ホラー映画『Insidious: Out of the Further』には、ソファのクッションと毛布で作った迷路が登場します。主人公が中に入って振り返ると、入り口が消えているという場面です。
撮影監督デイヴ・ガーベットと美術監督ニック・バセットが、American Cinematographerの記事で、この場面の撮影方法を紹介しています。元記事の内容を日本語で整理し、制作写真やセット図とともに紹介します。
約250個のクッションで、戻れない通路を作る
下の制作写真は、迷路を上から撮影したものです。映画では延々と続く通路に見えますが、スタジオには低い壁と曲がり角が組まれています。

用意したのは約250個の手縫いクッション。裏に合板を付け、素早く固定・取り外しができるようにしました。
カメラが奥の通路を映している間に、約8人の美術スタッフがソファを後ろへ動かし、天井の毛布をどけ、クッションの壁を移動。その作業に使えるのは約14秒です。カメラが振り返ると、入ってきた場所も長い通路に変わっています。
ジェイコブ・チェイス監督は、カットのつなぎ目を隠して空間を変える方法を避けたいと考えていました。そのため、セット転換を撮影中に実行。ガーベットは、カメラを戻すまで間に合ったか分からなかったと振り返っています。制作記録
下のセット図は、美術チームのエイドリアン・ダルトンが作ったものです。迷路を進む場面が6コマに分かれ、各場面の経路が色分けされています。同じ通路を使いながら、どちらへ進み、どこで曲がるのかを組み立てていたことが分かります。

この迷路の場面は、Sony Pictures Singaporeの短い公式映像でも見られます。
投稿元:Sony Pictures Singapore。「Pillow Fort」は縦型の場面を使ったプロモーション映像です。撮影現場のメイキングではありません。YouTubeで見る
高さ約76cmの迷路にカメラを入れる
セットの高さは約2.5フィート、約76cm。俳優が体をかがめる通路に、撮影機材も通さなければなりません。写真では、迷路の外側に大きなクレーンが置かれています。

通路を移動する撮影には、揺れを抑えるRonin RS4ジンバルを家具用台車に載せ、スタッフが押したり引いたりする方法を採用。さらに狭い隙間には、カメラを通すための専用アームも作りました。制作記録
小さな明かりにも7~8種類の工夫
主人公ジェマが手にするのは、本を読むためのブックライト。クッションに挟まれた完成映像では、その明かりが顔を照らしています。

撮影用のブックライトは7~8種類。俳優の体に大きなバッテリーを隠して光量を増やしたものや、LEDの色を変えたものを用意しました。俳優と周囲を同時に照らす、両面に光が出る型もあったそうです。制作記録
撮影スタッフも閉塞感を覚えた
バセットによると、この場面は脚本を初めて読んだときには見過ごしそうな小さな仕掛けでした。ところが、実際には大がかりなセットに。担当の美術スタッフが段ボール模型の段階から完成まで付きっきりで取り組み、クッションなどに使う布も数百メートル集めたそうです。Dread Centralのインタビュー
バセットはDread Centralの取材で、何度か失敗した後、転換が滑らかにつながるテイクを撮れたと話しています。中に入ると音が抑えられ、カメラオペレーターの一人は閉塞感が強くて中にいられなかったそうです。
画面では一人の女性が迷路を進んでいますが、その外側ではスタッフがセットを動かしていました。出口が消える場面は、カメラの動きに合わせたセット転換で撮影されています。
Awards Heavenでも、バセットのインタビューが公開されています。紹介記事では、家のセットや鏡、クッション迷路を取り上げています。
投稿元:Awards Heaven。ニック・バセットへの英語インタビュー。YouTubeで見る
映画『Insidious: Out of the Further』
霊や悪魔、異界を扱う超常現象系ホラー。「インシディアス」シリーズの新作で、異界へ入り込む力を持つ母親ジェマが主人公。
- 監督・脚本: ジェイコブ・チェイス
- 原案: デヴィッド・レスリー・ジョンソン=マクゴールドリック ジェイコブ・チェイス
- キャラクター原案: リー・ワネル
- 製作: ジェイソン・ブラム オーレン・ペリ ジェームズ・ワン リー・ワネル
- 撮影監督: デイヴ・ガーベット
- 美術監督: ニック・バセット
- 出演: アメリア・イヴ ブランドン・ペレア リン・シェイ
米国では2026年8月21日に公開。日本の公開日は、2026年10月4日時点では未定です。