主な参考資料
- AFI
- Los Angeles Times
- The Guardian
- Den of Geek
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1999年公開の本作は、リチャード・スターク名義でドナルド・E・ウェストレイクが書いた小説『The Hunter』を、ジョン・ブアマン監督『ポイント・ブランク』(1967)に続いて映画化したブライアン・ヘルゲランドの長編監督デビュー作である。ヘルゲランドは1970年代犯罪映画のように乾いた、主人公へ安易に共感させない作品を撮ったが、パラマウントとメル・ギブソン側は完成版を暗く暴力的すぎると判断し、撮り直しを求めた。ヘルゲランドは要求を拒み、『L.A.コンフィデンシャル』(1997)で脚色賞のオスカーを受けた2日後に現場から外され、ギブソンは製作者として約2週間の追加撮影と再編集を主導したと双方がそれぞれ説明している。劇場版には新しい第三幕、クリス・クリストファーソン演じる悪役、主人公のナレーション、より明るい結末が加えられ、当初版とは物語の順序、音楽、色調まで異なる完成形になった。ヘルゲランドは約8年後、失われていたデジタル編集データの代わりに残存フィルムを平編集機で組み直し、新しい音楽と色調を施した約90分の『Payback: Straight Up』を完成させた。製作費は集計元によって5,000万ドルと9,000万ドルに割れる一方、世界興収は1億6,162万6,121ドルで一致しており、一本の映画を二度仕上げる騒動まで含めて『ペイバック』という題名は現場にもよく効いている。
『ペイバック』は『殺しの分け前/ポイント・ブランク』(1967)の映像を作り直した作品というより、両作が同じ小説『The Hunter』を別々に映画化したものである。原作者ドナルド・E・ウェストレイクも二つの映画化として説明している。
ヘルゲランドによれば、アカデミー脚色賞を受賞した2日後、スタジオが求めた作り直しを拒んだことで作品から外された。ギブソンは「監督が再撮影を選ばなかった」と語っており、離脱の表現には当事者間の差がある。
【ネタバレあり】公開版の電話を使った二重の罠は、最初の撮影にはなかった。メル・ギブソンは自分でこの結末を考え、約2週間の再撮影を行ったと公開時に説明している。
テリー・ヘイズの改稿が公開版クレジットに残った。再構成の過程でテリー・ヘイズが改稿に入り、完成版では二人の共同脚本として正式クレジットされた。
監督版の復元時には元のデジタル出力テープが見つからず、ヘルゲランドと編集のケヴィン・スティットはフィルム素材をフラットベッド編集機で組み直した。
【ネタバレあり】『Straight Up』は追加場面を並べた長尺版ではなく、劇場公開版より約10分短く、第三幕そのものが別物である。ボスの息子の誘拐やホテル爆破は監督版にはない。
【ネタバレあり】監督版の「ブロンソン」は、サリー・ケラーマンが声だけで演じる姿なき人物である。公開版の男性ボスとホテル爆破はなく、終幕は駅での銃撃へ変わる。
【ネタバレあり】監督版では、スタジオが問題視した妻への激しい暴力と、相手を至近距離から冷酷に撃つ場面が復活している。主人公を観客に好かせるかという両版の方針差が最も明瞭に出る部分である。
劇場公開版の冷たい色は、撮影監督エリクソン・コアが使ったブリーチバイパスの効果である。2007年の監督版では強い青みが取り除かれ、同じ素材でも印象が大きく変わった。
監督版は公開版のスコアを外し、スコット・スタンブラーが1970年代風のホーンを使った新しい音楽を作った。映像だけでなく音の設計も再構築されている。
グレッグ・ヘンリーはヘルゲランドらの前でオーディションを受けた後、メル・ギブソンの承認を約2か月待った。ギブソンと初めて会ったのは、シカゴでの読み合わせだった。
劇中の都市名はぼかされているが、撮影はシカゴ約6週間、ワーナーのバックロット約6週間に分かれたとグレッグ・ヘンリーは回想している。
グレッグ・ヘンリーは、自分は公開版の再撮影に参加していないと明言している。それでも追加された爆発、誘拐、クリス・クリストファーソンの登場は、最終的には機能したと評価した。
ルーシー・リューは、世間が『アリー my Love』を転機と見た一方、自分にとっての「大きな転機」は『ペイバック』だったと語っている。鶴原顕央のXアーカイブに本人発言の要旨が残る。
ルーシー・リューによれば、パールは脚本上アジア系と指定されていたが、人物そのものはどの人種の俳優でも成立する役だった。公開時取材で、アジア系俳優に用意される役の幅の狭さも語っている。
【ネタバレあり】監督版の最後にポーターが見せる笑顔は、ヘルゲランドによれば『暴力脱獄』(1967)の終幕へのオマージュである。監督コメンタリーの内容を複数の映像ソフト評が一致して記録している。
The Numbersの現行集計では、製作費5,000万ドル、世界興収1億6,162万6,121ドルである。北米初週末は2,122万1,526ドル、北米最終は8,152万6,121ドルだった。
「映画全体の30%を再撮影した」という数字は確定できない。同時代記事は約4分の1、ギブソンは完成版の80%がヘルゲランドの仕事と述べており、制作当事者による統一集計がない。
「没企画『スーパーマン』のオーディション映像からマリア・ベロを発見した」という説は、本人・監督・配給会社の取材で確認できなかった。出演は事実でも、起用経路は未裏付けである。
「追加場面はポール・アバスカルが監督した」という具体的クレジットは、主要取材で担当範囲を確認できない。ギブソン主導の再撮影は確認できるが、誰がどの場面を演出したかは未確定である。
「脚本を窓から投げ捨てるべきだとジョン・ブアマンが酷評した」という逸話は、本人取材や掲載媒体を特定できなかった。同じ原作を映画化した関係は事実でも、この引用は未裏付けである。