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2012年公開で、前作から10年ぶりにバリー・ソネンフェルド、ウィル・スミス、トミー・リー・ジョーンズが戻ったシリーズ第3作である。ソネンフェルドは今回も脚本開発の初期段階には加わらず、1969年への時間旅行という着想を面白いと感じた一方、最初の稿には監督の立場から直すべき点が残っていたと語っている。ソニーは期限付きのニューヨーク市税優遇を逃さぬため、筋立ての一部が固まらないまま2010年秋に撮影を開始し、書き直しのため予定2週間の年末休止は翌年3月まで延び、待機するスタッフの費用まで積み上がった。製作費はThe Numbersが2億1500万ドル、ロサンゼルス・タイムズが最終的な費用を約2億5000万ドルとするなど資料に幅があるが、北米興収は約1億7902万ドル、世界興収は約6億5421万ドルでシリーズ最高となった。税優遇の締切には間に合ったが、未完成の脚本を抱えたまま高額な撮影隊を待たせたのだから、節約と浪費はハリウッドでは同じ会議から生まれるらしい。
『メン・イン・ブラック3』の時間旅行は、後から付けた流行要素ではない。ウィル・スミスは前作の撮影中、Kに何かが起きたためJが過去へ戻り、若い相棒を救うという骨格をバリー・ソネンフェルドへ話した。実現まで約10年を要したが、感情の中心は最初の着想から完成版まで残ったのである。
本作は第三幕まで完全に固まる前に撮影へ入り、数か月の休止を予定表へ組み込んだ。Etan Cohenの稿にDavid KoeppとJeff Nathansonらが加わり、時間旅行を含む後半を撮影準備と並行して整えた。完成版が滑らかに見えるほど、舞台裏では脚本と撮影の時差が大きかったのである。
製作者から1969年への時間旅行案を聞いたバリー・ソネンフェルドは、月面着陸と当時の音楽に惹かれて参加した。しかも作中でグリフィンが見つめるシェイ・スタジアムの歴史的試合を、監督自身も高校時代に恋人と授業を抜けて観戦していた。個人の記憶がVFXで再建されたのである。
『メン・イン・ブラック3』には1,214ショットのVFXがあり、ソニー・ピクチャーズ・イメージワークスが約650を担当した。Method、Prime Focus、EFilm、Cantina Creativeも参加し、宇宙人から1969年の街、月面刑務所、アポロ11号までを分担した。派手さ以上に、千を超える断片を同じ調子へ揃える管理が大仕事だったのである。
シェイ・スタジアムは2008年に解体されており、制作時には詳細な設計図も見つからなかった。VFX班は年代ごとに改修された写真を読み比べ、外形、階層、座席列を復元し、小さな実物セットへCGを延長した。さらに画面の迫力を優先して上段席の傾斜を強め、正確な復元と演出を使い分けている。
クライスラー・ビルから落ちる時間跳躍は、脚本ではJが「時のカーテン」を通るという短い指示に近かった。VFX班はオーロラの発光を昼間へ移し、マンハッタンの歴史を白亜紀から戦勝パレードまで連続させた。切り返しに逃げず、落下の方向を保ったまま時代だけを変える設計が、3Dの奥行きも支えている。
終盤のアポロ11号発射台では、撮影所に作れたのは小さなガントリー、上部通路、ロケットの上端など限られた部分だった。ケネディ宇宙センター周辺のパノラマ写真を基に、湿地、海、空、発射台の大半、打上げをデジタルで構築した。巨大な歴史空間は、数メートルの実物を足場に広げられたのである。
アポロ発射塔から落ちる決戦を実寸のまま再現すると、地面までは数秒しかない。そこでプリビズ班はデジタル塔へ階層を足し、落下のドラマを伸ばした。ただし隣のロケットまで奇妙に長く見えないよう比率を調整しており、物理より物語を優先しながら違和感の限界を探っている。
ソニー・ピクチャーズ・イメージワークスは、J、若いK、グリフィンのデジタルダブルを制作した。魚との格闘、時間落下、発射台のように俳優だけでは成立しない動作で、実写素材からCG人物へ見えない切り替えを行っている。人間の芝居を守るために、宇宙人だけでなく主役たちも一時的にデジタル化されたのである。
『メン・イン・ブラック3』は3D作品として公開されたが、現場の中心は二眼の3D撮影ではなくフィルム撮影と後変換だった。監督と撮影監督の動き方に合い、ポストで奥行きを調整しやすい方式を選び、変換の多くをPrime Focusが担当した。立体感は撮影機材だけで決まらず、編集後の設計として加えられたのである。
1969年のMIB本部は、古い機械音を鳴らせば済む空間ではない。音響監督ポール・オットソンは、シリーズの秘密組織らしい高性能さと、当時の電子機器を思わせるレトロ感を同時に持たせた。画面の小道具だけでなく、未来音の年代まで作り分けることで、2012年と1969年の往復が耳にも伝わる。
リック・ベイカーによれば、本作用に制作した宇宙人は127体に達した。しかし設計中に場面そのものが撮影されなくなった例もあり、完成版に登場するのはおよそ4分の3である。MIB本部の群衆が多彩に見えても、工房にはさらに別の住民が残されていたことになる。
1969年のMIB本部では、宇宙人まで同じ時代の文化をまとっている。リック・ベイカーは幼少期にテレビで見た1950〜60年代SFを思い出し、魚鉢型ヘルメット、虫の目、露出した脳、明るい色を造形へ戻した。現代側との違いは服装だけでなく、人類が想像した宇宙人像の年代差なのである。
前作では背景宇宙人まで主役級に動かせるよう作ったリック・ベイカーだが、本作では多くが遠景にしか映らない経験を踏まえた。まず格好のよい実物造形を作り、必要なら瞬きだけをCGで加える。素材の存在感を残しつつ、見えない機構へ時間を使いすぎない現実的な方法へ進化したのである。
本作の編集は、撮影開始から同じ担当者が積み上げたものではない。ドン・ジマーマンは撮影終了のわずか数週間前に参加し、前任者が別のリズムで組んでいた既撮影分を切り直した。脚本改稿で知られる制作だが、完成版のテンポも編集段階の再設計を経ているのである。
物語は月面刑務所、1969年のマンハッタン、フロリダのアポロ発射基地へ広がるが、バリー・ソネンフェルドによれば撮影は約106日間、ロケとステージを含めてすべてニューヨークで行われた。遠隔地の風景は資料撮影、セット、青幕、VFXで組み上げられ、地理の広さと制作拠点は一致しない。
「ウィル・スミスが息子ジェイデンをエージェント役へ起用するよう求め、制作側との対立が起きたという説。」という話がある。裏づけとなる資料は確認できず、情報不足の噂として見るほかなさそうだ。
「ウィル・スミスの報酬が最終的に1億ドルへ達したという説。」という話がある。裏づけとなる資料は確認できず、情報不足の噂として見るほかなさそうだ。
「ボリスとヤズミンの関係や刑務所内の子どもをめぐる解釈。」という話がある。裏づけとなる資料は確認できず、情報不足の噂として見るほかなさそうだ。
「1969年本部の頭部が透けた宇宙人はリップ・トーンのカメオで、収監により役が変更された。」という説明が広まっている。だが、関連する証言や資料と食い違いがあり、そのまま信じにくい話だ。
「1969年へ到着する場面に『メイフィールドの怪人たち』の効果音を流用した。」という説明が広まっている。だが、関連する証言や資料と食い違いがあり、そのまま信じにくい話だ。