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1997年公開。宮崎駿は1970年代から抱えていた構想を大幅に作り直し、1994年に絵コンテへ着手、当時のスタジオジブリ史上最大級となる約23億5,000万円の制作費と長期工程を投入した。手描き主体を守りながら約15分にCGやデジタル彩色を用い、社内にCG部門を設けたことで、ジブリの制作工程がセル中心からデジタルへ移る転換点にもなった。国内興行収入は193億円を記録し、それまでの日本映画の興行記録を更新した一方、海外配給を担ったミラマックスには「切るな」という意思表示が伝えられ、編集圧力を退けた。自然と産業の衝突を描く映画の制作現場でも、手描きとデジタル、作家と配給会社が静かに領土争いをしていたのである。 ---
監督が本来つけようとした『もののけ姫』の題名は、『アシタカせっ記』だったとされる。プロデューサー側が売れ行きを見込んで別題を先に発表し、そのまま定着したという逸話が語られている。
作画枚数が14万枚以上に達した『もののけ姫』は、従来のジブリ長編よりかなり大きな制作規模になった。宮崎駿が「スタジオを使いつぶす」覚悟で挑んだ大作として語られる。
セル画時代の終盤に作られた『もののけ姫』は、同時に宮崎駿監督作として本格的にCGやデジタル処理を取り入れた作品でもある。手描きの重さとデジタル導入が同じ画面に同居しているのだ。
キャッチコピー「生きろ。」は、『もののけ姫』のために糸井重里が多数の案を出した末に生まれたものだとされる。初期には恋愛色の強い案もあり、短い一言に落ちるまでかなり迷走していた。
主題歌『もののけ姫』を歌った米良美一は、宮崎駿がラジオで聴いた歌声に惹かれて起用したとされる。映画の神秘的な印象を決めた声が、偶然の出会いから選ばれたのが面白い。
北米配給で編集を求められた際、『もののけ姫』ではジブリ側が「No Cuts」を強く示したという有名な逸話がある。細部には語りの揺れもあるが、作品を切らせない姿勢を象徴する話として広く知られている。
英語吹替版『もののけ姫』では、作家ニール・ゲイマンが脚色を担当した。日本的な固有名や世界観を英語圏の観客へ伝えるため、単なる直訳ではない再構成が行われている。
英語版『もののけ姫』では、文化的な言い換えとして酒がワインに置き換えられるなど、日本語版と細かな表現が違う。海外版を見比べると、翻訳が世界観の受け止め方まで変えることが分かる。
日本語版『もののけ姫』は声優専業だけでなく、俳優陣も大きく起用している。なかでもモロの君を演じた美輪明宏の存在感は強く、台詞の記憶まで作品の名物になっている。
公開当時の『もののけ姫』は、興収193億円で日本歴代興行収入1位を記録したとされる。単なる人気作ではなく、日本映画の興行地図を変えた一本だった。
終盤に現れる1匹のコダマについて、『もののけ姫』ではのちにトトロになるという監督発言が知られている。作品同士が直接つながるわけではないが、ジブリ世界の遊び心としてかなり楽しい裏話だ。
森や製鉄の風景には、『もののけ姫』で屋久島、白神山地、島根のたたら場などが着想源として語られる。架空の世界に見えて、現実の森と鉄づくりの記憶がだいぶ濃く入っている。
宮崎駿は『もののけ姫』で全カットの原画に目を通して修正したと語られる。事実関係の確認には幅があるが、画面の密度を考えると、監督の作画チェックが作品全体を押し上げた話として納得しやすい。
地上波初放送の『もののけ姫』は、関東地区で35.1%という高い視聴率を記録したとされる。劇場公開後も、テレビ放送が一大イベントになるほどの作品だった。
海外ドラマ『ロキ』に登場する巨大な存在のデザインには、『もののけ姫』のタタリ神からの影響があったとスタッフが語っている。日本アニメの不気味な造形が、海外の大作映像にも届いている例だ。
エボシ御前には、『もののけ姫』の制作途中で命を落とす案があったという話が流通している。裏付けはまだ強くないため、完成版との違いを語る未確認の制作案として残っている。
サンとアシタカのその後について、『もののけ姫』では二人が結婚したと断定するファン説がある。ラストの余韻から想像することはできるが、作中で明示された事実ではなく、公式設定のように語るには根拠が弱い。