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2013年公開。2009年版の成功を受けた再起動シリーズ第2作だが、エイブラムスとミンデルはデジタル3D撮影より35ミリのアナモフィック映像を選び、主要なアクションには15パーフォレーションのIMAXフィルムも投入した。監督自身は3D撮影に積極的ではなかったものの、パラマウントの要望で完成後に立体変換され、IMAXと通常フィルムが混在する素材はVFX班の作業量を大きく増やした。前作でエンタープライズ機関室になったビール工場も再登板し、派手な未来都市の裏側では実在施設を使う現物主義が続いている。約1億9,000万ドルの製作費で世界興収は約4億6,700万ドルとなった。監督はフィルム、会社は3D、観客は宇宙活劇を欲しがり、結局すべてを一つの上映時間へ詰めたのである。
カーンの正体をめぐる秘密主義は、『スター・トレック イントゥ・ダークネス』公開前から大きな話題だった。宣伝段階の伏せ方そのものが、映画のミステリー売りになっていた。
ベネディクト・カンバーバッチは、冷たく圧のある敵役として登場する。『イントゥ・ダークネス』では、声と姿勢だけでも脅威に見える異様に静かな悪役になっている。
『カーンの逆襲』を思わせる要素を反転させる場面が、『イントゥ・ダークネス』には入っている。旧作を知る観客ほど、同じ構図が逆向きの感情で返ってくる作りだ。
レナード・ニモイは、前作に続いて旧時間軸のスポックとして登場する。新シリーズの中に本人が顔を出すことで、物語が過去作の記憶と直接つながる。
ピーター・ウェラー演じるマーカス提督は、宇宙艦隊の軍事化への不安を背負う人物だ。『イントゥ・ダークネス』では、敵が外部だけでなく組織の内側にもいる。
英題表記では「Star Trek Into Darkness」にコロンが入らないことも、小さな話題になった。シリーズ題名なのに区切りを外した妙に引っかかるタイトル表記だ。
IMAXを意識した大作アクションとして作られたことも、『イントゥ・ダークネス』の売りだった。宇宙船の落下や都市破壊を、より巨大スクリーン向けの迫力で見せようとしている。
マイケル・ジアッキーノの音楽は、前作テーマを引き継ぎながら暗い緊張感を強めている。『イントゥ・ダークネス』では、冒険の高揚より復讐と犠牲の重さが前に出る。
前作より暗いトーンを意識した続編であることは、題名にもはっきり出ている。2009年版の若々しい出発から、『イントゥ・ダークネス』では危うい成長物語へ寄っている。
アリス・イヴの下着場面は、公開後に批判も受けた有名な箇所だ。後に制作側が扱いを反省する文脈でも語られ、映画の不必要なサービス描写として見直されやすい。
艦隊そのものの陰謀が中心になるため、『イントゥ・ダークネス』は外宇宙探検より組織内部の不信が濃い。宇宙冒険の裏で、安全を名目にした暴走が描かれる。
旧作ファンの反応が割れたことも、『イントゥ・ダークネス』の特徴だ。過去作へのオマージュが強いぶん、懐かしさと焼き直し感の間で評価が揺れやすい続編になっている。
『イントゥ・ダークネス』を『カーンの逆襲』の完全なリメイクとする説明は単純すぎる。引用や反転は多いが、2009年版の時間軸に合わせた別ルートのカーン物語として作られている。
宇宙船の落下や格闘をめぐって、俳優本人だけが危険な撮影を担ったような話は盛られやすい。『イントゥ・ダークネス』の大作感は、スタント、セット、VFXを合わせた複合的なアクション設計によるものだ。
テレビ放送や配信版の記憶から、『イントゥ・ダークネス』には場面差の噂が混ざることがある。別編集を語るなら、まず公式に確認できる版と記憶違いを分けたい。