主な参考資料
- TheWrap
- Animation World Network
- CGW
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2006年公開のベン・スティラー主演作である。20世紀フォックスは、1993年刊行の32ページの絵本を映画にする脚本開発に約10年を費やし、ショーン・レヴィは静かな作品を探していた時期に、この企画の「心、笑い、見世物」の混成を引き受けた。実在するアメリカ自然史博物館では展示品を傷つけられないため、撮影は外観だけをニューヨークで撮り、プロダクション・デザイナーのクロード・パレがバンクーバーの巨大スタジオに館内を再建した。レヴィ、撮影監督ギレルモ・ナヴァロ、視覚効果監修のジム・ライジールは、荒唐無稽な設定を現実の照明と空間に馴染ませる方針を採り、Rhythm & Huesが恐竜の骨格標本やはく製展示などを動かす約500ショットの視覚効果を担った。製作費はThe Numbersで1億1,000万ドル、同時代の『ロサンゼルス・タイムズ』では約1億2,000万ドルと報じられたが、世界興収は約5億7,944万ドルに達した。博物館の本物を守るために偽物の館を丸ごと建て、そこで展示物を暴れさせた――映画の魔法は、だいたい予算会議の後に始まるのである。
原作はミラン・トレンクが1993年に発表した、表紙を含めて32ページの絵本だった。フォックスと1492 Picturesは約10年にわたり長編化を試み、脚本家トーマス・レノンとロバート・ベン・ギャラントは、展示物が動く理由をエジプトの死後観と黄金の石板へ結びつけた。警備員の失敗と父子関係も映画用に加えられ、単純な「夜の博物館」の発想が108分の物語になった。
脚本家のレノンとギャラントは、本作をフォックスへ「『ダイ・ハード』(1988)とほぼ同じ構造」として売り込んだ。二人の説明では、テロリストの代わりが魔法、アラン・リックマンの代わりがT-Rexである。物語をコピーしたという意味ではなく、閉館後の建物へ一人で取り残された主人公が、時間内に危機を収める骨格を借りたということである。
フォックスは1年の間に三度、ショーン・レヴィへ監督を打診したが、レヴィはそのたびに断った。理由は、当時の自分が大規模な視覚効果を使いこなせると思えなかったからである。製作のクリス・コロンバスから「まず欲しい画を明確にし、実現方法は専門班に考えてもらえばよい」と助言され、ようやく引き受けた。
レヴィが企画の見方を変えたのは、同僚から『ファインディング・ニモ』(2003)に似ていると言われた瞬間だった。博物館の大騒動ではなく「大冒険に包まれた父子の再生」を中心に置けると気づき、監督を引き受けた。ベン・スティラーの参加後、ラリーが息子の信頼を取り戻す筋をさらに強め、視覚効果は人物関係より前へ出さない方針にした。
レヴィはVFX班のため、過去作より細かい絵コンテを作った。しかし撮影当日にスティラーがより面白い案を出すと、マンモスに押される動きなどをその場で採用し、相当数の絵コンテを捨てた。ミニチュア場面でも俳優の即興を先に撮り、VFX班が後から背景プレート、目線、縮尺を合わせるという、本来と逆の工程になった。
プロダクションデザイナーのクロード・パレは、監督がまだ決まっていない段階で雇われ、館内セットの建設を始めた。カナダの巨大ステージに二階建ての中央ホールと高さ14フィート、約4.3メートルの扉を設け、実在の博物館の材質感を再現した。パレの契約期間は約2年に及び、企画の停滞と監督交代をまたいで美術を維持した。
ニューヨークのアメリカ自然史博物館で撮影したのは外観である。展示物を壊す騒動を本物の館内で撮れないため、扉の内側はバンクーバーのMammoth Studiosへ新造した。外観との連続性を保つ大アーチ窓だけは実物に合わせ、それ以外は映画独自の館内で、海洋生物ホールだけがニューヨークの展示を使ったデジタル合成だった。
館内セットは大ホール一つで終わらず、イヌイット、ネアンデルタール人、エジプト、鉄道などの展示を一つずつ調べ、描き、造った。多い時には10人のデザイナーが展示計画だけを同時に進め、工房は24時間・週7日稼働した。床も単なる通路ではなく、高い光沢で展示を大きく見せ、スティラーが滑走できる撮影装置として設計された。
T-Rexは発泡素材の実物骨格を造り、それを骨一本ずつデジタル化した。美術班は釉薬を塗った発泡素材で実物大の「Rexy」を手作りし、VFX班はその造形をLiDARで立体計測した。さらに骨と関節を一本ずつ撮影して質感を対応させ、実物の金具と可動構造までデジタルの骨格へ移した。
骨だけのT-Rexは、物理的には肉付きの恐竜より軽く、速く動くはずである。Rhythm & Huesはまずその動きを試したが、画面では迫力が足りず、完成版では筋肉と肉を持つ重い恐竜のように動かした。足が床へ着くたびにカメラ揺れまで加えたため、犬のように遊ぶ骨格なのに巨大な重量を感じるという、意図的に不合理な笑いになった。
3インチの群衆は、実写、モーションキャプチャー、Massiveを場面ごとに使い分けた。顔が見える寄りは俳優をグリーンスクリーン撮影し、少人数の引きはモーションキャプチャー、多数の戦闘は群衆ソフトMassiveで作った。主役と40人のエキストラを全身スキャンし、ローマ・マヤ・西部用に約80着のデジタル衣装を組み、距離が変わっても同じ人物に見えるよう接続した。
ラリーと3インチのジェデダイアが話す場面で、ベン・スティラーとオーウェン・ウィルソンは同じ国にさえいなかった。スティラーは爪楊枝を相手に台詞と約20通りの即興を演じ、レヴィが全部を書き取った。3か月後、レヴィはウィルソンへ各版を読み聞かせて20通りの反応を撮り、編集で最も合う応答を組み合わせた。
デクスターはCGではなく、オマキザルのCrystalが演じた。鼻へかみつく動作の前には、トレーナーがCrystalをスティラーの自宅へ連れて行き、互いに慣れる時間を作った。平手打ちではCrystalだけが合図でスティラーを実際に叩き、スティラー側の反撃は猿へ触れず、パペットか緑のテニスボールを相手に撮った。
CGのT-Rexを相手に自然な反応を引き出すため、ショーン・レヴィ自身が撮影用の「恐竜」になった。仮のT-Rexの爪を着けて声を出し、廊下でスティラーを追いかけた。撮影後にレヴィの姿を消してCGの骨格へ置き換えたため、完成版には監督の全身演技が見えない形で残っている。
ラリーが館内を全力で走る場面のため、ベン・スティラーは友人トム・クルーズの走りを研究した。本人は『ミッション:インポッシブル』シリーズでのクルーズを「映画で最も走りがうまい俳優の一人」と考え、そのフォームをまねたと説明している。展示物から逃げる誇張した疾走にも、別のアクション映画の身体表現が使われた。
ラリーへ博物館の仕事を紹介する雇用窓口の女性は、ベン・スティラーの実母アン・メアラである。二人はテレビや同じ映画に出た経験はあったが、向かい合って一つの映画場面を演じたのは本作が初めてだった。スティラーが母へ目配せする演技も撮ったが、親子関係が見えすぎて奇妙だったため完成版から外した。
アクメンラー役は、ラミ・マレックの長編映画デビューだった。オーディションでは台詞を読むだけでなく、石棺から目覚めてどう出てくるかを自分で考えるよう求められた。マレックは威厳だけの古代王ではなく、数世紀ぶりに外へ出られる少年の高揚を演技の軸にした。
ミニチュアの騎手としてオーウェン・ウィルソンの側に立ったスタントマン、ロジャー・ルイスは、本作のスタント中に首を骨折した。本人の後年の説明では手術で2つの椎骨を固定し、医師から通常の生活は難しいと言われたが回復した。IMDb投稿は「軽傷」としているものの、手術を要した本人証言を優先し、その表現は使わない。
英国公開中、20世紀フォックスは劇場公開からDVDまでの期間を13週間へ短縮しようとした。これに抗議したOdeonとVueを含む大手映画館は、ヒット中の本作をスクリーンから外した。Foxは最終的にDVD発売を2007年4月23日へ遅らせ、約4か月の独占期間を保ったため、映画は英国の劇場へ戻った。
映画の舞台となったアメリカ自然史博物館は、公開日の2006年12月22日から翌年1月初旬までに、前年同期より約5万人多い約25万人を迎えた。増加率は約20%で、博物館の広報担当者は映画が「確実に一因」と説明した。ただし館長はニューヨーク観光全体の増加や別の人気展示も挙げており、全増加を映画だけの効果とはしていない。
視覚効果は一社だけで完成させていない。主担当Rhythm & HuesがT-Rex、動物、ジオラマなど300カット超を受け持ち、Rainmakerがジャッカル像など38カット、The Orphanageがモアイ像20カット、Weta Digitalがクジラを分担した。第79回アカデミー賞では視覚効果賞の最終候補7作品まで残ったが、3作品の正式ノミネートには入らなかった。
The Numbersは本作の製作費を1億1,000万ドル、世界興行収入を5億7,944万6,407ドルと集計している。北米興収は2億5,086万3,268ドル、北米以外は3億2,858万3,139ドルだった。世界興収は製作費の約5.3倍だが、宣伝費、劇場取り分、配信・ソフト収入を含まないため、この比較だけで最終利益は判断できない。
日本では、ハリウッド製コメディとベン・スティラー主演作が大きく当たりにくいという見方があった。配給の20世紀フォックスは「夜に展示物が動く」という仕掛けを前面に出したTVスポットを大量に流し、若年層と家族へ訴求した。CINEMOREの回顧によれば、日本興行収入は35億6,800万円に達し、その後の同社の宣伝戦略にも影響を与えた。
「『ナイト ミュージアム』(2006)の館内も、本物のアメリカ自然史博物館で撮影した」という見方は誤りである。現地で使ったのは外観で、展示物が暴れる館内はバンクーバーのMammoth Studiosへ新造した。大アーチ窓は実物に合わせたが、扉を入った先は映画独自の空間で、海洋生物ホールだけがニューヨークの展示とデジタル合成されている。