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1995年公開。2026年時点でイオン・プロダクション製作の007シリーズ全25作中第17作であり、ピアース・ブロスナン版ボンドの第1作である。前作から6年の空白が生じた背景にはMGM側と権利元の法的紛争があり、その間にティモシー・ダルトンは降板、製作の主導もアルバート・R・ブロッコリからバーバラ・ブロッコリとマイケル・G・ウィルソンへ移った。パインウッドが埋まっていたため、制作陣は旧ロールス・ロイス工場を改装してリーヴスデンの撮影拠点を作り、ここが後の大規模スタジオへ発展していく。製作費約6,000万ドルに対し世界興収は約3億5,600万ドルで、シリーズ再生には成功した。映画史に残ったのはボンドの復活だけではなく、空き工場を丸ごと撮影所へ変えた現場の執念もだったようだ。
前作から約6年空いた『007/ゴールデンアイ』は、冷戦後の時代に合わせてブロスナン版ボンドと女性Mを導入した作品だ。旧来のスパイ像への疑問まで物語に取り込み、シリーズ再起動の一本として語られている。
サンクトペテルブルクの戦車チェイスでは、T-55戦車に道路を傷つけにくい履帯を履かせ、飲料水トラックの衝突用に約9万本のペリエ缶を空にしたとされる。巨大アクションの裏側は、かなり地道な準備で支えられていた。
オープニングでボンドがダムから飛び降りる場面は、ウェイン・ミシェルズがスイスのダムから実際に約220m級のバンジージャンプを行った撮影だ。映画内の固定構造物からのバンジーとしてギネス記録に登録されている。
本作ではシリーズ初期のCG表現も使われた一方で、クライマックスの巨大電波望遠鏡や衛星は熟練スタッフによるミニチュア撮影で作られたとされる。デレク・メディングスにとって、ボンド映画での最後の大仕事にもなった。
『007/ゴールデンアイ』は、各国のレーティングに合わせて暴力表現が細かく調整された作品でもある。頭突きや銃撃、ゼニア関連の場面などが秒単位で短くされた版があり、後年の映像ソフトで扱いが変わっている。
劇場版では唐突にゲートが開くダム潜入だが、元々はボンドがガードハウスに忍び込み水門の操作盤と電話線を破壊する流れが撮影されていたとされる。テンポ重視の編集で、説明の一部が大胆に削られたのだ。
ピアース・ブロスナンは1980年代にもボンド役に近づいていたが、テレビドラマ『Remington Steele』側の事情で一度逃している。『007/ゴールデンアイ』での起用は、約10年越しの再挑戦でもあった。
サンクトペテルブルクのタンクチェイスに流れる勇ましいブラス曲は、エリック・セラ版から差し替えられた音楽だ。公開直前に呼ばれたジョン・オルトマンがわずか4日間で書き直したとされ、サントラには不採用版が別曲として残っている。
主題歌「ゴールデンアイ」はU2のボノとジ・エッジが書き、ティナ・ターナーが歌ったボンド曲だが、ターナーは最初に届いたデモをひどいデモだったと振り返っている。手紙とスタジオでの作り込みを経て、あの迫力ある主題歌になった。
カジノでボンドとオナトップがバカラを打つ場面では、映る手札が「007」と「006」を示す配置だという見方がある。公式設定として確認できる話ではないが、ライバル関係を数字で読ませる画面内小ネタとして語られている。
オープニングタイトルに現れる二つの顔を持つ女性のイメージは、ヤヌスやトレヴェルヤンの二重性を示す伏線だと解釈されることがある。映像から読める考察ではあるが、制作側が明言した裏付けは弱い。
ボンドのアストンマーティンとオナトップのフェラーリが山道で競う場面では、路肩のサイクリストが巻き込まれて転倒する。このサイクリストの一人はマーティン・キャンベル監督本人だとされるが、確認できる出典は強くない。
NINTENDO64版『ゴールデンアイ 007』の対戦モードでは、低身長のオッドジョブが攻撃を当てにくいチート級キャラとして有名だ。開発陣はテスト段階で問題を把握していたが、友人同士の遊びとして面白いと判断して残したと語られている。
NINTENDO64版『ゴールデンアイ 007』の名物マルチプレイは、最初から大きな売りとして計画された機能ではなかった。開発者が終盤に管理側へ大きく知らせないまま作り込み、完成近くまでRareや任天堂側も詳しく把握していなかったと語られている。
伝統のピンウッドが埋まっていたため、『007/ゴールデンアイ』の制作陣は旧ロールス・ロイス工場を撮影施設として使った。この判断が、後のワーナー・ブラザース・スタジオ・リーブスデンの映画スタジオ化につながっている。
ジュディ・デンチ版Mは、実在のMI5初の女性長官ステラ・リミントンの登場から着想を得たとされる。ボンドの上司はMI6側の人物だが、男性中心だった情報機関の変化を物語に取り込んだキャラクターになっている。
アレック・トレヴェルヤンは、初期案ではボンドより年上の指導者的な人物だったとされる。ショーン・ビーンの存在感に合わせて、物語上のボンドと同世代の鏡像のようなライバルへ組み直された。
ゼニア・オナトップ役のファムケ・ヤンセンは、ブロスナンとの格闘シーンで肋骨を痛めたと後年語っている。誇張された悪女アクションに見える場面の裏で、かなり身体を張った撮影が行われていた。
タイトルの「ゴールデンアイ」は、イアン・フレミングがボンド小説を書いたジャマイカの邸宅名としても知られる。冷戦後の新作でありながら、名前の時点でボンド誕生の場所へつながっている。
ボンドカーとして登場したBMW Z3は、劇中での活躍時間こそ短いが、公開前後のプロモーションで大きな注目を集めた。『007/ゴールデンアイ』は、映画と自動車販売を結びつけたプロダクトプレイスメントの代表例としても語られる。
作中のタイガーヘリは実在のEurocopter Tigerをもとにしているが、劇中のような盗まれる最新ステルスヘリという扱いは映画的な脚色が大きい。実機の情報と映画内設定をそのまま同一視するのは避けたい小ネタだ。