レイダース/失われたアーク《聖櫃》を配信で見られるサービスを、確認できた範囲で掲載しています。未確認のサービスは公式サイトで探せます。
1981年公開。2026年時点で劇場用長編全5作ある「インディ・ジョーンズ」シリーズの第1作である。ジョージ・ルーカスが1970年代前半から温めていた連続活劇の構想を、ジェームズ・ボンド映画を撮りたがっていたスティーヴン・スピルバーグへ1977年にハワイで語り、ローレンス・カスダンの脚本で企画が動き出した。大作『1941』で予算と日程を膨らませた反省から、スピルバーグは会社側が想定した87日ではなく73日で撮る非公式の短縮日程を組み、台詞場面まで絵コンテ化して実際に予定より早く撮影を終えた。製作費はBox Office Mojoで1800万ドル、再上映分を含む累計世界興収は約3億8993万ドル、北米興収は約2億4816万ドルに達している。前作の失敗から倹約を覚えた監督が、節約の結果として巨大シリーズを掘り当てたのだから、ハリウッドでは反省にもかなりの発掘価値がある。
剣士との対決は鞭で武器を奪う長い立ち回りとして準備されていたが、チュニジアで食中毒にかかったハリソン・フォードが短縮を提案した。インディが拳銃一発で終わらせる完成版は、体調と撮影日程から現場で組み直された場面である。
参考情報:映画データベース(米)
ジョージ・ルーカスが最初に構想した主人公名はインディアナ・スミスで、ローレンス・カスダンを交えた物語会議の段階でインディアナ・ジョーンズへ変わった。約一週間の会議は録音され、約100ページの記録が脚本の土台になった。
参考情報:AFI(米)
ジョージ・ルーカスは脚本家の選定をスティーヴン・スピルバーグに任せ、スピルバーグは当時まだ長編映画の実績が少なかったローレンス・カスダンを推した。三人の物語会議から、冒険活劇と人物の軽妙な会話が同時に組み立てられた。
参考情報:映画専門誌(米)
撮影監督ダグラス・スローカムは、企画が動き出した時点で最初に雇われた主要スタッフだった。スピルバーグは古い連続活劇の明快さを再現するため、過度に照明効果を誇張せず人物と空間を読み取れる撮影を求めた。
参考情報:映画専門誌(米)
インディ役にはトム・セレックが選ばれていたが、テレビシリーズとの契約が撮影日程と衝突したため出演できなかった。ハリソン・フォードは製作開始の約三週間前に起用され、ルーカス作品への連続出演を避けたいという当初の懸念を覆した。
参考情報:AFI(米)
撮影で使われた第5稿の台本は145ページあり、そのうち112ページ面にハリソン・フォードの手書き注釈が残っている。ハン・ソロを思わせる台詞や、インディの酒癖に関する描写にも意見を加え、役の輪郭を現場で細かく組み直していた。
参考情報:資料・アーカイブ
アルフレッド・モリーナは、英国で撮影した理由の一つが制作費の安さだったと振り返っている。主要キャストを除く多くの役を英国俳優が担い、撮影現場の労働条件も米国とは異なっていた。
参考情報:資料・アーカイブ
砂漠の飛行場に置かれた巨大な全翼機は、ジョー・ジョンストンが物語用に設計した架空の機体である。第二次大戦前の航空技術を思わせる形へまとめ、インディが機体の周囲を走り回れる円形のアクション舞台として作られた。
参考情報:資料・アーカイブ
聖櫃を開けた三人の最期には同じ効果を反復せず、蝋の頭部を熱で溶かすタイムラプス、内部から破裂する頭部、ゴム製の顔を真空で収縮させる方法を使い分けた。三種類の物理効果を合成し、超自然現象が一段ずつ激しくなる構成にした。
参考情報:資料・アーカイブ
聖櫃の力で顔が崩れる映像は完成後に刺激が強いと判断され、恐怖表現を弱めるため画面へ炎の層が追加された。特殊メイクを削除するのではなく、同じ素材の見え方を光学合成で変えて公開版へ残した。
参考情報:映画データベース(米)
魂の井戸には6000匹を超えるヘビやトカゲが集められ、画面の密度を上げるため撮影直前にも追加された。床全体を生き物で満たす実物撮影だったため、俳優とスタッフは安全管理をしながら狭いセットで作業した。
参考情報:AFI(米)
インディとコブラが向き合う接写では、安全のため俳優と蛇の間に透明な板が置かれた。照明の反射は完成画面にわずかに残り、危険な距離を保ちながら至近距離に見せた撮影方法を確認できる。
参考情報:映画データベース(米)
冒頭の巨岩はグラスファイバー製の大型球体を機械で転がす仕掛けで、ハリソン・フォードは複数回その前を走った。危険を避けて合成するのではなく、俳優と実物の岩を同じ空間に置いて距離感を作った。
参考情報:AFI(米)
転がる巨岩の低い摩擦音は、ベン・バートが砂利道を下る自動車タイヤの音から作ったと伝えられる。軽い素材の球体に、重い石が床を押しつぶす感触を音響で与えた。画面の巨岩と録音素材は、どちらも本物の石ではない。
参考情報:映画データベース(米)
魂の井戸で無数のヘビが動く音には、チーズ入りの料理へ指を入れる音や濡れたスポンジを滑らせる音が使われたとされる。実際のヘビの録音だけでは出ない粘りと密度を、身近な素材のフォーリーで補った。
参考情報:映画データベース(米)
インディがトラックへ飛び移り、車体の下をくぐる追跡は約五週間かけて撮影された。グレン・ランドールとテリー・レナードが動作を分解し、道路、車両、馬、スタントを長い連続場面へ組み直した。
参考情報:映画専門誌(米)
トラックの前から落ちたインディが車体下を通って後部へ戻る動きは、古い連続活劇のスタントを発展させたものだった。スタントマンのテリー・レナードが実車の下を移動し、路面との間隔を計算した安全装置と速度で撮影した。
参考情報:映画専門誌(米)
失敗した車への飛び乗りも残された。危うい体勢が、余裕のない人物と実物スタントの重さを同時に伝えている。
参考情報:映画データベース(米)
衣装班はインディの革ジャンと帽子を新品のまま使わず、しわ、汚れ、擦れを加えて長年使った道具に見せた。複数の同型衣装を用意し、アクションの連続性を保ちながら同じ傷み方を再現した。
参考情報:映画データベース(米)
デボラ・ナドゥールマンの証言では、スピルバーグはインディの衣装相談のためシカゴの撮影現場を訪れた。その訪問が『ブルース・ブラザース』へのスピルバーグの短い出演にもつながった。
参考情報:資料・アーカイブ
インディの帽子は人物の象徴であるだけでなく、広いつばがスタントダブルの顔を隠す働きもした。フォードとダブルを切り替える場面でも、輪郭と衣装を揃えることで同一人物の動きとしてつないだ。
参考情報:映画データベース(米)
ヴィック・アームストロングはハリソン・フォードと体格や横顔が似ており、現場でも取り違えられるほどだったと回想している。チュニジアの格闘では本人の動きを観察し、試写素材に残ったパンチの不一致まで見つけた。
参考情報:資料・アーカイブ
インディが疲労を「年月ではなく走行距離だ」と表す台詞は、ハリソン・フォードが現場で加えたとスピルバーグが振り返っている。冒険を無傷で切り抜ける英雄ではなく、殴られ、疲れ、傷が残る人物像を一行で定着させた。
参考情報:資料・アーカイブ
サラー役はダニー・デヴィートにも打診されたが、テレビ出演との日程調整がつかず実現しなかった。完成版ではジョン・リス=デイヴィスが、現地案内人の実務性と大きなユーモアを一人で担った。
参考情報:AFI(米)
主要撮影初日はフランスのラ・ロシェルに残る実在のUボート基地で行われた。第二次大戦の巨大なコンクリート施設を背景に使い、模型の潜水艦と実景を接続した。潜水艦模型は『U・ボート』の制作物を借りた。
参考情報:AFI(米)
バンツー・ウィンド号として使われた船は、別作品の撮影と往復しながら外装を塗り替えたとされる。限られた実船を複数の映画で使うため、撮影順と美術作業が船の予定に合わせて組まれた。
参考情報:映画データベース(米)
聖櫃の蓋の基本形は、ジョー・ジョンストンが便器のタンク上部を眺めて着想したという制作逸話がある。荘厳な宗教遺物の輪郭が、日常的な工業製品の左右対称な形から発展した可能性を示す。
参考情報:映画データベース(米)
ジョン・ウィリアムズはインディの主題として異なる二案をスピルバーグへ示し、監督が両方を気に入ったため一つの行進曲へまとめたとされる。力強い主旋律と上昇する副旋律が交互に現れる構造は、その二案を併存させた結果である。
参考情報:映画データベース(米)
毒を受けた猿の最期は、より露骨な映像も撮られたが完成版では反応と倒れる結果を中心に編集されたとされる。動物の苦痛を長く見せず、食事へ毒が入った事実だけを観客へ伝えた。
参考情報:映画データベース(米)
冒頭ではパラマウントの山のロゴが、ロケ地にある実景の山へ形を合わせて切り替わる。会社ロゴを本編外の印ではなく、連続活劇の世界へ入る最初の映像として使った。山の輪郭が重なる瞬間に本編の移動が始まる。
参考情報:映画データベース(米)
インディの衣装は1940年代の冒険活劇だけでなく、1954年の映画『インカ王国の秘宝』でチャールトン・ヘストンが演じた人物との類似が指摘されている。革ジャン、帽子、肩掛け鞄という組合せを比較すると、シリーズ以前の冒険映画の系譜が見える。
参考情報:映画データベース(米)
パラマウントとルーカスフィルムの契約は、製作費超過や続編権を細かく定めた当時として異例の条件だった。正確な比率は資料によって表現が異なるため、利益配分の数字ではなく、スタジオ側のリスクを抑えた契約構造が確認できる。
参考情報:AFI(米)