主な参考資料
- The Guardian
- Den of Geek
- AFI
- fxguide
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2002年公開。前作から5年後、バリー・ソネンフェルド監督とウィル・スミス、トミー・リー・ジョーンズが戻ったシリーズ第2作である。ソネンフェルドは後年、前作を監督した自分が脚本開発に加えられず、渡された脚本を「非常に問題がある」と感じながら、撮影開始日が固定されていて立て直す時間もなかったと語っている。さらに世界貿易センターを使う予定だったクライマックスは9.11後に変更され、完成版では自由の女神像が新たな舞台となった。製作費は約1億4000万ドル、通常公開の北米興収は約1億9042万ドル、世界興収は約4億4177万ドルで、同年9月の『スパイダーマン』との二本立て再公開は番組全体で別に約405万ドルを記録した。封切り日と売上は守ったが、監督に脚本を整える時間を渡さず、現実の大事件には終盤を作り替えさせられた――黒服の組織より、続編を急ぐスタジオのほうがよほど秘密主義だったのである。
2002年7月4日の全米公開日が先に固定され、制作陣は短い準備期間で撮影へ入った。製作者ローリー・マクドナルドは日程の厳しさを認め、ウォルター・パークスも、公開日から逆算する制作は品質と衝突しうると振り返った。多数の宇宙人と約600の視覚効果を扱う映画で、完成までの時計だけは動かせなかった。
前作の成功が現場への介入を増やした。スタジオと製作者は成功を再現できないことを恐れ、個々の制作判断へ深く関与するようになった。バリー・ソネンフェルドは、短い日程の中で多くの意見をまとめる負担が現場の強い緊張につながったと語っている。
クライマックスは最初の脚本ではクライスラー・ビル基部に置かれ、バリー・ソネンフェルドが世界貿易センター基部へ変更した。2001年9月の同時多発テロ後、その場所を使う計画は撤回された。終幕はまだ撮影前で、主な対応はニューヨークの背景プレートを差し替えることだったため、完成版では自由の女神が新たな舞台になった。
前作から五年後に主要メンバーを再集結させる交渉は、通常の出演料だけではまとまらなかった。報道では、俳優、監督、製作者ら六者が、映画の最初の2億ドルの収入から50%を分ける契約で決着したとされる。前作の大ヒットで各参加者の価値が上がり、同じ顔ぶれを戻すこと自体が続編最大級の費用になった。
デヴィッド・コープが初期の脚本開発に関わったが、『スパイダーマン』(2002)などの仕事へ移った。その後、『ギャラクシー・クエスト』のロバート・ゴードンが物語と脚本を作り、バリー・ファナロが最終段階の改稿へ加わった。完成版の脚本クレジットはゴードンとファナロだが、続編の方向を定めるまでには三段階の書き手が関わっている。
初期構成では、Jとローラの恋愛要素が前半を長く占めていた。バリー・ソネンフェルドは、Kが不在の間はJが状況を受け止める真面目役になり、ウィル・スミスの喜劇性が弱まると考えた。改稿では前半を圧縮し、Kを早く郵便局から連れ戻すことで、二人の掛け合いを物語の中心へ戻した。
ウィル・スミスは『ALI アリ』のため一年半にわたって身体を鍛え、実在人物を演じる重い撮影を終えたばかりだった。その直後に、既に性格とリズムを理解しているエージェントJへ戻り、自然にできる喜劇を演じられることが本作の魅力だったと語った。続編への復帰は、同じ役の繰り返しではなく、正反対の仕事へ切り替える機会でもあった。
マイケル・ジャクソンは第一作をパリで見た後、続編を作るなら必ず出演したいとウィル・スミスへ直接連絡した。制作側は宇宙人として登場させる案を考えたが、本人が望んだのは黒いスーツを着るMIB捜査官だった。その希望に合わせ、遠隔モニター越しに正式採用を願うエージェントMのカメオが作られた。
ファムケ・ヤンセンはサーリーナ役で一部撮影へ入った後、家族の不幸を理由に降板し、ララ・フリン・ボイルが代役になったと複数資料が伝えている。交代時期と撮影済み映像の範囲を示す一次資料は確認できない。短い準備期間の中で、主要悪役の衣装、メイク、デジタル変身を新しい俳優へ合わせ直す必要が生じた可能性が高い。
第一作でフランクを演じたパグ犬が続投したが、五年の間に年齢を重ね、口元の毛が白くなっていたため、メイクで色を整えたとされる。人間の俳優だけでなく、犬の外見にも前作との時間差を隠す処置が必要だった。DVDにはフランクを扱う制作特典があるため、メイク担当者の説明を映像で確認できれば信頼度を上げられる。
リック・ベイカーは宇宙人のデザインについて、監督、製作者、スタジオの意見を一つへまとめる必要があった。デジタル作画で案を増やしやすくなった結果、以前なら五案ほどだった検討が、一体につき最大50案ほどまで膨らむこともあった。完成した輪郭には造形師の発想だけでなく、多数の承認者へ合わせて形を変えた履歴が残っている。
バリー・ソネンフェルドは、地球の生物に似ない宇宙人を求めた。一方で、観客が誰を見ているか理解するための目と、誰が話しているか分かる口も必要だと判断した。未知の外見を押し進めるほど演技が読めなくなり、造形は人間的な顔へ戻っていったのである。
特殊メイクは俳優の顔と体へ合わせて作るため、配役が遅れるほど造形期間が短くなる。そこでリック・ベイカー班は、長時間のメイクに慣れ、長い首や特徴的な体格を持つ既知の俳優を宇宙人役として提案した。完成したデザインへ人を押し込むのではなく、限られた時間で確実に撮れる身体から宇宙人を逆算した。
エージェントLが解剖する場面のため、触手を広げると約15メートルに達する死体宇宙人が設計された。通常の工房に収まらず別の作業場を借り、約20人の彫刻スタッフが三か月かけて完成へ近づけた時点で場面が削除された。既に大半が作られていたため、造形物はMIB本部で引きずられる背景の死体として転用された。
リック・ベイカー班は、背景を一瞬横切るだけの宇宙人にも、見えない部分だからと機構を省かなかった。撮影中に監督が手や目の動きを求めても対応できるよう、主役級の造形と同じ発想で完成させた。MIB本部の雑踏は、固定された人形を並べた背景ではなく、それぞれが演技できる造形の集合である。
リック・ベイカーは、長い首を持つジェレミー・ハワードとメアリー・スタインに出会い、約三十年前に考えた鳥人のアイデアを思い出した。古い案をそのまま使わず、二人の顔と首の比率へ合わせて再設計し、辻一弘らが特殊メイクへ変換した。眠っていたデザインが、特定の俳優の身体を得てMIB本部の鳥人夫妻になった。
鳥人夫妻のくちばしは、長時間の撮影中に俳優が休憩できるよう、内部磁石で取り外せる構造にした。接着したくちばしを無理にはがして周囲の特殊メイクを傷める必要がない。頭部の羽毛も通常のかつら土台へ接着し、異形の外見を保ちながら装着と整備を現場で続けられるよう設計された。
第一作のワーム・ガイズは一体成形で、続編で求められる細かな腕や表情の動きを機構化しにくかった。造形班は元の型から新しい原型を起こし、腕、首、胴を個別に動かせる構造へ彫り直した。アパート場面用だけで10体を新造し、ラジコン、棒、ケーブルを分担して操作した。
ワーム・ガイズの顔を極端に近く見せる場面では、通常サイズのパペットでは口や目の機構が小さすぎて、細かな表情を作りにくかった。そこで頭から胴までを通常の三倍で作った大型版を用意した。撮影対象そのものを大きくすることで、接写でも唇やまぶたの動きを滑らかに制御できた。
バリー・ソネンフェルドはワーム・ガイズ一体ごとに性格表を用意した。自分を屈強なリーダーだと思う者、ブルックリン出身かニュージャージー出身かという違いまで、画面では説明されない背景を決めた。パペット操演とILMのCGアニメーターが同じ人物像を共有し、姿勢や歩き方に一貫性を持たせるための演技資料だった。
ロッカー住民の前景には、毛のあるスーツと特殊メイクを着けた俳優を配置した。背景の人数はソニー・イメージワークスがモーションキャプチャーで複数の動作を作り、粒子システムで群衆として増やしている。手前の具体的な毛並みと演技を実写で残し、奥だけを複製することで、狭いロッカー内部へ共同体の密度を与えた。
終幕の巨大な宇宙ステーションでは、約40案から選んだ四つの基本デザインをCGモデルへ変換した。色と体格をランダムに変え、共通の歩行サイクルへ手付けの動作を加えることで、120体以上の宇宙人に見せている。一体ずつ別の生物を作る代わりに、少数の基本形と変化規則で異世界の人口を構成した。
ジェフの頭部にある花は、獲物を誘うアンコウの器官を参考にした小型パペットである。さらに体側の大きな発光部を地下鉄車両の窓のように並べ、暗いトンネルを高速で走る巨体が一瞬だけ列車に見えるよう設計した。自然界の捕食器官とニューヨークの交通風景を、一体の怪物へ重ねている。
ジェフのCGモデルは、外側の輪郭を作る皮膚、その内側の皮膚、消化器官という三層で組まれた。地下鉄車両や宇宙船を飲み込む場面では、内容物が体を突き抜けないよう、内外の形を一コマずつ彫り直して沿わせた。光を通す肉の厚みと、巨大な物体が腹へ収まった重さを内部構造から作っている。
ジェフが地下鉄車両へ噛み付く正面のカットでは、専用の圧搾装置を使って実物車両を物理的に押し潰した。デジタルの口と体を後から組み合わせても、金属が力を受けて曲がる部分は現場で本当に壊している。完全なCG怪物へ、実物素材の抵抗と不規則な変形を接触の手掛かりとして加えた。
バリー・ソネンフェルドはジェフを、体節が順に弧を描く尺取り虫のように動かさないよう求めた。アニメーターが主な参考にしたのは、陸上を進むアシカである。肩で巨体を前へ押し出し、脂肪が一拍遅れて揺れる動きを移すことで、長いワームの形を保ちながら重い哺乳類の身体感覚を与えた。
Jがジェフの背へ乗る場面では、ウィル・スミスをブルースクリーン前に設置した動作制御ジンバルへ乗せた。完成前のアニメーションに合わせて台を傾け、俳優の体へ実際の加速と揺れを与えている。合成時には装置をデジタルのジェフへ置き換え、俳優の重心変化を怪物との接触として残した。
初期のサーリーナは、茂みが伸びて相手を絡め取る植物型として設計された。ILMは植物や菌類のタイムラプス映像を参考に、枝や根の成長を再現する専用ソフトまで開発した。しかし植物が自然に伸びるだけでは、目的を持って襲う意志が弱く見える。制作後半にウナギやヘビに近い触手の集合へ変更し、モデル、質感、動きを作り直した。
サーリーナの原始形態は、アーティチョーク、松かさ、モクレンの種子など、重なった表面を持つ植物を参考にした。さらに実物のアーティチョークへシャンプーや鉱物油をかけ、粘液が光を反射する様子を撮影した。その資料を基に、皮膚モデルの上へ独立した透明な粘液層を重ね、濡れた生物の質感を作った。
一本ずつの触手へ顔の色を分配した。唇、ほくろ、頬紅、肌の陰影など、ララ・フリン・ボイルの顔写真の小さな断片を一本ずつの触手へ割り振った。触手が細くなりながら編み上がると色の断片も正しい位置へ集まり、デジタルの顔から実写の俳優へ連続して変わる。
サーリーナの複雑な触手には少なくとも約30人のアニメーターと約60人の技術監督が関わった。触手がJへ巻きつく場面では、怪物だけを実写へ重ねても、体が押される接触を自然に作れない。そこでウィル・スミスのデジタル・ダブルを用意し、必要な部分だけ俳優の体を置き換えながら、触手の締めつけとJの反応を一続きの動きにした。
終盤の巨大サーリーナには多数の案が描かれたが、複雑すぎる形は動いたときに読み取りにくかった。最終的には小型形態の神経根を思わせる構造を基礎にしつつ、表面の粗さ、粘液の厚み、触手の速度を変更した。小さな生物と同じ速さで動かすと重量感が失われるため、巨大化した体に合わせて運動と質感の尺度も作り直している。
MIB本部を走るロボット・スクイッドは、CGではなく実物の機械仕掛けである。二つの車輪で移動し、平行四辺形のリンク機構によって胴体を上下左右へ揺らせるよう設計した。左右の目は独立して動き、触手は内部のワイヤーで操る。造形スタッフが「高価なラジコン車」と呼ぶほど、短い登場のために走行と表情を一体化した装置だった。
郵便局の仕分け係は、ジェレミー・ハワードが頭部メイクを着けて演じている。俳優の顔と胴体を残したまま、撮影用の腕をブルースクリーンで覆い、後から複数のデジタル腕へ置き換えた。腕ごとに郵便物の仕分け、喫煙、コーヒーを飲む動作を割り当てたため、顔の芝居と宇宙人らしい同時作業を一つのショットへ収められた。
ジャーラは当初、長い衣装の下で俳優を一輪車へ乗せ、床を滑るように移動させる案だった。撮影後にデザインが広がり、俳優の頭部を追跡して小さなデジタルの体へ合成し、周囲にはさらに小型の分身を加えた。乗り物に見える円盤も単なる台ではなく、腰や脚に相当する身体の一部として揺らし、頭と体の重心がつながるようアニメーションした。
あごに小さな顔を持つ宇宙人は、台本段階から「ボールチニアン」と呼ばれていたわけではなく、ウィル・スミスが撮影中に口にした即興が残った。特殊メイクの内部には、小さな口を開閉させ、左右の肉を別々に揺らすサーボ機構を組み込んだ。首の高い衣装は登場前に仕掛けを隠す役割も持ち、Jが襟を下げた瞬間だけ機械仕掛けの顔が現れる。
本部の背景宇宙人は撮影中にも増えた。二日間の撮影中にも、前作で使わなかったマスク、撮影直前の造形、手元の衣装を組み替えて新しい姿を増やした。水槽の中には体を大きく折り曲げられる曲芸師を入れ、人間の輪郭を崩している。限られた時間の中で、造形物と出演者の身体能力を再利用しながら本部の人口を広げた。
サーリーナの触手が伸び縮みする音には、木の枝をゴム膜へ押しつけ、そこへ水分を加えた録音が使われた。枝の乾いた割れや擦れだけでは植物に寄りすぎ、液体音だけでは形が伝わりにくい。硬い芯、弾力、湿り気を一度に録ることで、初期の植物型デザインと完成版の動物的な触手の両方を含む音になった。
2012年のBlu-rayには、「マルチアングルによるシーン構築」として五つの場面が収録された。絵コンテ、撮影素材、特殊効果、VFXなど、完成までの異なる段階を切り替えて比較できる構成である。別々のメイキングを並べたものではなく、一つのショットが設計から合成へ進む変化を同じ構図で追えるため、本作が実物造形とデジタル処理をどう分担したかを具体的に確認できる。
2017年の4K UHD+Blu-rayセットでは、4K UHD側の英語音声をドルビーAtmosで収録した。一方、別エンディング、サーリーナのアニマティック、リック・ベイカーの造形、音響効果、ダニー・エルフマンの音楽、五場面の工程比較といった制作特典は同梱Blu-ray側に収めている。本編の映像・音響を更新するディスクと、制作資料を読むディスクを分けた商品構成である。
「リンダ・フィオレンティーノが外れたのは、トミー・リー・ジョーンズが共演を拒否したためだという説。」という話がある。裏づけとなる資料は確認できず、情報不足の噂として見るほかなさそうだ。
ジャック・ニコルソンが恋人だったララ・フリン・ボイルの起用をソニーへ要求した、という説がある。しかし制作側や出演者の発言まで遡れる資料は見つからない。裏取りのない噂として扱うのがよさそうだ。
「世界貿易センターを使った終幕はすでに撮影済みで、9.11後に全面再撮影された。」という説明が広まっている。だが、関連する証言や資料と食い違いがあり、そのまま信じにくい話だ。