キングダム 運命の炎を配信で見られるサービスを、確認できた範囲で掲載しています。未確認のサービスは公式サイトで探せます。
2023年公開。シリーズ第3作では、原作上別の位置にある嬴政の「紫夏編」と趙軍との「馬陽の戦い」を一作へ組み込み、嬴政から王騎、信へ意志が伝わる構成に脚本を再設計した。コロナ禍で日本の主力スタッフが中国へ入れなかったため、佐藤信介監督の絵コンテを一カットずつ日中両ユニットへ振り分け、中国では現地のアクションチームが数百人のエキストラと約100頭の馬を撮影した。日本側は長野県東御市へ高さ約12メートル、長さ約200メートルのグリーンバックを立てて紫夏編の馬上場面を撮り、一つの場面の中で両国の素材を合成した。衣装を両国で同じ仕様に作り、中国側だけで1日約1,000人が動く、遠隔共同作業としては気の遠くなる制作だったが、興行収入は56億円を記録した。中華はまだ統一されていないのに、日中の撮影素材だけは先にVFX上で統一されたのである。
『キングダム 運命の炎』では、続編発表や配役解禁を劇場先行のサプライズとして設計したという。宣伝で出し切らず、映画館で初めて知る驚きを重視した運営方針が採られていたようだ。
馬陽の戦いは当初、中国の大平原での騎馬戦を想定していたが、コロナ禍で日本撮影に切り替わった結果、山を越える徒歩突撃を軸にした構造へ再設計されたという。監督はチームで一点を取りに行く発想の参考にラグビー日本代表を挙げている。
紫夏編の若い嬴政は、子役ではなく吉沢亮本人が演じている。年齢の整合性よりも、現在の嬴政へ感情の重みを直結させる判断が優先されたという。
紫夏と嬴政の関係は、恋愛ではなく母性的な救済として見せることが重視されたという。原作者側も、その線を崩さないよう実写版に明確な注文を出していたようだ。
紫夏の脱出場面では、杏が実際の馬車上アクションに挑み、自宅でも矢を素早くつがえる練習を続けていたという。静かな役柄の裏で、かなり肉体的な準備が積まれていたようだ。
紫夏が嬴政を抱きしめる場面では、現場がおよそ200人の沈黙に包まれ、スタッフが涙するほどだったとされる。完成映像の強さは、演技だけでなく撮影現場の緊張感にも支えられていたようだ。
映画『キングダム 運命の炎』では、仕上げでは、音響設計に通常の3倍の時間がかけられたという。参照先には『トップガン マーヴェリック』と『DUNE/デューン 砂の惑星』が挙げられている。
『キングダム 運命の炎』の戦場は、中国撮影カットと日本撮影カットを細かく縫い合わせて成立しているという。コロナ禍の制約が、逆にハイブリッドな大規模制作を生んだ格好である。
本作が『馬陽の戦い』と『紫夏編』を一つの映画に束ねたのは、制作側が紫夏編をどうしても映画化したかったからだという。独立した一本にもできる原作エピソードを、あえて本編へ織り込む構成が選ばれた。
主題歌『Gold ~また逢う日まで~』は、最初の打診だけで決まったわけではなく、熱い手紙をきっかけに再交渉が動いたという。制作側は本作を“紫夏の物語”“魂の物語”として説明し、楽曲制作につないだようだ。
山﨑賢人が強く心を動かされた紫夏の場面は、実はカット候補だったという。制作側は作品の魂に関わるエピソードとして残すため、かなり強く押し切ったようだ。
王騎の象徴的な笑い方『ココココ』は、特典映像ベースの紹介ではアドリブ的に初披露されたとされる。完成された怪演に見える芝居の一部が、現場の瞬発力から生まれた可能性がある。
龐煖と李牧は、公開時にはシークレットキャストとして伏せられ、のちに吉川晃司と小栗旬であることが正式発表された。観客の初見体験を優先したキャスティング運用だったといえる。
飛信隊の有カクは、原作既存キャラではなく映画オリジナルとして追加された人物である。大規模実写化の中で、隊の厚みを出すための補強要員だった可能性がある。
テレビ放送では、最新作公開に合わせて『運命の炎』と続編要素を中心にした再構築版が組まれている。劇場版そのままではなく、放送用に別の編集思想が加わった派生バージョンとして見てもよさそうである。
2024年の地上波初放送では、本編ノーカットでのオンエアがうたわれた。編集放送が多いテレビ放映の中では、比較的扱いの良い作品だったことが分かる。
本作の海外展開では、英題が複数表記で流通している。国内配信ページでも多言語字幕が確認でき、シリーズの輸出前提の扱いがうかがえる。
『キングダム 運命の炎』は、日本アカデミー賞で撮影と照明の技術部門に評価が及んだ。VFXだけでなく、実写の画作りそのものが高く見られていた作品だといえる。
第2作のエンドロール後映像に含まれていた一部ショットが第3作で確認できないため、続編用に温存された素材ではないかという見方がある。ただし、公式な裏づけは確認できていない。
本作にポストクレジット映像があるかどうかをめぐって、ファンの間では質問や噂が流通している。ただし映画本編や公式発表と結びつく根拠は薄く、観客側の未確認話に近い。