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1997年公開。前作の主演キアヌ・リーヴスは脚本、とりわけ疾走感を売りにした続編の舞台が豪華客船であることに納得できず降板し、サンドラ・ブロックの相手役にはジェイソン・パトリックが起用された。続投したヤン・デ・ボンは前作の成功と『ツイスター』後の期待を背負い、ミニチュアに頼らず大型船を港町へ突入させるため、セント・マーチン島に約20棟からなる街区を4か月半かけて建設した。製作費は資料により約1億1,000万〜1億6,000万ドルと幅があり、世界興収は約1億5,000万〜1億6,400万ドルで、宣伝・配給費まで考えれば前作のような成功とは呼びにくい。低予算のバスを豪華客船へ乗り換えた結果、乗り物より先に経費が加速してしまったのである。
続編の発端は、ヤン・デ・ボンが見た豪華客船が島へ突っ込む悪夢だったとされる。バスの速度ルールを素直に広げたというより、巨大破壊の絵から逆算された企画なのだ。
終盤の衝突場面では、町並みセットと巨大な船首モックアップが用意された。CGだけではなく、物理的に壊すための大掛かりな仕組みが作られている。
マリゴのセットは、ハリケーン被害で作り直しを迫られたとされる。海を舞台にした映画らしく、撮影現場そのものが天候との戦いになっていた。
実在のSeabourn Legendは主要舞台として使われたが、衝突場面では別のモックアップも使われた。画面の客船は、実船と作り物の合成で暴走している。
海中場面では水がきれいすぎる問題が起き、見た目のためにわざと濁らせたという。美しい水より、映画には危険に見える水が必要だった。
主演陣はかなり自前でスタントに参加し、ジェイソン・パトリックは大事故寸前の経験も語られている。豪華客船映画の裏側は、意外に体当たりの現場だった。
キアヌ・リーブスは続編の舞台が海上客船だと知り、脚本に反応できなかったと語られる。前作の相棒不在は、単なる契約問題以上に企画への違和感も絡んでいた。
サンドラ・ブロックは後年、『スピード2』についてまだ恥ずかしいと語っている。主演本人の言葉まで含めて、失敗続編としての自己認識が残る作品だ。
爆発で飛ぶ破片の中に、『ツイスター』の牛を忍ばせたという遊びが語られている。ヤン・デ・ボン作品同士をつなぐ、かなり小さなVFX内イースターエッグだ。
マーク・マンシーナは前作の疾走感をそのまま繰り返さず、南国レゲエ寄りの要素も入れて再設計した。舞台変更に合わせて、音楽も海上アクションのリズムへ変わっている。
『ダイ・ハード』用のクルーズ船企画が『スピード2』へ流れたという説がある。ただし証言の扱いは難しく、脚本史の未確認説として読むのが安全だ。
批評的には酷評されがちな続編だが、ロジャー・イーバートとジーン・シスケルは比較的好意的だった。評価の悪名だけでは見えない、当時の受け止めの割れがある。
グレアム・ヨストは別の続編アイデアを持っていたが、本作には関わらなかったとされる。『スピード2』は、前作の脚本家が考えたもう一つの続編とは別方向へ進んだ。