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2010年製作。原題『ICE』は、ジェームズ・フォレットが1978年に発表した小説をもとに、英国のPowerとニュージーランドのScreentimeが共同製作した全2部のテレビミニシリーズである。ニック・コパス監督のもと、リチャード・ロクスバーグ、フランシス・オコナー、サム・ニールら多国籍の俳優を集め、撮影の多くをニュージーランドで行いながらロンドンを襲う寒冷化災害へ作り替えた。英国・ニュージーランドの正式な合作認定を得たことで両国の制度を利用でき、当時新しかったニュージーランドの製作奨励策も、テレビ映画としては大規模なVFXとロケ撮影を支えた。世界規模の氷河期を起こす前に二国間の共同製作書類を整える必要があったわけで、地球は急速に凍っても映画の資金調達だけは段階を踏むのである。
『デイアフター2020』は、もともと約90分の単発映画ではない。全2話のTVミニシリーズとして作られ、日本の資料では合計188分、海外商品では約184分と記録される。一方、各話約92分の表示や単体長編版も流通し、同じ題名で上映時間が倍違うため、場面や人物の有無を語る前に版を確認しなければならない。完全な物語は、氷河の異変と英国の避難を二部に分けて追う構成である。
日本では2010年作、海外DBでは2011年シリーズと表示されるが、同名の別作品ではない。BSテレ東とApple TVの著作権表記は2010年を採り、IMDbは2011年の国際放送を基準にしている。製作・著作権年と初放送年のずれが二つの年を生んだのである。作品DBでは2010/2011を併記し、2011年だけで別の『Ice』を探さないようIMDb IDまで固定するのが安全である。
本作は、英国の物語をニュージーランドで安価に代替撮影しただけの作品ではない。New Zealand Film Commissionの公的記録では、Ice Features Ltdと英国のPure Films Ltdによる正式なNZ/UK共同製作として認定されている。ロケ地だけでなく資金と権利の段階から二国合作だったのである。英国の俳優、豪州・ニュージーランドの俳優と技術者が混ざるキャスト・スタッフ構成も、この制度的な組合せから見えてくる。
本作に長尺版と短縮版があることは、商品側の編集だけでは説明できない。New Zealand Film Commissionは同じ『Ice』をTV版とFilm版の二枠で記録し、どちらもNZ/UK共同製作、ニュージーランド比率73.18%として扱っている。総支出もTV版約1229万NZドル、長編版約927万NZドルの別額で掲載される。二つの版を制度上も別の完成形として管理していたのである。
作品が2010年または2011年と表示される一方、撮影はさらに早く始まっていた。カメラ班スタッフの職歴資料には2009年10月から12月の仕事として『Ice』が記され、IMDbは主要ロケ地をAucklandとしている。三つの年をまたぐ製作と公開だったのである。グリーンランド基地と凍結する英国を、南半球が春から夏へ向かう時期のニュージーランドで作ったことになり、雪と寒気は美術・効果の仕事として見直せる。
「原作ジェームズ・フォレット」とあっても、映画は小説の災害をそのまま映像化していない。原作は南極から分離したベルギー級の巨大氷山が海中を北上し、ニューヨークを脅かす物語だった。映像版はグリーンランドの企業掘削、急速な全球寒冷化、英国で離散する家族へ大胆に置き換える。題名と氷だけを残した全面的な再構成であり、氷塊の衝突劇を気候・企業サスペンスへ変えたのである。
『Ice』の最初の劇化は、氷河崩壊を見せる映画やテレビではなかった。1978年の小説は、1986年にBBC Radio 4のSaturday Night Theatreで約88分のラジオドラマとなり、その後さらに約四半世紀を経てTVミニシリーズへ移った。巨大氷山をまず音だけで作った物語なのである。映像版が原作筋を大きく変えた背景を探るには、映画化前のラジオ脚色が何を残したかを比べる必要がある。
本作の顔ぶれは、前半と後半で主役を入れ替えるアンソロジー型ではない。リチャード・ロクスバーグ、フランシス・オコナー、クレア・フォーラニ、ベン・クロス、サイモン・キャロウ、スティーヴン・モイヤー、サム・ニールらが二話を通して関わる。科学・家族・企業・政府を同じ時間線で走らせる国際群像として、約3時間の尺を使ったのである。短縮版では誰の判断過程が削られたかが見どころになる。
本作のカメラ班には、通常の撮影助手だけでなくRED camera supervisor、Aカメラ兼Steadicam、第二班撮影監督が記録されている。撮影時期は2009年で、デジタルシネマ機がTV大作へ急速に広がっていた時期である。本隊と第二班をデジタル素材で接続し、人物芝居、都市の混乱、効果用プレートを並行して集めた可能性がある。機種と収録形式を確定できれば、VFXの作り方まで追える。
原題は簡潔な『Ice』で、「デイアフター2020」も「首都大凍結」も日本側で加えられた題である。2020は劇中の近未来設定を一目で伝える数字だったが、現在では物語の未来が現実の過去になった。年号を宣伝文句にしたため題名そのものが時代経過を記録しているのである。また題の響きはよく似ていても、『デイ・アフター・トゥモロー』の実際の公式な続編や同シリーズではない。
極地基地にあるNational Science Stationの看板は、『遊星からの物体X』への意図的なオマージュだという説がある。見た目の類似は確かめられるが、監督・美術・脚本側の証言は見つかっていない。似た看板から広がったオマージュ説として見るのがよさそうだ。
撮影はすべてオークランドだけで行われた、という話がある。IMDbは同地を主要ロケ地に挙げるが、第二班や追加撮影、素材撮影まで含めた範囲は分からない。全編オークランド撮影説は断定できない。
原作小説をほぼ忠実に映像化した、という説明は当てはまらない。原作は南極の巨大氷山とニューヨークを描くが、映像版はグリーンランド掘削と英国の寒冷化へ大きく組み替えている。原作忠実化説ははっきり誤りだ。