主な参考資料
- AFI
- The Academy
- PBS
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1996年公開。本作でロブ・コーエン監督は、シルヴェスター・スタローンをランボーのような無敵の英雄にせず、危険なら恐怖を見せ、救助のたびに消耗する人物として撮る方針を主演本人と事前に詰めた。ニューヨークの水底トンネルを実際に破壊するわけにはいかないため、製作陣はローマのチネチッタに約500メートルのトンネルを再現し、ガス噴出口、油圧で動くコンクリート板、水中で車両を動かすレール、セットを浸水させる16基の水槽まで組み込んだ。出演候補には、何週間も水、火、煙の中で演じ、原則として代役に頼れない現場だと先に説明され、実際に辞退者も出たという。2,000匹を訓練したネズミの場面では、撮影に使った200匹または500匹を毎回数え直し、外の下水ネズミと接触して病気を持ち帰らないことを確認するまで次の撮影へ進めなかった。製作費は8,000万ドルとされ、北米興収は約3,300万ドル、世界興収は約1億5,900万ドルで、興行の約8割を海外市場が支えた。地下の生存者を救う映画の裏で、撮影所、スター像、2,000匹のネズミまで管理対象にしたのだから、最も切迫していたのは水位より制作工程だったのかもしれない。
ロブ・コーエンは、スタローン演じるキットを「ランボー」ではなく、合意を作る救命者として設計した。危険な場面では恐怖を見せ、命令で従わせるのではなく、周囲をまとめる。その方向で主演と意見が一致したという。
コーエンは撮影前、強情な監督と強情なスターでは一日ももたないと何人にも警告されたという。しかし実際にはスタローンと口論も意見衝突もなかったと振り返り、作品は予定と予算の範囲内で完成したと説明している。
【ネタバレあり】終盤の岩盤室で階段が崩れる場面は、仕掛けの準備が極端に複雑だった。コーエンによれば、二つのショットの間に最大8時間を要し、一日に一度しか撮れないカットもあった。
コーエンは過去にホテル火災で死にかけ、本作直前には自宅も火災に遭っていた。彼が爆発場面で目指したのは、狭いトンネルを獲物を食う動物のように進む炎である。
コーエンは最終候補にトンネル模型を見せ、何週も水に入り、炎と煙、2,000匹のネズミ、潜水へ向き合う条件を説明した。原則として代役を使わないことも、配役前に告げたという。
コーエンが公開当時に挙げた唯一の負傷は、送風機場面の準備中に起きた。スタント担当者が羽根へ頭をぶつけ、病院で4針縫った後、その日の午後に復帰したという。
マデリーンは当初ブルックリンの地方検事だったが、改稿で失敗した劇作家へ変わった。コーエンは撮影中の『ヒート』のデイリーを借りてスタローンへ見せ、エイミー・ブレネマン起用の了承を得た。
ハドソン川の下に見える道路トンネルの大部分は、ローマのチネチッタに造られたセットである。コーエンによれば全長は3分の1マイルで、水、煙、炎を繰り返し使う撮影空間だった。
スタローンは当初、一か所の撮影なら簡単だろうと考えていた。しかし数か月にわたる火と煙の撮影で恐怖を感じ、終盤には閉所恐怖が強まってトンネルへ叫んだと話している。
「本作が最後のアクション映画になる」と報じられたが、スタローン本人は大げさに言いすぎたと訂正した。アクション引退ではなく、大作と人間ドラマを交互に選びたいという意味だった。
【ネタバレあり】当初のキットは、生存者を救った末に死ぬ構想だった。スタローンによれば死亡する結末は実際に撮影されたが、スタジオが完成版への採用を認めなかった。
セイジ・スタローンは本作で父と共演した。半年に及ぶイタリア滞在でも父とは別のアパートに住み、自分の生活を保ったことが、逆に二人を近づけたとスタローンは振り返っている。
ヴィゴ・モーテンセンは本作と『ある貴婦人の肖像』を同時期に撮影し、数日単位でイタリア国内の二つの現場を往復した。巨大アクション映画と繊細な時代劇を交互に演じる、不安定だが恵まれた状況だと本人は語った。
【ネタバレあり】地下礼拝堂はザルツブルクの岩塩坑礼拝堂から着想され、暗闇を進むネズミが出口を示す。コーエンはそこへ「スター一人ではなく、共同体が自らを救う」という主題を込めた。
【ネタバレあり】礼拝堂場面には実験室育ちのネズミ2,000匹が用意され、8週間かけて十字架の裏の巣へ戻る経路を訓練した。撮影後は全数を数え、セットも脱走防止構造にした。
【ネタバレあり】犬のクーパーが水へ入り、いったん行方不明になった後で生還する流れは、複数カットに分けて撮られた。火や煙の近くに犬は置かれず、洪水用に16基の水槽が設けられたと監視記録にある。
炎の壁は、実写火炎、ミニチュア、デジタル合成の混成だった。ILMはステージで撮った火炎素材を実物大背景へ重ね、ミニチュアとデジタル合成を同じ場面で組み合わせた。Illusion Artsはデジタル・マット画を担当した。
大規模な炎や洪水が目立つ作品だが、第69回アカデミー賞で候補になったのは視覚効果ではなく音響効果編集だった。候補者はリチャード・L・アンダーソンとデヴィッド・A・ウィテカーである。
The Numbersは製作費を8,000万ドル、世界興収を1億5,890万8,290ドルと集計し、Box Office Mojoの世界興収は1億5,921万2,469ドルである。両方の集計で売上の約8割は北米外から入った。
「スタローンは閉所恐怖症を克服するため出演した」という説がある。しかし本人は、一か所なので簡単だと思って参加し、撮影中に閉所恐怖が強まったと説明している。流通説は時系列が逆である。
「コーエンはニコラス・ケイジを望んだが、ユニバーサルが退けた」という説がある。しかし監督・ケイジ本人・スタジオ側の同時代資料を確認できない。公開当時の詳細な監督取材にも、この経緯は出てこない。
「スタローンが自己資金2,800万ドルを出した」という説がある。しかし製作会社情報、正式クレジット、公開当時の取材を照合しても、個人出資を示す契約・会計資料・本人発言は確認できない。
【ネタバレあり】「終盤の爆破は1906年の事故で3人死亡・1人生存した実話に基づく」という説がある。しかし公的なトンネル史では、1906年事故は死者2人、Holland Tunnelの大事故は1924年で死者1人。人数も年も一致しない。