主な参考資料
- WIRED
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2022年製作、アレックス・ガーランドが脚本・監督を兼ねたA24作品である。ガーランドは初稿を『サンシャイン 2057』(2007)と『わたしを離さないで』(2010)の間ごろに書き、約15年にわたり改稿してきたといい、#MeTooへの即応として組み立てた企画ではなかった。民間伝承系ホラーの参照点には『ウィッカーマン』(1973)を置きつつ、1980年代のクローネンバーグ作品や『遊星からの物体X』(1982)の実物特殊効果も意識した。ロリー・キニアは9〜10の男性役を演じるため役ごとの略歴を作り、衣裳・ヘアメイクで切り替えたうえで、フレームストアは少年役に顔置換を施し、全CGの顔や巨大セットではなくキニア本人の演技を残す方法を選んだ。The Numbers集計の世界興収は約1,196万ドルであり、同じ顔を何度も出す映画の現場では、別人に見せるための手間まで何度も発生したのである。
アレックス・ガーランドは、教会建築に残るグリーンマンとシーラ・ナ・ギグの図像を映画へ入れる方法を約15年前から考えていた。ガーランドは図像を基に4、5本の脚本を書き、二度は資金調達に至らず、三度目の企画で本作を実現した。
本作は撮影前に2週間の稽古を設けた。ロリー・キニアらが人物ごとの動きや関係を試し、アレックス・ガーランドは稽古で見つかった具体的な振る舞いを脚本へ書き戻したため、俳優の準備と脚本改稿が別工程にならなかった。
ロリー・キニアへ届いた本作の脚本には、ハーパーの夫ジェームズを除く男性役をすべて演じてほしいという依頼が添えられていた。アレックス・ガーランドは特殊メイクの見世物にするのではなく、観客が人物ごとの違いを演技から先に受け取れることを求めた。
ロリー・キニアは、台詞がほとんどない村人を含む各男性について、生い立ち、仕事、家族、日常の癖まで考えた。キニアはその人物履歴を衣装、ヘア、メイクの担当者へ送り、外見と歩き方を同じ人物像から組み立てた。
パブにはロリー・キニアが演じる五人の男性が同じ場面へ現れる。撮影班は代役を置いて視線、立ち位置、移動の時機を先に決め、キニアが人物を替えるたび同じ条件で撮影して、別々の素材を一つの画面へ組み合わせた。
少年サミュエルの体と顔は別々に撮った。VFX班はキニアを車輪付きの低い台へ座らせ、子供の目線の高さで同じ演技を別撮りし、手持ちカメラの揺れが異なる各ショットに顔を合わせた。
グリーンマンの特殊メイクをロリー・キニアへ装着する作業には約7時間半かかった。アレックス・ガーランドは最後の15〜20分ほどの仕上げを自分で手伝い、キニアはそのまま季節外れに冷え込んだ4月の夜間撮影へ入った。
パーパ・エシードゥが足首をひねったのは、走る場面や格闘ではなく、ジェームズとハーパーの別れ話だった。二人がほぼ同じ位置へ立つ感情的に張り詰めた撮影で、エシードゥは緊張が体へ集中した結果だと振り返っており、撮影はいったん止まった。
美術班はハーパーが借りる家を単なるロケ背景ではなく、人物と同じように映画を左右する「配役」と考えた。制作班は季節貸しに使われていた実在住宅から、広い室内、高い天井、奥へ延びる赤い廊下を持つ家を選び、逃げ場にも迷路にも見える空間を確保した。
【ネタバレあり】終盤の出産は実物とCGを半分ずつ組み合わせた。制作班はプリビズ(撮影前に動きを確認する設計映像)で動きを決め、シリコーン製の腹部から俳優や子役が実際に現れる素材を撮り、完全な実写、完全なCG、両者を半分ずつ使うショットをつないだ。
【ネタバレあり】男の腕が刃物で縦に裂かれる場面では、一つの方法だけを使っていない。制作班は動かせる機械仕掛けの手、俳優が装着する特殊メイク、デジタルの血液と傷をショットごとに組み合わせ、腕の動きと傷の深さを保った。
【ネタバレあり】本作の脚本は終盤を当初、英語で「mutations」とだけ記し、何が起きるかを細かく決めていなかった。アレックス・ガーランドは娘と『進撃の巨人』(TVシリーズ、2013–2023)を見て、その曖昧さを怠慢だったと考え直し、肉体が次の肉体を生む連鎖を具体化した。
ハーパーがトンネルで自分の声を反響させる場面は、撮影現場の一場面だけで終わらなかった。作曲家ベン・ソールズベリーとジェフ・バーロウは、ジェシー・バックリーの重なる声を、男性の高音域で歌うカウンターテナーを使った楽曲へつなぎ、声そのものを本作の音楽素材にした。
アレックス・ガーランドは、村の男たちが本当に同じ存在なのか、それともハーパーが全員を同じ顔として見ているのかを決めていない。監督が答えを隠しているのではなく、二つの問いを未解決のまま残すこと自体が本作の設計である。
「村の男性はロリー・キニアが全員演じた」という説明では、少年サミュエルの撮影方法が抜け落ちる。サミュエルの体はザック・ロセラ=オクスリーが演じ、VFX班が子供の目線で別撮りしたキニアの顔を置き換えた。
終盤の連続出産は、全てをコンピューター内で作った映像ではない。制作班はシリコーン製の腹部から俳優や子役が現れる素材を撮り、ショットごとに実写とCGの比率を変えてつないだ。