『A.I.』あの終幕もキューブリックの構想だった スピルバーグが明かした作者の取り違え
『A.I.』で、物語が2000年後へ進む終幕。スピルバーグが付け加えた感傷的な部分だと思われがちですが、本人は逆の説明をしています。その展開は、キューブリックの95ページの構成案にすでにあったというのです。[1]
・海の底で終わるのが、キューブリック版だった?
スピルバーグは米監督組合DGAの取材で、デイビッドとテディが海底の観覧車のそばへ閉じ込められ、そこで終わるのがキューブリックの映画だった、と人々が思い込むことに触れています。[1]
そこから先へ進めた自分が、キューブリックの映画を壊したように批判される。しかし自分が映画に置いた展開は、先にキューブリックの構成案に存在していた、というのが本人の説明です。[1]
・二人は、長い電話で企画を話していた
引き継ぎは、亡くなった監督の資料を受け取るところから突然始まったわけではありません。スピルバーグによると、二人は何時間も電話で話し、一度は昼食の休憩を挟んで8時間に及んだそうです。[1]
キューブリックは1980年代から、この企画はスピルバーグの感性に合うので、自分ではなくスピルバーグが作るべきだと繰り返し伝えていました。構成案を読んでほしいと渡したのも、キューブリックの方でした。[1]
・作家のイメージだけでは、場面を分けられない
冷たい場面ならキューブリック、優しい場面ならスピルバーグ。そんなふうに割り振ると分かりやすく見えますが、少なくとも終幕の出発点は、その印象どおりではなかったのですね。
もちろん、構想を持っていた人と、完成した映画を演出した人は同じではありません。スピルバーグは、作品全体の骨組みをキューブリックのビジョンと捉え、できるだけ近づこうとしたと話しています。[1] 最後の場面をどう評価するにしても、その成り立ちは二人の長い対話から切り離せません。