主な参考資料
- ComingSoon.net
- AFI
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2019年公開。本作はナタリー・バーンが主演だけでなく製作とキャスティングも担い、彼女の7Heaven ProductionsとCineTel Filmsが組んだ独立系アクション映画である。バーンは以前からダニエル・ジリーリ監督と仕事上の関係があり、ドルフ・ラングレンについても『ハード・ナイト・フォーリング』(2019年)の撮影直後に直接出演を取り付けたが、彼が空けられる期間は1か月しかなく、企画側は日程を大急ぎで組み直したという。撮影は本撮影10日と追加撮影3日で、2人の監督が互いの提案を受け入れることで現場を速く回し、バーンは1か月間、スタント・コーディネーターのアーノルド・チョンのもとで毎日3〜5時間の格闘訓練を積んで自らアクションに臨んだ。追加撮影では道路封鎖の許可を取る予算がないまま、バーンが偽のナンバープレートを付けたマセラティをロサンゼルス中心部で走らせ、道に迷った末に4台のパトカーに囲まれたと本人が回想している。米国ではCinedigmが2019年11月8日に一部劇場とVODで同日公開し、日本では同年12月13日に特集上映の一作として公開されたが、The Numbersは北米興収を「n/a」としており、信頼できる製作費・世界興収の公表値も確認できない。作品名は「加速」だが、実際にいちばん加速を強いられていたのは、13日でアクション映画を仕上げる制作現場だったようである。
2018年11月にCineTel Filmsが世界販売権を得た時点では、サミー・ナセリが出演し、マイケル・メリノが単独で監督すると発表されていた。ところが完成版の主要キャストにナセリの名はなく、監督はメリノとダニエル・ジリーリの共同名義になっている。交代と追加の理由は公表資料から確認できない。
ナタリー・バーンは『ホロウ・ポイント/悪への銃弾』(2019)で、主演と製作を兼ねるディラン・ジェイや、自分たちで作品を作り続けるダニエル・ジリーリの姿勢に刺激を受けたという。本作では主演だけでなく製作とキャスティングも担当した。女性アクション俳優として声がかかるのを待つのではなく、自分で主演作を組み立てたのである。
ドルフ・ラングレンの出演は、バーンが彼と『ハード・ナイト・フォーリング』(2019)を撮り終えた直後に取り付けた。だがラングレンが空けられる期間は1か月だけだったため、制作側は急いで撮影を成立させる必要があった。スターを先に確保し、その短い空きへ企画を合わせた形である。
マイケル・メリノとダニエル・ジリーリは、担当を固定して別々に動くのではなく、互いの演出案や意見を受け入れながら現場を回したという。バーンは、2監督体制によって制作が速く進んだと振り返っている。共同監督は名義上のものではなく、短期撮影を成立させる実務的な仕組みでもあった。
本撮影は10日間、追加撮影は3日間だった。格闘場面はパンチごとに複数の角度が必要だが、十分な時間はなかったとバーンは説明している。そのため現場では、まず使える素材を撮り切り、足りない整理をポストプロダクションへ委ねる進め方が取られた。
バーンはスタント・コーディネーターのアーノルド・チョンと1か月間、毎日3〜5時間の訓練を積んだ。内容は徒手格闘、柔術、キックボクシングで、幼少期からのバレエで身につけた柔軟性、敏捷性、反復練習の習慣が役立ったという。本人は可能な限り自分でアクションを演じることを目標にしていた。
ケイン役のショーン・パトリック・フラナリーは、共演するだけでなく、バーンのトレーニングも数回手伝ったという。バーンは彼の格闘技術を高く評価している。IMDbの「若き日のインディ・ジョーンズで有名」という人物紹介より、本作の準備に直接つながる証言である。
ライアン・カーンズへの出演依頼は、撮影がすでに動いている最中の深夜電話だった。友人のバーンから「演じてほしい役がある」と直接言われたが、カーンズは即答せず、脚本と役を読んで作品に貢献できるかを確かめてから承諾したという。短期撮影の慌ただしさが、配役の決まり方にも表れている。
追加撮影では道路使用許可と封鎖の予算がなく、バーンは午前3時のロサンゼルス中心部を、小道具の偽ナンバー、偽札、偽薬物を積んだマセラティで走った。道に迷って逆走し、4台のパトカーに囲まれたが、映画撮影だと説明すると切符なしで解放されたという。制作日報や警察記録ではなく、本人の具体的な回想である。
ドイツ語版でドルフ・ラングレンを吹き替えたのは、マンフレート・レーマンだった。レーマンはラングレンの『パニッシャー』(1989)や『ユニバーサル・ソルジャー』(1992)なども担当し、ブルース・ウィリスのドイツ語吹替でも広く知られている。IMDbの人物紹介を、本作の吹替に結び付けて確認できる例である。
Cinedigmは2019年10月に北米配給権を取得し、11月8日に一部劇場、オンデマンド、デジタルで同時に公開した。Blu-rayとDVDは12月17日発売と発表されている。大規模な劇場興行より、複数の視聴経路を同時に開く独立系アクション映画の配給設計だった。
IMDbには、ドルフ・ラングレンとナタリー・バーンが本作を含む4作品で共演したとある。しかし、その一つ『Thrill to Kill』は『Ambushed』(2013)のドイツ語題で、確認できる完成版キャストにバーンの名はない。ほかの3本は確認できるため、「4本」という数え方が不正確とみられる。
IMDbの説明は、クイントン・“ランペイジ”・ジャクソンが2010年版『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』で「Mr. Tだった」と書いている。だが彼が演じたのはB・A・バラカスで、Mr. Tは1980年代のテレビ版で同じ役を演じた俳優である。「Mr. Tの役を引き継いだ」なら通じるが、人物そのものを演じたわけではない。
本作の製作費を300万ドルとするデータベースがある。しかしCinedigmの配給発表、バーン本人の取材、業界報道、The Numbersの公開ページでは、この金額を確認できない。短期撮影と低予算の制約は本人証言で分かるが、それだけから300万ドルだったとは言えないため、現時点では出所不明の数字である。