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2023年公開。前作から監督を引き継いだのは、『キル・リスト』など低予算の癖の強い作品で知られたベン・ウィートリーで、巨大ザメ映画の続編としてはなかなか予測しにくい人事だった。撮影は2022年冬から春にかけてワーナー・ブラザース・スタジオ・リーブスデンとタイで行われ、同スタジオでは屋内外の水槽と4つのサウンドステージを使用し、駐車場まで南国リゾートのアクション場面へ化けさせた。深海場面の大半は実際の海底ではなく、水槽、乾いたセット、ワイヤー、後処理を組み合わせて作られ、約1,700のVFXショットが現実には撮れない海溝世界を支えた。約1億2,900万ドルの制作費に対し世界興収は約3億9,800万ドルに達し、前作には届かなかったもののシリーズを沈没から遠ざける数字は確保した。深海の未知を売る映画でありながら、制作側が最も信用しなかったのは本物の海と天候であり、怪物より先に撮影リスクを水槽へ閉じ込めたのである。
監督は前作のジョン・タートルトーブから、低予算スリラーや異色ホラーで知られるベン・ウィートリーに交代した。巨大ザメ映画の続編に、かなり意外な人選が入った形だ。
英題の副題The Trenchは、スティーヴ・オルテンの小説シリーズ第2作から来ている。前作の単純な続編名ではなく、原作側の“海溝”ネタを前面に出した題名だ。
新キャストとして、中国の大ヒット作で知られるウー・ジンが加わった。前作から続く米中合作色を、続編ではスターの顔ぶれでもかなり前に出している。
前作でスーインを演じたリー・ビンビンは続編に戻っていない。一方で娘役のソフィア・ツァイは続投しており、家族関係だけが少し変則的に引き継がれている。
巨大な海の映画だが、撮影開始地として報じられたのはイギリスのLeavesdenにある大型スタジオだった。海洋パニックでも、土台はかなりスタジオワーク寄りだ。
前作は巨大ザメ1体の脅威が中心だったが、続編では複数の巨大生物が画面を荒らす構成になっている。タイトルが複数形っぽく見える日本語表記も、内容にはだいぶ合っている。
深海を泳ぐだけでなく、装備を着けて海溝を歩く深海歩行の見せ場が入る。サメ映画でありながら、けっこうSFアドベンチャー寄りの絵面まで足しているのだ。
巨大ザメや深海のスケール感には、VFX会社DNEGなどの作業が関わっている。海の中で巨大生物を見せる映画だけに、実写よりも視覚効果の比重がなかなか大きい。
批評面では相当厳しい反応もあったが、世界興行は4億ドル級まで伸びた。巨大ザメ映画としての需要は、評価点とは別のところで妙に強かった。
監督は交代した一方で、脚本には前作にも関わったホーバー兄弟とディーン・ジョーガリスが戻っている。作り手の入れ替えと継続が同時に起きた続編だ。
日本語表記は媒体によって2の有無が揺れて見えることがある。前作と続編を混同しやすい、表記まわりの小さな迷子ネタだ。