主な参考資料
- National Film and Sound Archive of Australia
- Los Angeles Times
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1988年公開。2026年時点で全3作あるシリーズの第2作であり、前作で共同脚本・製作を担ったジョン・コーネルが監督へ回った。前作の予想外の世界的成功を受け、製作費は約1,400万ドルへ増え、パラマウント配給のもと北米では当時記録的な2,837館規模で公開された。世界興収は約2億4,000万ドルと十分な成功を収めた一方、批評面では前作の新鮮さが薄れたと厳しく評された。小さな豪州映画だった前作は、わずか2年で巨大スタジオが扱う世界商品になったが、予算は増やせても偶然の魅力までは発注できなかったようだ。
前作の旅程を逆向きにした。前作がオーストラリアからニューヨークへ進んだのに対し、続編はニューヨークで始まり、危機をオーストラリアへ持ち帰る。同じ二つの土地を反転させ、都会では異邦人だったミックを後半では地形を支配する側へ戻した。
前作の製作者が監督へ回った。前作を製作・共同執筆したジョン・コーネルが、続編では監督も兼ねた。彼はテレビ時代からポール・ホーガンと組んだ長年の共同制作者だった。スターの持ち味を最もよく知る人物が、シリーズの演出を引き継いだ。
脚本はポール・ホーガン親子が書いた。続編の脚本クレジットはポール・ホーガンと息子ブレット・ホーガンである。前作の共同脚本家ジョン・コーネルは監督・製作へ比重を移した。家族による執筆と長年の仕事仲間による演出という小さな中核で大作続編を作った。
企画段階の仮題は『アイアンバーク』だった。1987年8月の製作開始記事は、本作を仮題『アイアンバーク』として記録し、オーストラリアとニューヨークで撮ると報じた。完成題になる前の企画名が、奥地の硬い樹木を思わせる豪州的な響きを持っていた。
前半を都会の犯罪劇へ寄せた。続編は恋愛冒険喜劇だった前作より、誘拐と麻薬組織を置いたアクション喜劇へ比重を移した。後半でミックの罠と地形知識が武器になる。ジャンルの重心を変えながら、人物の魅力を都会と奥地で別々に試している。
豪州側はカカドゥを含む奥地で撮った。製作記録はオーストラリアとニューヨークの二地域撮影を示し、奥地場面にはカカドゥ国立公園周辺が使われた。ミックが敵を迷わせる地形は、スタジオ背景ではなく実在景観の広がりに支えられている。
録音にはナグラIV.2が使われた。豪州国立フィルム&サウンドアーカイブは、録音技師ゲイリー・ウィルキンズが前作と続編で使ったナグラIV.2携帯録音機を保存している。風や水音の多い屋外撮影を支えた具体的な現場機材が現存する。
ジョン・メイロンの最後の映画出演になった。ウォルター役のジョン・メイロンにとって本作は最後の映画出演となり、翌1989年に亡くなった。シリーズの軽妙さを支えたベテラン俳優の最後のスクリーン仕事として見直せる。
メイロンの抑えた演技がホーガンを支えた。豪州国立フィルム&サウンドアーカイブは、映画経験の浅かったホーガンに対し、メイロンの最小限の映画演技と人物造形が両作の土台を与えたと評している。二人の掛け合いが自然に見える理由を、経験差を生かした演技設計として捉えられる。
水辺のワニはミックの仕掛けだった。終盤でウォルターがワニに襲われたように見える場面は、ミックが砂に残した合図と仕掛けで敵を誘導する罠である。怪物の襲撃に見せながら、土地を読む仲間同士の連携がオチを作る。
冒頭のダイナマイト漁で都会とのずれを一発で示した。ミックはニューヨーク港で釣り竿ではなく爆薬を使い、都会へ移っても奥地の尺度で行動する人物だと示される。説明台詞を重ねず、前作後の生活と危ういユーモアを一場面で再導入した。
自殺を止める場面にはホーガンの実体験が影を落とした。ポール・ホーガンは回想録で、シドニー・ハーバー・ブリッジ作業員時代に飛び降りる人々を見た経験が、屋上で男性を救う場面の発想源になったと述べた。陽気な都会喜劇の途中にある異質な場面が、作者の労働経験と結び付く。屋上の自殺未遂救助は、この証言を作品の画面から検討するための具体的な手掛かりになる。
地下鉄では使われていない外側線路を借りたという。地下鉄場面はホイト=スカーマーホーン駅の通常営業に使われない外側線路で撮影されたと伝わる。ニューヨークの実在交通施設を止めずに格闘を成立させたロケの工夫として面白い。この説を手掛かりに地下鉄車内とホームを見返すと、画面上の細部と証言がどこまで対応するかを検討できる。
若い俳優たちの映画初期作が集まった。公園の少女役タチアナ・アリ、脇役のスティーヴン・ルート、スージー・エスマンにとって、本作は映画初出演またはごく初期の仕事とされる。後年テレビや映画で知られる俳優が、ミックのニューヨーク生活の背景に短く現れる。確定した制作記録ではないため、公園、街頭、脇役場面と照らし合わせながら読むべき逸話である。
予告編は『すべてを増量』と売り込んだ。米国版予告は、楽しさ、恋愛、興奮のすべてが前作より多いと明言して続編を宣伝した。前作の型を反転しつつ規模を上げるという製作側の売り方がそのまま残っている。