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『湯を沸かすほどの熱い愛』の銭湯は、ひとつのセットではない。外観には栃木県足利市の花乃湯、浴室と脱衣所には東京都文京区の月の湯が使われた。湯気の向こうに残る木の質感まで、実在する場所が支えている。
参考情報:公式資料(日)
月の湯は2015年5月末で営業を終え、解体予定が決まっていた。撮影はその直後の6月に入り、7月には建物がなくなったという。映画に残った最後の月の湯は、美術で作った懐かしさではなく、消える直前の本物だった。
参考情報:公式資料(日)
中野量太監督が求めたのは、ただ古い建物ではなかった。番台と富士山の壁画がそろう、昔ながらの銭湯である。生活感のある場所を探したからこそ、家族の居場所が最初から画面の中心に立つ。
参考情報:公式資料(日)
『湯を沸かすほどの熱い愛』は、中野量太の商業映画デビュー作であり、脚本も本人のオリジナルだった。銭湯という日本的な場所を入口にしながら、家族が立て直るまでをまっすぐ追う。最初の長編から、監督自身が描きたかった温度がはっきりある。
参考情報:公式資料(日)
母・双葉役には宮沢りえが選ばれた。中野量太監督は、母であることと、死を前にした人物の感情を理解できる人を求めていたという。宮沢りえの双葉が強さだけで終わらないのは、その条件から役を見つめたからかもしれない。
参考情報:公開資料(日)
第40回日本アカデミー賞では、宮沢りえが最優秀主演女優賞、杉咲花が最優秀助演女優賞を受賞した。一本の家族映画から、母と娘を演じた二人が同じ年の最優秀女優賞へ届いたことになる。作品賞、監督賞、脚本賞でも優秀賞に選ばれた。
参考情報:公開資料(日)