主な参考資料
- Art of VFX
- VFX Voice
ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングルを配信で見られるサービスを、確認できた範囲で掲載しています。未確認のサービスは公式サイトで探せます。
2017年公開。1995年版をそのまま再演せず、盤上ゲームを古いテレビゲームへ変え、現実の高校生とゲーム内の俳優を対にする企画としてジェイク・カスダンが監督した。ロビン・ウィリアムズ版への反発を警戒した制作陣は、リメイクではなく同じ世界の後日談と位置づけ、アラン・パリッシュがゲーム内に残した痕跡も用意した。主要撮影はハワイのクアロア・ランチなどの高温多湿なジャングルで始まり、最後の約6週間はアトランタへ移って学校、町、洞窟などを撮影し、サイやジャガーをCGで加えた。公開時には『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』と競合しながら世界的ヒットとなり、触れてはいけない旧作と見られた企画をシリーズへ変えた。ゲームの残機より先に、ハリウッドがリブートへ許す残機の多さを証明した作品である。
美術班はアレックスの隠れ家を、ハワイに立つ本物のバニヤンを抱き込む樹上セットとして建てた。島で集めた廃材や再利用品を継ぎ足し、整いすぎない階段や生活用品を置くことで、ほかの四人より長くゲーム世界で暮らした時間を表した。アレックスの失敗と工夫の積み重ねが、説明台詞より先に見えてくる場所だ。
終盤の巨大ジャガー像は、頭部や俳優が立つ足場を実物で作り、建てられない大きさの胴体と周囲の環境をVFXで補った。実物部分が俳優との接触や影を作り、デジタル部分が像の規模を広げる。実物セットとVFXをつないだ巨大像なので、足場の感触と見上げる大きさが同じ画面に収まっている。
サイの群れに追われるヘリ場面では、俳優を実物大のキャビンへ乗せ、高所のジンバル(機体を傾けて揺らす装置)で動かした。俳優の重心や衣服、荷物が同じ力へ反応する映像を先に撮り、機体外部、谷、サイの群れをVFXで加えている。空中の実物キャビンから始めたからこそ、ジャック・ブラックやケヴィン・ハートの慌て方まで一つの揺れにつながった。
制作側は、ヒッポの濡れた皮膚、サイの群れ、ジャガーの動き、ジャングルの地形、俳優のデジタル・ダブルを、複数のVFX会社へ分けて任せた。課題ごとに必要な技術が違うため、各社の得意分野に合わせて分担し、共通の撮影素材と色設計で一つの世界へまとめたのである。会社が替わっても、画面の光や動物の重さが別物に見えないよう調整された。
屋外のジャングルは主にオアフ島のワイメア、ノースショア、クアロアなどで撮り、学校、市街、市場、トンネルといった場面はアトランタ周辺やセットで補った。自然の地形と湿度が必要な場面、照明やスタントを正確に繰り返す場面を撮り分け、最後の約6週間はアトランタで進めたという。ハワイとアトランタを一続きのゲーム世界にした撮影である。
ルビー・ラウンドハウスの露出が多い衣装は、1990年代のゲームに多かった女性アバターの記号を意識して選ばれた。男性アバターが道具や体格で能力を示す一方、ルビーだけはジャングルに向かない服を着せられている。現代の少女マーサがその不合理さへ戸惑うことで、古いゲームの女性キャラクター像そのものを笑いの対象にした。
ルビーのダンス・ファイティングは、カポエイラを核に複数の格闘技とダンスを組み合わせて作られた。カレン・ギランはスタント班と回転や蹴りを分解して練習し、音楽のフレーズへ動きを合わせたという。敵役の受け身とカメラ移動まで同じ拍へ入るため、格闘をミュージカルのように見せる必殺技になった。
ジャック・ブラックは十代のベサニーを演じるため、現実世界側のマディソン・アイズマンに音楽やテレビの好みを尋ねた。少女の外見的な物まねだけで笑いを作らず、本人から世代の感覚や自己意識を集めたのである。オベロンの大きな身体になっても教室にいたベサニーが続いて見えるのは、二人で一人の人物を組み立てたからだ。
アレックスの樹上拠点には、前作『ジュマンジ』(1995)でアラン・パリッシュが暮らした痕跡が残されている。寺院の動物像や手掛かりにも、旧ゲーム盤の木製の駒を思わせる形が組み込まれた。前作の記憶をゲーム世界の建築へ溶け込ませたため、一瞬のファンサービスではなく、現在のプレイヤーより前にも攻略者がいた歴史として見えてくる。
本作のジュマンジは、1990年代の高校生が手に取りやすいビデオゲームのカートリッジへ姿を変えた。アバター、残機、能力値という新しい規則を備える一方、韻を踏む警告、動物の記号、中央へ向かう地形には『ジュマンジ』(1995)の盤面を思わせる要素が残る。世界全体が旧ゲーム盤の構造を記憶しているようにも見える仕掛けだ。
シープレーン役は当初トム・ホランドに決まり、日程の都合でニック・ジョナスへ交代したという話がある。だが、当時の配役記事、制作側の説明、二人の証言のどれにも、その交代をたどれる記録が見つかっていない。日程による交代はありえる話だが、この二人の間で起きたとはまだ言い切れない。
ルビー役には先にシャイリーン・ウッドリーが決まり、ドラマ『ビッグ・リトル・ライズ』との日程衝突でカレン・ギランへ交代したという話がある。ただし、最初の配役や降板を伝える同時代の記事、制作側の説明まではたどれない。そんな経緯があったのなら面白いが、現在の配役から逆算して作られた話かもしれない。
終盤のジャガー像は、頭部が40フィート、実物で作った部分が120フィートあったという。実物とVFXを組み合わせたこと自体は制作資料から分かるが、40フィートと120フィートという寸法を裏づける図面や美術スタッフの証言は見当たらない。かなり大きなセットだったのは確かでも、数字まで正確だったかは別に考えた方がよさそうだ。
ブレイブストーンが突然カメラを意識するような決め顔は、ドウェイン・ジョンソンがジェイク・カスダン監督へ送った「スモルダー」という提案から生まれたという。名前だけでなく、言葉を能力のように繰り返すギャグまで一緒に考えたという話だが、元のメッセージや監督の取材はそろっていない。本人らしい案ではあるものの、誕生の経緯までは確定できない。