リメンバー・ミーを配信で見られるサービスを、確認できた範囲で掲載しています。未確認のサービスは公式サイトで探せます。
2017年公開。ピクサー長編第19作であり、リー・アンクリッチら制作陣は約3年にわたってメキシコ各地を訪れ、家庭、墓地、市場、工房などを取材しながら文化コンサルタントの意見を制作へ反映した。だが企画初期の2013年、ディズニーが仮題に使っていた「Día de los Muertos」の商標登録を申請し、文化の私物化だとの反発を受けて撤回する騒ぎも起きている。その後はラテン系キャストを中心に据え、文化的な正確さを慎重に積み上げた。製作費約1億7,500万ドルに対し世界興収は約8億1,500万ドルに達したが、敬意ある作品へたどり着く前に、企業側はずいぶん分かりやすい地雷を踏んでいたのである。
ディズニーはかつて「Día de los Muertos」の商標登録を申請して批判を受け、後に取り下げた。その後『リメンバー・ミー』には、ラロ・アルカラスら文化コンサルタントが参加し、表現の見直しが進められた。
制作チームは死者の日や家族文化、街並みを理解するため、メキシコ各地を調査した。色鮮やかな画面は、観光記号だけでなく現地取材で集めた生活感から組み立てられている。
骸骨のキャラクターは筋肉や肉がないため、通常の人間キャラクターとは動かし方が違う。感情を出すために、制作側は骨で演技する難しさと向き合う必要があった。
犬のダンテは、本編公開前の短編「Dante’s Lunch」で動きや魅力が試された。メキシコ原産犬ショロイツクインツリをもとに、舌を出した独特の愛嬌までキャラクター化されている。
死者の国は、家族の記憶が積み重なる巨大都市として設計されている。小さな少年の冒険に見えて、背景には世代が重なる都市構造が広がっているのだ。
原題は『Coco』だが、日本公開題は主題歌の印象を前面に出す『リメンバー・ミー』になった。作品名そのものから、歌の記憶を入口にする売り方へ変わっている。
『リメンバー・ミー』は、メキシコ文化を扱う作品として声のキャスティングにもかなり意識が向けられた。物語の舞台だけでなく、声の面でも文化的な手触りを寄せようとした作品だ。
ママ・ココには実在の女性がモデルだという説が流通しているが、ピクサー側が公式に特定人物をモデルとして認めた話とは分ける必要がある。現地で語られる話として面白いが、公式モデル断定には慎重でいたい。
『リメンバー・ミー』は、メキシコ文化の取材だけでなく、『千と千尋の神隠し』や『ハウルの動く城』などからの影響も挙げられている。死者の国の不思議さには、異世界を歩く冒険映画の系譜も混ざっている。
制作資料では、『リメンバー・ミー』の影響元としてアニメだけでなく『ジョン・ウィック』も挙げられている。静かな家族映画に見えて、死者の国の追跡や動きにはアクション映画的なリズムも混ざっている。
商標騒動を批判したラロ・アルカラスは、後に本作の文化コンサルタント側へ参加した。外からの批判が、作品の内部チェックに入るという珍しい流れが起きている。
原題『Coco』は主人公ミゲルではなく、物語の鍵になる曽祖母の名前だ。冒険の入口は少年の夢だが、タイトルは家族の記憶の中心を指している。
ダンテのモデルであるショロイツクインツリは、メキシコの文化や死後世界の伝承と関係が深い犬種として知られる。単なるマスコット犬ではなく、死者の国への案内役にふさわしい背景を持つ。
『リメンバー・ミー』は、舞台となるメキシコでも大きな興行的成功を収めた。外部から描いた文化作品でありながら、現地観客にも強く届いたことが作品評価の重要な点だ。
「リメンバー・ミー」は劇中で複数の意味を持ち、単なる挿入歌ではなく家族の記憶をつなぐ鍵になる。日本題にも採用されたことで、歌そのものが映画の入口になった。