いクリストファー・リーヴを選んだことで、キャラクターそのものが前に出た。
クリストファー・リーヴはスーツの中に詰め物を入れる案を避け、トレーニングで本当に体を大きくしたとされる。無名俳優が役そのものになるための、かなり地道な準備だった。
「人が空を飛ぶと信じられる」という売り文句を支えたのが、ワイヤー、前面投影、ズームレンズを組み合わせた飛行特撮だ。ワイヤーで吊るだけではなく、観客に本当に飛んでいると思わせる技術が作品の看板になった。
リチャード・ドナーは、荒唐無稽な題材を成立させるためにverisimilitude、つまりもっともらしさを掲げた。コミック的な世界を茶化さず、真面目に信じさせる方針が現代ヒーロー映画の土台になった。
初期脚本には『ゴッドファーザー』のマリオ・プーゾが関わり、1作目と2作目を合わせると400ページ超の巨大な構想になっていたとされる。完成版へ向けて、ドナー側が現実味のある冒険映画へ締め直した形だ。
『スーパーマン』は続編『スーパーマンII』と連続撮影に近い形で進んだ。ところがプロデューサーとの対立でドナーは続編から外れ、のちに別バージョンが語られるほど複雑な制作史になった。
ジョー=エル役のマーロン・ブランドは、短い出演ながら非常に高額な契約だったと語られる。スターの名前で企画を大作に見せる、当時のハリウッドらしい力技でもある。
ジョン・ウィリアムズのテーマ曲は、映像の飛行感を支えるもう一つの特撮のように機能している。メロディが鳴るだけで上昇する感覚が出るほど、作品のイメージを決定づけた。
列車場面には、過去にスーパーマン作品へ関わったカーク・アリンとノエル・ニールが登場するとされる。新時代の映画が、旧時代のスーパーマンをそっと受け継いでいる小ネタだ。
出演者の不運を結びつけるスーパーマンの呪いは有名だが、作品そのものが呪われていたと断定できる話ではない。偶然の悲劇やゴシップが、強いキャラクターの神話と混ざって広がった都市伝説だ。
クリストファー・リーヴは、同じ顔の人物を姿勢と声の変化で別人のように見せている。眼鏡だけで正体が隠れる無理を、演技の説得力でかなり押し切っているのだ。
『スーパーマン』は、コミック原作を大人も信じられる大作映画にする基本フォーマットを作った一本だ。後のヒーロー映画が当たり前に使う、神話性と現実感の混ぜ方がここで強く形になっている。
ジョー=エル役のマーロン・ブランドについて、最初の打ち合わせでスーツケースや緑のベーグルとして登場する案を出したという逸話が語られている。かなり有名な話だが、ブランドの奇人伝説として面白く広まりやすい小ネタでもある。
飛行場面の一部では、俳優を動かすのではなく、前面投影とカメラ側のズームを連動させるZoptic方式が使われた。クリストファー・リーヴ自身はほぼ固定されていても、背景との関係で本当に前へ飛んでくるように見える仕組みだ。
クリプトン人の白く光る衣装には、前面投影スクリーンに使われた3M系の反射素材が応用されたとされる。飛行テスト中に素材が自分で光るように見えたことから、衣装デザインへ転用されたのだ。
少年期のクラークを演じたジェフ・イーストの台詞は、完成版ではクリストファー・リーヴが吹き替えたとされる。さらに顔をリーヴに近づけるため、毎日数時間の特殊メイクも施されていた。
若きクラークが列車と並んで走る場面では、ジェフ・イーストがスタント中に太ももの筋肉を痛めたとされる。青春映画のように見える短い場面にも、だいぶ身体を張った撮影が混ざっている。
ジョー=エル役のマーロン・ブランドは台詞を覚えず、現場に置いた台詞カードを使っていたとされる。短い出演で巨額契約を得たスターの現場態度は、後年クリストファー・リーヴにも辛口に語られている。
初期脚本には、テリー・サバラスがテレビドラマ『刑事コジャック』のキャラクターとして顔を出す案まであったとされる。完成版の真面目な神話感とは違い、初期案はけっこうキャンプ寄りだったのだ。
レックス・ルーサー役のジーン・ハックマンは、口ひげを剃るのを渋ったとされる。リチャード・ドナーが自分も剃ると約束したものの、実は偽物の口ひげを付けていたという、いたずらめいた逸話が残っている。
完成版には入っていないが、竜巻シーンは丸いタンク内の空気をファンで動かし、ドライアイスを使って撮影されたとされる。せっかく作ったミニチュア竜巻も、本編では使われなかった。
撮影は1978年10月に終わったとされるが、映画は同年12月には公開されている。編集担当のスチュアート・ベアードも驚くほど、巨大大作としては完成までの猶予が短い作品だった。
『スーパーマンII』の本来の結末として考えられていた時間逆行のアイデアは、1作目のクライマックスへ回されたとされる。連続撮影ゆえに、続編用の大ネタが先に使われてしまった形だ。