主な参考資料
- Sony Pictures
- Post Magazine
- Los Angeles Times
- YouTube
- TheWrap
- Animation World Network
- Art of VFX
- TIME
スパイダーマン:ホームカミングを配信で見られるサービスを、確認できた範囲で掲載しています。未確認のサービスは公式サイトで探せます。
2017年公開。2015年にソニーとマーベル・スタジオが結んだ契約から生まれ、ソニーが資金・配給・権利・最終的な創作上の決定権を保持しながら、ケヴィン・ファイギとエイミー・パスカルが共同で新路線を作るという、少々込み入った共同制作だった。過去2系列ですでに描かれた誕生譚を繰り返さず、ジョン・ワッツは高校生活を中心に据え、VFX班にも現実には撮れないゲーム的なカメラ移動を避ける方針を示した。トム・ホランドのダンスと舞台経験を生かし、危険な部分を除いて本人の動きやモーションキャプチャーを積極的に採用し、撮影はアトランタを中心に進めた後ニューヨークへ移った。題名はヒーローの帰郷を意味するが、制作の実態は二つの巨大企業が親権を分け合う、かなり綿密な面会協定だったのである。
ソニーが権利、出資、配給、最終的なクリエイティブ管理を維持し、マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギとエイミー・パスカルが共同製作した。
ジョン・ワッツは高校生の成長物語という提案に反応し、既存映画を編集したムード映像と絵コンテを作って監督選考へ臨んだ。
制作陣は能力獲得とベンおじさんの死を再演せず、すでに活動を始めた15歳のピーターから物語を開始した。
ジョン・ワッツは若手キャストへジョン・ヒューズ作品のDVDを渡し、撮影前に上映会を行った。
ホランドはブロンクス科学高校へ数日通い、転校生を装って授業を体験した。
制作陣はニューヨーク・タイムズに掲載された実在のクイーンズの生徒写真をルックブックへ使い、現代の公立校に近い集団を配役した。
トム・ホランドは約5か月半にわたり8回のオーディションを受けた。
ホランドとのスクリーンテストで、ダウニーは用意された台詞から外れて即興を仕掛けた。
『ビリー・エリオット』で培ったダンスと体操の能力を、実演だけでなくモーションキャプチャの基準にも用いた。
ジェイコブ・バタロンが演劇学校卒業後に初めて受けた映画オーディションが、題名を伏せた本作だった。
複数の脚本家チームが案を作り、クリス・マッケナとエリック・ソマーズは撮影数週間前から改稿へ参加した。
制作陣はアベンジャーズの戦闘後に瓦礫を片づける人々へ視点を移し、仕事を政府と大企業に奪われる請負業者としてエイドリアン・トゥームスを再設計した。
リズの父親をトゥームスにする案は脚本家が設計し、玄関と車内の会話だけでピーターを追い詰める場面へ発展した。
ジョン・ワッツは完成脚本を待たず、既製ソフトを使って場面の動きや構図を試し始めた。
完全CGの場面でも、現実に選べるカメラリグと物理法則を想定し、不可能な高速移動やゲーム的な視点を避けた。
最終的にCGへ置き換えるショットでも、スタントマンをワイヤーで動かし、照明、速度、重力の参考を得た。
監督取材時点でVFXは約1,500ショットあり、ソニー・イメージワークス、デジタル・ドメイン、メソッド・スタジオズ、イローラ、トリックスター、ILM、ルーマなどが参加した。
ジョン・ワッツは、派手な大場面よりスパイダーマンの虹彩に相当する目の開閉を自然な演技へする作業が難しかったと語った。
メソッド・スタジオズは台詞音声をMayaへ取り込み、マスク下の顎の動きを駆動する材料にした。
デジタル・ドメインはナイロンや実際のクモの糸も比較し、透明な微細管でできたシロクマの毛をウェブの光学的な参考に選んだ。
デジタル・ドメインは、船体が切断されピーターがウェブで支える一連の約9分間を担当した。
ジョン・ワッツはVFX班へ、従来型の完成されたヒーローポーズを避けるよう指示した。
『シビル・ウォー』でデジタル設計された外観を、衣装デザイナーのルイーズ・フログリーが撮影用の実物衣装へ作り直した。
バルチャーの翼は小型マケットのスキャンを基礎にMayaで構築され、初期型と改良型の二段階が用意された。
マイケル・ジアッキーノは1967年テレビアニメ版の主題歌をオーケストラ編曲し、冒頭のマーベル・スタジオロゴへ置いた。
クリス・エヴァンスの撮影時間を使い、完成版に出る本編用映像だけでなく、家庭用特典を含む多数の校内メッセージをまとめて撮影した。
ネッドが落として壊すレゴのデス・スターは、撮り直しに備えて四組が作られ、一組の組み立てに約一週間かかった。
トム・ホランドが撮影の合間に衣装のまま横になっていた写真を、ジョン・ワッツが携帯電話で撮り、後に宣伝用ビジュアルへ採用した。
パルトローは後年、本作の撮影だったことを覚えておらず、『アベンジャーズ』の場面を撮ったと思っていた。
ドナルド・グローヴァー演じるアーロン・デイヴィスは、クイーンズに「甥」がいると話し、原作で甥に当たるマイルス・モラレスの存在を示した。
モリタ校長の執務室には、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』でケネス・チョイが演じたジム・モリタの写真が飾られている。
日本の2017年ブルーレイには未公開シーン10種、キャプテン・アメリカ映像4種、NG集、スタントやバルチャーのメイキングなど80分超の特典が収録された。
トニー・レヴォロリは、原作の金髪で大柄な白人像と異なる自分が配役されたことで、一部から大量の中傷と殺害予告を受けたと証言した。
レグイザモは、マイケル・キートンの交渉が止まった時期に役を引き受けたが、キートン復帰後に降板を求められたと証言した。
撮影時のワーキングタイトルには、テレビドラマ『となりのサインフェルド』のエピソード名『サマー・オブ・ジョージ』が使われた。
題名は高校のホームカミング・ダンスを指すと同時に、スパイダーマンがMCUへ加わる「帰還」を重ねている。
ピーターが裏庭を横切って近道する場面で、住民のテレビに同じように家々を走り抜ける『フェリスはある朝突然に』を映した。
スーツAIのカレンをジェニファー・コネリーが演じ、アイアンマンのジャーヴィスを演じたポール・ベタニーとは実生活でも夫婦である。
マイケル・キートンは、トゥームスとピーターの車内場面が強く働く理由として、二人とも超能力を使わず言葉と視線だけで対峙する点を挙げた。
52歳だったマリサ・トメイを起用し、従来の実写版より若いメイおばさんを描いた。
腕と胴の間に広がるウェブ・ウィングを実写長編で初めて本格的に使用し、可動レンズとともに初期コミックの意匠を装備へ戻した。
ピーターが崩れた建物の下から立ち上がる場面は、『アメイジング・スパイダーマン』(2012)第33号で機械の下敷きになったピーターが脱出する連続画を基礎にした。
MCU年表と合わない点をめぐって、『スパイダーマン:ホームカミング』の8年後表記は深い伏線だと解釈されることがある。後年はミスとして扱われることが多く、作中の謎解きとして持ち上げすぎるのは危うい。