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2016年公開、原題『Gods of Egypt』。アレックス・プロヤスが古代神話を歴史劇ではなく巨大な幻想世界として設計し、約1億4,000万ドルを投じてシドニーのフォックス・スタジオを中心に撮影した。神々を人間の1.5倍の大きさで見せるため、異なる縮尺のセット、視線調整、合成を全編で重ね、世界13社が2,500以上のVFXショットを分担した。ところが主要なエジプト神を白人俳優中心で配したことへ批判が集中し、公開前にライオンズゲートとプロヤスが多様性を欠いた配役だったと謝罪した。世界興収は製作費をわずかに上回る程度で大幅な損失となり、神々の身長差は処理できても、制作会議と現実世界の距離までは合成で埋められなかったのである。
巨大な神々を後から合成しても細部が崩れないよう、撮影陣はRED Dragon 6Kへ70mm用Primoレンズを組み合わせた。撮影監督によれば、この組み合わせは長編で初めての試みだった。神の大きさを支えた撮影の情報量が、VFXの土台になっている。
神と人間が会話する場面では、距離をずらす強制遠近法と、同じカメラ移動を繰り返す撮影を組み合わせた。大きさの違う俳優を別々に撮ってから、ひとつの空間へ戻している。自然な会話ほど複雑な合成という仕掛けだ。
強制遠近法では、神役と人間役を前後に離すため、普通に撮るとどちらかがぼやける。撮影陣は焦点の異なる素材を重ね、離れた二人の顔を同時に読める画面へ整えた。大きさより、表情を見せることが難題だったらしい。
撮影陣が目指したのは、現実の古代エジプトを復元することではなかった。神々の金属的な身体や巨大建築が同居できる、意図的に作られた世界を選んだという。考古学より宇宙的ファンタジーとして見ると、画面の派手さに筋が通る。
古代エジプトを題材にしながら主要役が白人中心だったことへ批判が集まり、アレックス・プロヤスとLionsgateは公開前に謝罪した。神話を自由に組み替える話と、誰へ役が渡るかは別の問題だ。画面の外で問われた代表性も、この映画の制作史に残っている。
古代エジプトの心臓の計量は、心臓をマアトの羽根と比べる倫理の審判だった。映画はその図像を借りながら、富と救済をめぐる冒険のルールへ置き換えた。神話の審判を宝探しの動機へ変える発想が、脚本のクセをよく表している。
ウジャト眼は、傷ついたホルスの眼が回復する神話を表す護符だ。映画では両眼を奪うことで、力を取り戻すための探索物に変えた。治癒と再生の象徴を冒険の鍵へ変換したわけで、目の金色にも役目がある。
本作のスタッフ約300人が『マッドマックス 怒りのデス・ロード』と重なった、という数字が流通している。豪州映画界の大作どうしならありそうな話だが、重複人数を示す制作記録までは確認できない。数字だけが先走った可能性がある。