『攻殻機動隊2.0』は、音を作り直す話から始まった
『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0』というと、CGを交えた新しい映像や、画面の色の変化がまず目に入ります。ところが押井守監督が明かした制作の出発点は、映像ではなく、音の作り直しでした。[1]
1995年の映画を2008年にもう一度劇場へ戻す。その話は、別の新作の音響作業からつながっていたのです。
・『スカイ・クロラ』の仕事から生まれた話
押井は『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』の制作で、アメリカのスカイウォーカー・サウンドを訪れていました。そこで音響スタッフに『攻殻機動隊』の音を作り直したいと持ちかけ、同意を得たことが『2.0』のきっかけになったと語っています。[1]
公開時の舞台挨拶を伝えたアニメ!アニメ!の記事でも、ランディ・トムやトム・マイヤーズとの音の話が、再制作へ発展した経緯が紹介されています。[2] 先に新しい映像を並べ、それに音を付け直すと決めたのではなかったわけです。
・古い音を、ただ大きくしたのではない
『2.0』では、台詞の再録音を含めて音響が組み直されました。[1] 元の映画の音量を上げるだけなら、人物の声や音の配置まで再検討する必要はありません。音から出発した企画だったことを知ると、映像の変更と同じくらい、聞こえ方の変化にも注意を向けたくなります。
同じ人物が同じ場所で話していても、声の響きや周囲の音が変われば、その空間との距離感は変わります。見覚えのある場面ほど、耳で受け取る印象を比べやすいところです。
・もう一度、大きな画面で見てもらう
押井は、元の映画を劇場で見ていない人が多いことにも触れています。また、『ブレードランナー ファイナル・カット』から受けた刺激も語りました。[1]
昔の映画を手直しすることと、その映画を再び劇場で見られるようにすること。『2.0』では、その二つが重なっています。映像の新旧だけでなく、劇場の音で都市や人物をどう感じ直すか。音響から始まった経緯は、この版を見るためのもう一つの入口になります。