主な参考資料
- Los Angeles Times
- Animation World Network
映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!を配信で見られるサービスを、確認できた範囲で掲載しています。未確認のサービスは公式サイトで探せます。
2019年公開の本作は、『ひつじのショーン 〜バック・トゥ・ザ・ホーム〜』(2015)の公開直後から続編開発が始まり、リチャード・スターザックを中心に宇宙人を牧場へ落とす案が育つと、アードマンで初めて長編SFを監督するウィル・ベチャーとリチャード・フェランが約2年を脚本とコンセプト画へ使った。制作班は詳細なアニマティックを作り、PPMと呼ばれる制作前会議で絵コンテを一枚ずつ確認して、実物セット、背景の延長、マット画、CGへ仕事を振り分けた。約1年の撮影ではピーク時に35の撮影ユニットが70の特注セットを回し、アニメーター一人が一日に完成させる映像は平均1.6秒余りだった。スーパーでルーラが暴走する場面だけでも完成まで一年を要し、複数のアニメーターが人形の内部骨格を外して粘土を平らにつぶすところまで試した後、最後の担当者が試作から最も面白い動きを選んで一つの場面へまとめた。宇宙船は地上では実物模型、離陸後や遠景ではCGへ切り替え、発光、煙、ほこり、ワイヤー除去をデジタル処理で補うことで、手作りの質感を残したまま撮影台の外まで宇宙を広げた。台詞のない編集に18か月付き合った作曲家トム・ハウは約5時間半の音楽を書き、最終的に本作は世界で43,100,248ドルを記録して、アカデミー長編アニメ映画賞とBAFTAアニメ映画賞の候補になった。
本作の開発は、『ひつじのショーン 〜バック・トゥ・ザ・ホーム〜』(2015)の公開直後に始まった。ウィル・ベチャーとリチャード・フェランによれば、アードマン内ではリチャード・スターザックを中心に宇宙人を牧場へ落とす案が育ち、同社がまだ長編で扱っていなかったSFへショーンを連れ出したのである。
原題の「Farmageddon」は、SFと農場を結び付けた造語である。制作陣の回顧では、初期のアイデア会議でニック・パークが口にした案が残り、そのまま作品名になった。後から宣伝部が付けた題ではなく、物語を考える段階の冗談から生まれている。
本作で登場人物が言葉を話さない形式には、二つの理由がある。多数の口形を作る時間と費用を抑えられる実務上の利点に加え、『ウォレスとグルミット 危機一髪!』(1995)からショーンを発展させたリチャード・スターザックが、スラップスティックとサイレント喜劇を好んでいたためである。
本作は約4年前から開発され、最初の約2年を脚本とコンセプト画へ、約1年を撮影へ使った。ウィル・ベチャーが示した区分は、ストップモーションの遅さだけで4年かかったという意味ではない。撮影前に物語と美術を固める長い準備も、総期間の大きな部分を占めていた。
制作班は絵コンテへ仮の動きと時間を付けるアニマティックを作り、完成画面を撮影前に確かめた。その後のPPMと呼ばれる制作前会議で、ウィル・ベチャーとリチャード・フェランは絵コンテを一枚ずつ見ながら、実物セットを建てる範囲、背景を延長する範囲、マット画やCGへ渡す部分を決めた。
本作の撮影が最も混み合った時期には、35の撮影ユニットが70の特注セットを回していた。ここでいうユニットは、舞台、カメラ、照明、アニメーターを組み合わせて別々のカットを同時進行させる撮影区画である。一本の舞台を順番に使うのではなく、多数の小さな撮影現場を並行して動かしていた。
初長編監督のウィル・ベチャーとリチャード・フェランは、撮影が始まるとシークエンスをほぼ半分ずつ担当した。二人は朝に演技とギャグの方針を合わせ、日中は別々のユニットを回り、夜には編集者シム・エヴァン=ジョーンズと新しい映像をつなぎ直した。共同監督という肩書だけでなく、分業と再合流を毎日繰り返す体制だった。
本作では、アニメーター一人が一日に完成させる映像は平均1.6秒余りだった。ストップモーションは人形をわずかに動かして一コマずつ撮るため、通常の実写のように複数テイクを重ねることが難しい。監督とアニメーターは撮影前に演技を実演して記録し、動きと間を決めてから本番へ入った。
スーパーでルーラが棚の間を暴れ回る場面は、完成まで一年かかった。監督たちは複数のアニメーターへ人形を渡して自由な変形を試させ、内部骨格を外して粘土を平らにつぶす実験まで行った。最後の担当者は、その試作映像から最も面白い動きを選んで一つの場面へまとめた。
宇宙人ルーラの初期案は、毛で覆ったサッカーボールのような形だった。制作班はショーンと並べても一目で見分けられる輪郭を探し、頭を1950年代の空飛ぶ円盤、胴体を噴射前のロケットに見立てた。そこへ鮮やかな色、耳のきらめき、落ち着きのない子供の動きを加えて最終像を作った。
モッシンガム村のセットはスタジオ内だけで組めないほど大きく、美術班は外部で部品を作って搬入し、横倒しに組み立ててカメラも横向きにした。美術監督マット・ペリーは、村だけで少なくとも一人が一年働く量に相当すると見積もっている。巨大な景観をCGだけで済ませず、実物の町として撮れる範囲を作ったのである。
宇宙ステーションのセットは巨大だったが、宇宙船が表面を削る箇所は、その部分だけさらに大きな縮尺で作って壊した。ショーンは約5インチの人形であるため、指先や足先の細かな演技が必要な時には大型の手や足も別に作った。同じ場面の中でも、全景、破壊、表情に合わせて模型の大きさを変えている。
本作の宇宙船は、地面に止まっている時には実物模型で撮影し、離陸して撮影台の広さを超えるとCG版へ切り替えた。教会の鐘楼は物理セットと人形アニメーション、そこを通過する宇宙船はCGという組み合わせもある。制作班は切替前後のフレームをつなぎ、素材が替わったことを観客に意識させないようにした。
制作班は3Dプリンターを小道具、車両、人形内部の機構、複製用の型に使ったが、人物の頭部と口は置換用パーツにしなかった。アニメーターが粘土を直接彫り直す従来の方法を残したため、撮り直しても表情は完全には同じにならない。本作の均一な工業部品と手作業の顔は、用途ごとに作り方を分けている。
人形の撮影前には、監督とアニメーターが同じ動きを人間の体で演じ、実写動画に記録した。その動画をそのまま一コマずつ写すのではなく、動作の時間、視線、表情の変化について話す共通資料にした。撮り直しが重いストップモーションだからこそ、本番前のリハーサルへ実写を使ったのである。
本作の制作班は、牧場から宇宙へ広がる物語を小さく見せないため、前作より横に広い画面と大規模なセットを選んだ。横長画面は単なる上映規格ではなく、地下基地や宇宙空間を左右へ展開し、人形の撮影台へ大作SFの奥行きを与えるための判断だった。
作曲家トム・ハウは本作へ18か月参加し、最終的に約5時間半の音楽を書いた。台詞がないため音楽を早い段階から置く必要があった一方、人物や場面は編集で消えたり短くなったりした。ハウはブリストルの編集室の隣に作曲室を与えられ、物語の変更に合わせて曲を書き直した。
ウィル・ベチャーとリチャード・フェランは、SFの引用を入れる条件を「本作の笑いになること」と決めていた。『2001年宇宙の旅』(1968)のモノリスは、そのまま再現せず焦げたトーストへ置き換えた。既知の図像を見せるだけでなく、ショーンの世界で役に立つ物へ変換したのである。
Netflixが本作の米国、カナダ、ラテンアメリカでの権利を取得し、北米の劇場公開計画が配信へ移ったこと自体は確認できる。しかし、その直接原因が『アーリーマン』(2018)の興行不振だったとする制作会社、配給会社、監督の証言は確認できない。配信先の変更と、別作品の成績を一本の因果で結ぶ部分が未証明である。
本作が『2001年宇宙の旅』(1968)を参照していることは、監督が焦げたトーストのモノリスについて認めている。しかし、地名MossinghamまでHALとIBMの文字ずらしを応用して命名したと明かした制作証言は見つかっていない。作品全体にSF引用があるため、その語源も同じ発想だった可能性はありそうだが、断定しない方がよいかもしれない。