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思い出のマーニーの映画トリビア用メインビジュアル
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思い出のマーニー

思い出のマーニー / When Marnie Was There / 2014
IMDb ⭐ 7.6🕐 103分🎬 スタジオジブリ2014年
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2014年公開。『借りぐらしのアリエッティ』から4年を経て米林宏昌が手がけた長編監督第2作である。米林が鈴木敏夫にもう一度監督したいと申し出ると、ジョーン・G・ロビンソンの原作を渡されたが、本人は長編アニメーション化の難しさに当初途方に暮れたという。鈴木の提案で舞台を英国から現代日本へ移しつつ金髪のマーニーは残し、原作の曇った空気を再現できる場所として道東の湿地を選び、釧路、根室、厚岸などを取材した。日本映画製作者連盟の集計では国内興行収入35.3億円を記録し、後に米国アカデミー賞長編アニメーション映画賞候補にもなった。宮﨑駿という巨人から離れて自分の脚本で立ちたいという焦りが、結果としてジブリの休止前を飾る一本を生んだのである。

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企画
信頼度

米林宏昌は『借りぐらしのアリエッティ』の後、次の長編を監督する自信がなく、原作を渡されても一度は企画を断った。それでも物語に引かれてイメージボードを描き始めると、杏奈とマーニーの世界を自分で映画にできる感触が生まれた。文章で企画を説得されたのではなく、自分の手で風景と人物を描いたことが決断を変えた。完成した絵を見た鈴木敏夫らも動き、辞退から監督就任へ進んだ。

参考情報:公式資料

舞台設定
信頼度

原作の舞台は英国ノーフォークの海辺だが、映画は札幌と釧路湿原を組み合わせた架空の北海道へ移した。川でも海でもないように見え、潮の満ち引きで通れる場所が変わる湿地は、杏奈が日常からマーニーの記憶へ踏み込む境界に合っていた。札幌は杏奈が暮らす都市部、釧路湿原周辺は療養先の風景を支えている。外国の地名だけを日本名へ替えず、物語の仕組みを支える土地から作り直した。

参考情報:公式資料(日)

ロケハン
信頼度

釧路・根室・厚岸を歩いて風景を集めた。制作陣は釧路、根室、厚岸を歩き、湿地、海岸、建物、道路、空の色を写真とスケッチに集めた。米林宏昌は、東北海道の真珠色に近い曇天が物語に合うと考えた。複数地域から必要な要素を選び、湿っ地屋敷へ舟で渡れる地形と、療養生活が成り立つ町を一つに組み立てている。

参考情報:公式資料(日)

舞台選定
信頼度

原作を日本へ移す段階で、宮崎駿は瀬戸内を舞台にする案を示した。しかし米林宏昌が選んだのは北海道東部の湿地だった。明るい内海ではなく、夏でも冷たさを感じる水、真珠色の空、潮で姿を変える地形が、杏奈の孤独とマーニーの記憶が交差する世界に合った。監督は先輩の案より、物語を包む温度と色を優先した。

参考情報:公式資料(日)

キャラクターデザイン
信頼度

日本の北海道へ舞台を移せば、マーニーの金髪と青い目を日本人らしい姿へ変える選択もできた。米林宏昌はあえて原作の外見を残し、彼女を日常に溶け込む少女ではなく、杏奈の中で美しく理想化された記憶として描いた。現実の場面は観察に基づく色と形で整え、マーニーがいる時間は美しさを強める。二つの世界の差を一人の外見へ集めた判断である。

参考情報:公開資料

宣伝上の対立
信頼度

第一弾ポスターは、金髪のマーニーを大きく描き、杏奈との出会いを前面に出した。これを見た宮崎駿は、金髪の少女で観客を引こうとするのは古い発想だと厳しく批判したという。米林宏昌は本編でマーニーを理想化された記憶として描いたが、その外見を宣伝がどう利用するかは別の判断になる。制作の意図と売り方の間に生じた具体的な衝突である。

参考情報:公開資料

脚本改変
信頼度

映画では杏奈を絵の好きな少女へ変えた。感情を他人へ説明するのが苦手な彼女でも、何を見つめ、どこで手が止まるかをスケッチで示せるからである。さらに絵を描く久子との共通点が生まれ、マーニーの過去へ近づくための関係も自然に組み立てられた。性格付け、小道具、情報を渡す人物関係を一つの設定で結んでいる。

参考情報:公式資料(日)

脚本改変
信頼度

杏奈とマーニーが湿っ地屋敷のパーティーで踊る場面は、映画のために加えられた。二人が親密になったと説明する代わりに、手を取り、周囲の人々の中を進む動きで距離の変化を見せている。現実では人の輪へ入れない杏奈が、ここではマーニーに導かれて群衆の中心へ進む。日常から記憶の時間へ移ったことを、一続きの身体表現で示す場面である。

参考情報:公開資料

建築・美術
信頼度

湿っ地屋敷は模型と実写式のカメラ検討から生まれた。実写映画の美術を手掛けてきた種田陽平は模型を作り、カメラをどこに置けば廊下や階段がどう見えるかを検討した。実写なら撮影直前に家具を動かせるが、アニメでは描き始めた後の変更が大きな負担になる。人物がどこからどこへ移動するかを先に立体で確かめ、その視点を背景へ移した。

参考情報:公式資料(日)

美術体制
信頼度

種田陽平は実写映画の美術監督として参加し、約20人のジブリ美術スタッフと共同で背景を作った。外部から完成したデザインを渡すのではなく、手描き背景の専門家と同じチームで、建物の構造、家具の位置、色の変化を詰めた。種田は自分をあえてジブリの外から来た存在と捉え、慣例に寄りかからない空間の見方を持ち込んだ。実写とアニメの美術が現場で接続された体制である。

参考情報:公開資料

背景美術
信頼度

現実の湿地や町は、北海道で撮った写真を基に観察的な色と形で描かれた。一方、マーニーが現れる時間では、屋敷の明かりや月夜の水面をより美しく理想化している。別世界を派手な特殊効果で示すのではなく、杏奈の心が同じ土地をどう見ているかによって、背景の光と色を変えた。マーニーの外見と風景を同じ方針で整え、記憶の美しさを画面全体へ広げている。

参考情報:公開資料(日)

作画
信頼度

湿地の水は背景の青い面では済まなかった。潮の満ち引き、舟が進む波、月や屋敷の反射を場面ごとに動かす必要があり、手描きの水面表現が制作スケジュールを遅らせた。杏奈とマーニーの距離や時間の変化に合わせて、水の見え方も変わる。完成版を見た宮崎駿は、水の感触が出ていると評価したという。

参考情報:公開資料

作画
信頼度

杏奈が荷物を持って列車へ乗る場面は、物語上は短い移動にすぎない。それでも身体の向き、足の運び、荷物の重さを自然に見せるため、完成まで数か月を要したという。手描きでは一見単純な乗降も、重心がずれれば人物が床から浮いて見える。幻想的なマーニーの場面だけを磨くのではなく、現実側の普通の動作へ長い時間を使った。

参考情報:公開資料

作画参考
信頼度

杏奈が浴衣姿で舟をこぐ場面では、若手アニメーターが同系色の浴衣を実際に着て舟へ乗った。腕を伸ばしたときの袖、腰回りの布、柄の見え方を撮影し、その映像を作画資料にしたのである。水上では足場が揺れ、衣服の動きも陸上とは変わる。舟の操作、身体の重心、布の遅れを一度に観察して手描きの動きへ移した。

参考情報:公式資料(日)

作画・演出体制
信頼度

米林宏昌と作画監督の安藤雅司は、人物の動きをめぐって意見を合わせすぎない関係を選んだ。安藤は監督の絵コンテをそのまま清書せず、杏奈の表情、相手へ触れる間、会話の距離に修正を提案した。プロデューサーは衝突を心配したが、安藤は監督だからという理由だけで従うことを避けた。演出と作画の緊張を保つことで、人物の感情を一方向へ決めすぎない制作になった。

参考情報:公式資料(日)

脚本・人物
信頼度

十一には当初、杏奈と交わす台詞が用意されていた。安藤雅司の提案でそれを削り、説明や助言をする大人ではなく、黙って舟をこぎ、必要なときだけ行動する人物へ変えた。言葉で謎を解く案内役を置かないため、杏奈は湿地と屋敷を自分の感覚で確かめることになる。無口さは人物の癖ではなく、物語から説明を減らすための改稿だった。

参考情報:公式資料(日)

美術・原作改変
信頼度

原作で杏奈とマーニーが向かうのは古い風車だが、映画では廃れたサイロへ変えられた。英国の風景を象徴する建物をそのまま北海道へ置くのではなく、農地に存在しても不自然でない建築へ置き換えたのである。高い内部、荒天、過去の恐怖という場面の役割は保ち、外形だけを日本化するのではなく土地の生業まで考えて翻案した。

参考情報:公式資料(日)

声優選考
信頼度

杏奈とマーニーの声優選考には、約300人が候補として集められた。有村架純は選考初日の早い段階でマーニーの台詞を読み、その声が制作陣の基準になったという。後から多くの候補を聞いても最初の印象が残り続けた。人数を重ねて平均的な声を探すのではなく、理想化された少女の明るさと影を同時に感じさせる最初の響きを選んだ。

参考情報:公式資料(日)

声優選考
信頼度

声優オーディションでは、候補者を杏奈役とマーニー役へ最初から分けなかった。全員が両方の台詞を読み、相手と役を入れ替えながら掛け合いを試したという。一人の声だけを聞けば合っていても、二人が並んだときに似すぎれば関係がぼやける。内向的な杏奈と明るく見えるマーニーの対照が会話で成立する組み合わせを探した。

参考情報:公式資料(日)

声の演技
信頼度

高月彩良が杏奈役に選ばれた決め手は、声の中に何か問題を抱えているように聞こえたことだった。明るさやアニメらしい表現力を先に求めず、普通に話していても息苦しさが残る声を探したのである。高月は高畑勲監督作のような自然な芝居を意識し、杏奈の事情が明らかになる前から内面を感じさせる声を作った。

参考情報:公式資料(日)

群衆の声
信頼度

TEAM NACSの五人は、町の男性を中心に約20役を演じ分けた。台詞のある人物だけでなく、七夕やパーティーで重なる群衆の声にも参加している。収録では互いの芝居に笑ってやり直す場面もあったという。北海道を拠点に活動してきた五人が、声色と話し方を切り替え、一つの町に多くの住民がいるように聞かせた。

参考情報:公式資料(日)

音楽
信頼度

村松崇継は完成映像が揃う前に、登場人物の性格や背景を詳しく記した資料を受け取った。場面ごとの雰囲気へ後から曲を貼るのではなく、杏奈が何を感じ、誰へ心を開くかを先に読み込んだ。制作陣との打合せを約一〜二か月重ね、音楽が人物に代わって感情を説明しすぎない方針を決めた。作曲の出発点は画面ではなく杏奈の人物像だった。

参考情報:公開資料(日)

音楽設計
信頼度

村松崇継は、杏奈が心を閉ざしている前半ほど楽器の数を減らした。マーニーと出会い、周囲との関係が広がるにつれて編成も少しずつ厚くなる。監督からは、音楽が感情を代わりに語りすぎず、杏奈の近くにいてほしいと求められた。悲しい場面へ悲しい旋律を重ねるのではなく、少女が世界を受け入れられる範囲を音の広さとして変化させた。

参考情報:公開資料(日)

主題歌
信頼度

七年前の個人的な歌がジブリ初の英語主題歌になった。プリシラ・アーンが高校時代に周囲へなじめなかった経験から約七年前に書き、発表せず持っていた個人的な歌だった。原作を読んだ彼女は杏奈と自分を重ね、この曲を候補として差し出した。少女の孤立と歌手自身の記憶が結び付き、スタジオジブリ長編初の全編英語詞主題歌になった。

参考情報:公式資料

主題歌起用
信頼度

主題歌の起点は、ジブリ美術館で開かれたプリシラ・アーンの小規模なコンサートだった。歌を聴いた関係者の推薦を受け、プロデューサーの西村義明は約三日後に米国へ向かったという。依頼から約二週間で候補曲が届いた。時間をかけた公開募集ではなく、一度の生演奏から渡米、原作読解、選曲までが短期間で進んだ起用である。

参考情報:公開資料

編集
信頼度

頼子が見る幼い杏奈の写真は、編集段階で当初より長く画面へ残された。笑顔だった幼少期と、現在の閉じた表情の差を観客が自分で比べられる時間を作るためである。アニメーションでは同じ絵を長く置けば動きが止まったようにも見えるが、あえて静止の時間を選んだ。過去を説明する台詞ではなく、見る長さそのものを情報にした編集である。

参考情報:公式資料(日)

画面内ディテール
信頼度

杏奈が札幌を発つ駅と、療養先へ着く駅の背景には、同じデザインの老婦人が立っている。物語上、彼女が杏奈を追って移動したわけではなく、群衆用に作った人物を別の駅でも再登場させた画面内の遊びである。主要人物だけでなく背景の乗客にも固有の服装と姿勢が与えられているため、二つの場面を並べると同一人物だと見分けられる。

参考情報:公式資料(日)

制作体制
信頼度

本作は、スタジオジブリの長編映画で初めて、宮崎駿の名が企画、脚本、監督などのクレジットに入らなかった。監督だけを若い世代へ替え、物語の骨格は宮崎駿が用意する従来の形とも異なる。米林宏昌、丹羽圭子、安藤雅司、種田陽平らが、それぞれの専門から作品の中心を組み立てた。宮崎駿は完成版を一観客として見て評価する位置に回った。

参考情報:公式資料(日)

公開後・スタジオ運営
信頼度

公開後、スタジオジブリが閉鎖するという報道や噂が広がった。実際に2014年8月に発表されたのは制作部門の休止で、同年末にその部門は解体されたが、会社と作品管理、関連事業まで消滅したわけではない。後に長編制作も再開している。本作は従来の制作体制の区切りになったが、「スタジオ最後の映画」とする説明は組織変更を単純化しすぎている。

参考情報:公式資料(日)

情報不足・要確認
信頼度

「湿っ地屋敷のパーティーで、杏奈と信子の後方に『天空の城ラピュタ』のシータに似た人物が描かれているという」という話がある。ただし、現時点で当事者資料や制作記録まで裏付けはそろっていない。パーティーにシータがいるを説明する制作側の確認が取れるまで、可能性の段階に留めたい。

参考情報:映画データベース(米)

情報不足・要確認
信頼度

「スペイン公開時に46館で上映され、その一部が吹替版、一部が字幕版だったという配給情報」という話がある。ただし、現時点で当事者資料や制作記録まで裏付けはそろっていない。スペインでは46館で限定公開されたについての裏付けがそろうまでは、情報不足・要確認として扱う。

参考情報:映画データベース(米)

情報不足・要確認
信頼度

「幼い杏奈が持つ人形の金髪や服装が、後に現れるマーニーの姿を先取りしているように見える」という話がある。ただし、現時点で当事者資料や制作記録まで裏付けはそろっていない。幼い杏奈の人形はマーニーに似ているを説明する制作側の確認が取れるまで、可能性の段階に留めたい。

参考情報:映画データベース(米)

裏取り強め
有力ソースあり
未確認・噂寄り
情報不足・要確認
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