『魔女の宅急便』コリコは一つの街ではない――北欧の二つの街から作った景色
キキが暮らすコリコは、スウェーデンのストックホルムと、ゴトランド島のヴィスビーを大いに参考にした街です。スタジオジブリは、公式Q&Aでこの二つを挙げています。ただし、実在の街をそのまま映画の舞台にした、という説明ではありません。[1]
・街の空からの姿と、パン屋のある街並み
制作に参加した木原浩勝は、取材で背景資料を示しながら、空から見た街の景色はストックホルム、キキの働くパン屋がある街並みはヴィスビーを参考にしたと説明しています。大きな街の姿と、そこで暮らす場所の手触りを、違う街から持ってきていたのです。[2]
公式場面写真でキキの足元を見ると、水際に桟橋があり、そのすぐ内側へ赤い屋根や灰色の屋根が密集しています。空を飛ぶキキの背景として眺めていたものも、街づくりという目で見ると、水辺と建物の配置まで気になってきます。[3]
・ロケハンへ行ったのは、4人のスタッフ
木原によると、スウェーデンへ取材に行ったのは、演出助手の片渕須直と、作画監督の大塚伸治、近藤勝也、近藤喜文の4人でした。宮崎は行き先を決めましたが、この取材には同行していなかったといいます。監督の記憶にあった街を、スタッフが改めて見に行ったのです。[2]
・ヴィスビーの記憶は、実現しなかった企画から
なぜヴィスビーだったのでしょうか。木原は、ジブリ以前に宮崎が『長くつ下のピッピ』のアニメ化を考え、その取材で街を訪ねていたからだと説明しています。その企画は実現しませんでしたが、見た風景は宮崎の記憶に残っていました。[2]
ジブリの公式Q&Aも、多くの作品では様々な土地を部分的に取り入れ、創作した場面もあるため、現地へ行っても全く同じ風景には出会えないと説明しています。コリコを見返すなら、街全体を一つの場所へ当てはめるより、水辺、屋根、通りと、画面の中の要素をたどるほうが楽しめそうです。[1]
・脚注
- abスタジオジブリ公式Q&A:作品の舞台はどこですか。本作は「大いに参考にした場所」の欄。
- abcButa Connection:木原浩勝への取材 第4ページ。フランス語で掲載された参加者の説明と背景資料。日本語で要約。
- スタジオジブリ:『魔女の宅急便』公式作品情報・場面写真。図版の画面観察。